フェンダー直系ブランドとして、ギター初心者層を中心に不動の人気を誇るスクワイヤー・テレキャスター・シリーズ。
メーカー名の読み方は「スクワイヤー」の他、「スクワイヤ」「スクワイア」といった具合に「ヤ」と「ア」が混在、伸ばし棒の有無による表記揺れもありますね。
そのスクワイヤー製品、じつは意外とリニューアルの頻度が高く、楽器店員でも種類や仕様を把握するのに苦労しているラインナップなんです。
インターネットで検索しても「生産完了品や旧スペックの情報・評価」が混在していて調べるのが大変。
本記事では2024年1月時点の情報として、なるべく専門用語を噛み砕きながら機種ごとの違いや特徴を整理・解説をしてみようと思います。
ブランドの綴りは「Squier」だよ。「Squire」じゃないから検索で間違えないように気を付けよう。
- テレキャスターの特徴について|ギター初心者向けの基礎知識
- スクワイヤー・テレキャスターの種類は14モデルから選べる
- ソニック・テレキャスターはインドネシア製のバレット・テレキャスターに変わるエントリーモデル
- アフィニティ・テレキャスターは初心者におすすめのロングセラーモデルで多色展開
- コンテンポラリー・テレキャスターHHはモダンスタイル代表機種で弾きやすさも好評
- コンテンポラリー・テレキャスターRHは2021年3月発売でコスパの高さも話題
- クラシックバイブ50sテレキャスターはブラックガードと呼ばれる初期型を復刻
- クラシックバイブ60sカスタム・テレキャスターはボディ両面のバインディングが特徴
- クラシックバイブ60sテレキャスター・シンラインは軽量セミホロウ構造が人気
- クラシックバイブ70sテレキャスター・シンラインは2ハムバッカーの時期を再現
- クラシックバイブ70sテレキャスター・カスタムはロックの定番どころで意外に器用
- クラシックバイブ70sテレキャスター・デラックスはかなり通好みで個性的な選択肢
- 2021年9月からテレキャスター・デラックスがアフィニティシリーズにも登場
- 2021年9月からパラノーマルシリーズにカブロニータ・テレキャスター新色が追加
- 2021年9月からパラノーマルシリーズにオフセット・テレキャスター新色が追加
- 2022年にSquierの40周年モデルとして二種類のテレキャスターが限定リリース
- まとめ:Squier by Fenderのテレキャスター仕様一覧比較
テレキャスターの特徴について|ギター初心者向けの基礎知識
まずは念のため基礎知識です。「テレキャスター(Telecaster)」の前身となった「ブロードキャスター(Broadcaster)」が登場したのは、何と今から70年以上も前のこと。
グレッチ社のドラム商標「Broadkaster」と差別化するために、当時のトレンド「テレビジョン(Television)」にあやかった名称へと変更された経緯があります。
構造上の特徴で必修なのが、後に数多のエレキギターで採用されることになった「ボルトオンジョイント(デタッチャブル)設計」がもたらす生産効率の良さ。
今となってはボディ材とネック材を「ネジ留め」してしまう発想に目新しさはないですが、1950年代初頭のギター業界では大胆で異色のものでした。
ここでしばしば創業者レオ・フェンダーのルーツが、ラジオ修理サービスのキャリアにあることが引き合いに出されますね。
つまり、「楽器」の既成概念に捉われることなく、いわば工業製品のごとく製作・メンテナンスできるフェンダーの哲学を体現したようなエッセンスといえます。
後発の「ストラトキャスター」にも理念が引き継がれますが、「テレキャスの方が、よりシンプルなフラット形状のボディで使用されていてパーツの数も少ない」のが特筆すべきところ。
無駄を削ぎ落したデザインに由来する超ストレートなサウンドは「テレキャスターならでは」だね。
Telecasterは、もともとアメリカのカントリー系ミュージシャンに重宝され、現代ではポップスやロック等々のジャンルでも欠かせないエレキギターの象徴的な存在となっています。
スクワイヤー・テレキャスターの種類は14モデルから選べる
それでは、具体的なスクワイヤー・テレキャスター製品について、ソニック・シリーズ、アフィニティ・シリーズ、コンテンポラリー・シリーズ、クラシックヴァイブ・シリーズ、パラノーマル・シリーズの順番でチェックしていくことにしましょう。
記事の後半では、仕様比較の一覧表でおさらいできるようにしてあります。結構なボリュームがあるので、見比べるのが大変であれば目次から気になるモデルを絞って狙い撃ちしてみてください。
ソニック・テレキャスターはインドネシア製のバレット・テレキャスターに変わるエントリーモデル
まずは2023年6月に発表された新製品「ソニックテレキャスター」から見ていくことにしましょう。
前身となったのは近年インドネシアで製作されてきた「バレット・テレキャスター」というモデル。
ここ数年ほどはバレットシリーズの取り扱いが一部ショップに限られていたので聞いたことがない方もいるかもしれません。その後継的なポジションで再編してされました。
テレキャスターの場合はボディの裏面から弦を通す仕様が伝統的なのですが、本製品ではブリッジと平行に弦を通すタイプのブリッジを採用することで、一層シンプルな構造でコストを抑えて製作できるようになっています。
ラインナップの中で最も安い価格帯なので、当然ギター初心者向けのスペックを意識してデザインされていますね。
スリムなネックシェイプの他に、ボディ側も薄型軽量になるように配慮。「カリフォルニアブルー、トリノレッド、ブラック、バタースコッチブロンド」とポップなカラーバリエーションが展開されています。
アフィニティ・テレキャスターは初心者におすすめのロングセラーモデルで多色展開
続いて、スクワイヤーのアフィニティ・テレキャスターは、価格が安いだけでなくカラーの豊富さもダントツでギター初心者へのおすすめモデルとして紹介される代表製品ですね。
シリーズ名の「アフィニティ」という単語には「親近感、相性の良さ」といった意味があり、初出は1997年までさかのぼります。
「ストラトキャスターを抱えてみたらギターが大きく見えてしっくりこなかった、アンバランスに映って自分にイマイチ似合わなかった…」と言う方にも一度試していただきたいです。
ネックがサラサラした質感の塗装で、左手に汗をかいてもスムーズにポジション移動できる演奏性に注目。
2021年9月以降流通している個体には様々なアップデートが行われているので、下記も合わせてご覧いただきたいのですが、手の小さい方でも扱いやすいCシェイプのネックグリップは特に好評な部分でしょう。
画像のようにブリッジプレートの淵(枠)がついていないので、ヴィンテージタイプと違いピッキング/ストロークする右手がぶつからないのも嬉しいですね。
アルダーボディと記載しているWEBサイトもありますが、現行機種は比較的軽量な個体が多い「ポプラ材」(ヤナギ科の落葉広葉樹)にて製作されるようになりました。
「FSR Affinity Series Telecaster」もバリエーション機種で、先頭の「FSR」表記はファクトリースペシャルランの略。「スポット生産のカタログ外仕様」などを指しています。
コンテンポラリー・テレキャスターHHはモダンスタイル代表機種で弾きやすさも好評
「現代的な」という語義を持つ「コンテンポラリー・テレキャスター」は、2018年に発表されたスクワイヤー新シリーズの位置付けです。
型番末尾の「HH」がピックアップ(音を拾うマイク)の構成を示しています。
最近は後述する「RHモデル」がリリースされたことで、売り切れ・品薄の店舗がほとんど。探すならアウトレット品か中古になるはずなのでご注意ください。
下画像の「シングルコイルタイプ」と見比べると分かりやすいですが、セラミックマグネットを用いた高出力タイプのハムバッカー・ピックアップ(乾電池不要)を搭載しています。
前述の「アフィニティ・テレキャスター」より、フレットが1つ増えた「ツバ出し指板」なので半音上の音階までカバーしているのが嬉しいところ。
そして「305ミリRのフラットな指板・ジャンボフレットの採用」によって、軽いタッチでテクニカルな演奏が行いやすいのが人気です。
コンテンポラリー・テレキャスターでは、背面には滑らかな「コンター加工」が施されているため、ギターをホールドしやすく、身体に触れる部分がゴツゴツしないのもメリットとなっています。
「ダークメタリックレッド、ブラックメタリック、パールホワイト」の各色で、ボディとヘッドの色味を合わせた「マッチングヘッド仕上げ」の塗装もかっこいいですね。
コンテンポラリー・テレキャスターRHは2021年3月発売でコスパの高さも話題
2021年春から追加されたコンテンポラリー・テレキャスターの新バージョンRHモデルは、現行機種で唯一「ピックガードなし」で新鮮なルックス。
フロント側のピックアップ(マイク)が「エスカッションマウント方式のハムバッカー(H)」となっていて、リア側は一見シングルコイルに見えますが「デュアルレール(R)のハムバッカー」なのでRHレイアウトと呼ばれます。
こちらのコンテンポラリー・テレキャスターRHは、特別な加熱処理を行うことで、安定性とクリアな音質を実現したローステッドメイプルネックを採用しつつ非常にお手頃な価格を維持しているのが驚き。
さらに「スカルプテッドヒール」という独自形状のネックジョイントなので、ハイポジション(高音域)までストレスなく演奏できるように工夫されています。
「パールホワイト、ガンメタルメタリック、ショアラインゴールド」の全カラー共通でバインディング(縁取り)やハードウェアがブラックに統一。他シリーズとは雰囲気がずいぶんと違いますね。
公式のデモ動画でもご覧いただけますが、ボディバックのコンター加工も相まって、とことんモダンな印象を受ける新製品となっています。
クラシックバイブ50sテレキャスターはブラックガードと呼ばれる初期型を復刻
以降は「Classic Vibe Series」という「クラシックな雰囲気・空気感」をコンセプトにした製品群です。
2019年の夏に発表されたClassic Vibe 50s Telecasterは、1950年代前半のオリジナル・テレキャスターで通称「ブラックガード」がモチーフとなっています。
ボディの木材は「バタースコッチブロンド(黄色系)、ホワイトブロンド(白系)」の両色ともにマツ科の針葉樹パイン材を採用。
近くでよく見ると、控えめながらうっすらと浮かんで見える木目が「いかにもテレキャスター」という佇まいでかっこいいですね。
ブリッジの駒は「6弦/5弦、4弦/3弦、2弦/1弦」で分かれた構造で、それが「3wayタイプ」もしくは「3連サドル」と呼ばれるオーソドックスなスタイル。
ヴィンテージスタイルのペグ(糸巻)と相まって、ルックスとサウンドの両面でオールドに寄せた仕上がりです。
ナット幅は、フェンダーギターのネック幅として標準的な寸法の1.65インチ(42mm)を踏襲。
「9.5インチR(241ミリ)指板・ナロートールフレット」の採用によって、音詰まりやビビリなどのストレスが出にくいように配慮されています。
クラシックバイブ60sカスタム・テレキャスターはボディ両面のバインディングが特徴
そのもう一つ後の年代を代表するClassic Vibe 60s Custom Telecasterは、「ダブルバウンドボディのカスタム・テレキャスター」スタイルになっています。
「ダブルバウンド」がどういう意味かと言うと、正面からの写真だけでは少々分かりにくいですが、ボディ表裏両側に白い縁取り(セルバインディング)が施されているデザインのことを示しています。
ギターのヘッド部分にCustom Telecasterと文字があり、70年代モデルの「テレキャスターカスタム」(後述)と区別するために、「カスタムテレキャスター」と呼称するのが一般的。
オリジナルがリリースされた1959年当時、テレキャスターのレギュラー仕様がブロンド仕上げだったところ、カスタムテレキャスターには「サンバースト仕上げ」が採用されました。
グラデーションの効いた塗装で淵の部分が黒いのですが、バインディングがあることで全体的に引き締まった高級感のある装いになっていますよね。
カスタムテレの愛用者は、ジョン・フルシアンテやシェリル・クロウ、アンディ・サマーズのイメージが強いでしょうか。
スクワイヤーの現行版では、ピックガードが「真っ白なホワイト」ではなく、やや淡い色味の「パーチメントカラー」が組み合わされました。
現在は27インチスケールの特殊仕様、バリトン・カスタムテレキャスター(Classic Vibe Baritone Custom Telecaster)もラインナップされているので間違えないようにご注意ください。
クラシックバイブ60sテレキャスター・シンラインは軽量セミホロウ構造が人気
ここからまた少し雰囲気が変わりますね。ボディの低音弦側にアルファベット「f字形状のサウンドホール(fホール)」をあしらったテレキャスターは、Classic Vibe 60s Telecaster Thinlineという型番です。
テレキャスターシェイプを踏襲した薄胴仕様(シンライン)のままで、ボディ内部に空洞を設けた構造になっています。
エレキギターの歴史で「薄胴のハコモノ」というのは1950年代後半から注目されるようになり、フェンダー社は1960年代後半にこのテレキャスター・シンラインを発表しました。
本製品は、当時のサウンドを復刻するために研究開発されたヴィンテージ志向のアルニコマグネット・シングルコイルピックアップを搭載。
「フルアコ/フルホロウモデル」と違い、ハウリング対策がシビアではなく、それでいて温もりとアコースティック感のある響きが好評です。
最新版のスクワイヤー製テレシンラインでは、マホガニー材の代替としてスタンダードなナトー/ニャトー材(アカテツ科の広葉樹)で製作されています。
ピックガードはパーロイドという真珠(パール)を模したプラスチック素材で、特に照明があたったときの華やかな光沢がきれいです。
クラシックバイブ70sテレキャスター・シンラインは2ハムバッカーの時期を再現
こちらは、テレキャスターシンラインが1970年代前半に仕様変更された後のスペックに由来するClassic Vibe 70s Telecaster Thinlineです。
ヘッドロゴにある「Squier」の字体もフェンダー本家の仕様変遷を意識して、60年代モデルとは異なる力強い太字フォントになっていますね。
「ワイドレンジ・ハムバッカー・ピックアップ」は金属カバーのロゴ刻印がアクセントで、60Sモデル以上に芯が太くて馬力のある音色が魅力。
ピックガードが大きくブリッジの種類も異なるので、同じ「テレシンライン」でも前述モデルと全く違った印象を受けるのではないでしょうか。
お手頃な価格のシンラインといえば、スクワイヤーの旧モデル「Vintage Modified 72 Tele Thinline」がロングセラーでしたが既に生産完了。
当時はアッシュ材で製作されていましたが、世界的に木材の供給難が続く状況から、新たにソフトメイプル材(カエデ科の広葉樹)にて設計開発されるようになりました。
クラシックバイブ70sテレキャスター・カスタムはロックの定番どころで意外に器用
テレキャスターカスタムといえば、キース・リチャーズやアベフトシ氏のように鋭いカッティングを決めたくなるギタリストも多いでしょうか。
「フロントハム、リアシングル」という二種類のピックアップを組み合わせたClassic Vibe 70s Telecaster Customは、フェンダー系では珍しい2ボリューム/2トーンのコントロール構成。
本製品は生産完了となった「Vintage Modified 70s Telecaster Custom」の後継機種で、現在はサンバーストとブラックの2色が展開されています。
ピックアップごとに出力のバランスを調整可能なこともあり、ふくよかで力強いサウンド~キレのあるサウンドと見た目以上に音作りの自由度が高いのが頼もしいですよね。
フェンダーオリジナル版は「ネックジョイントのネジが3点留め」なのですが、スクワイヤー版では堅牢性を向上させるために4点留めで設計されています。
他クラシックヴァイブ・シリーズと同様、VINTAGE-TINTED GLOSS NECK FINISHによる少しだけ飴色がかった塗装が美しいです。
クラシックバイブ70sテレキャスター・デラックスはかなり通好みで個性的な選択肢
テレキャスターデラックスは少々マイナーなモデルで、ピックガードのデザインが似ているテレカスタムと見分けにくいかもしれません。
何が違うかというと、Classic Vibe 70s Telecaster Deluxeは、ネック側だけでなくブリッジ側のピックアップもハムバッカーになっているモデルだということです。
さらにヘッド側を見てみると、なんと「ストラトキャスタースタイルのヘッド」だというのが非常にユニーク。
各弦ごとに独立した6連ブリッジサドルなので弦高・オクターブ調整が行いやすく、もともとバックコンターがあるボディ形状なので、ストラトキャスターに近い感覚で抱えられるのもおすすめでしょう。
他モデルほど知名度は高くなく、必然的にテレデラックスを選ぶのは少数派になりがちなので、「周りのギタリストと同じモデルだとつまらない」という方はぜひ候補に入れてみてください。
こちらもオリジナルのTele Deluxeと違い、ネックジョイントが3点留めから4点留めにアップデートされたデザインです。
カラーオプションは「ブラック、オリンピックホワイト」ともにメイプル指板で、輪郭のハッキリしたパンチのあるサウンドが癖になります。
2021年9月からテレキャスター・デラックスがアフィニティシリーズにも登場
かなりニッチ路線のテレキャスターデラックスですが、2021年9月からお手頃価格のAffinity SeriesにもTelecaster Deluxeが追加されることになりました。
セラミックマグネットの新開発ピックアップを搭載しており、先行して発売されていたClassic Vibe Seriesと比較すると、一層クリアなサウンドになっている印象を受けます。
音像が明瞭なおかげで、深めのディストーションをかけたいシーンでも扱いやすいですね。
2ハムバッカーのボディバックコンター付きで、ヘッド形状が従来のストラトタイプではなく、テレキャスタータイプになっているのが本製品特有のデザイン。
ブラック/メイプル指板は先に挙げたCVシリーズと共通でラインナップされていますが、アフィニティ版に関してはピックアップカバーへの刻印がありません。
その他、ヴィンテージスペックと差別化するバーガンディミストやチャコールフロストといったポップな色合いがフィーチャーされているのも特徴でしょう。
2021年9月からパラノーマルシリーズにカブロニータ・テレキャスター新色が追加
2020年夏から販売されている下記シリーズに冠せられたパラノーマル(paranormal)という単語には「科学的に説明できない、超常的な」といった語義があります。
懐かしいモデルの復刻もあれば、フェンダー本家「パラレルユニバースシリーズ(Parallel Universe)」のように「並行世界」に寄せたコンセプトの製品も含まれていますね。
カブロニータ(キャブロニータ)は、もともと2009年に上位グレードのカスタムショップで限定製作されたLa Cabronita Especialから派生したモデルです。
オリジナルはテレキャスターのプロトタイプを彷彿させるようなデザインと、グレッチ・フィルタートロン風のピックアップが特徴的でした。
本作ではアルニコ・ジャズマスターピックアップを採用。「テレキャスターシンライン」のバリエーションとしての枠組みを越えたコントロールレイアウトやピックガードが独特なところ。
25.5インチレギュラースケール以外に、27インチスケールでドロップチューニングを行うバリトン仕様まで用意されているのが面白いですね。
2021年9月からパラノーマルシリーズにオフセット・テレキャスター新色が追加
これはテレキャスターと分類するべきかどうか悩ましいところですが「全機種解説」ということで下記もご紹介しましょう。2021年9月以降、パラノーマルシリーズ・オフセットテレキャスター新色が発売されました。
「オフセットウエストボディ」というのは「エレキギター本体のくびれが左右対称ではないこと」を示しており、要するにジャズマスターの形状がモチーフにされているということです。
「ヘッド形状、ピックアップレイアウト、ブリッジパーツ、コントロールプレート」にテレキャスターのエッセンスが凝縮されたハイブリッドなデザイン。
通称「テレマスター」と呼ばれ、高価なカスタムショップのワンオフモデルが製作された歴史があったり、他社製品に類似モデルがあったりするものの、以前は「知る人ぞ知るモデル」でした。
ここ数年でメキシコ製や日本製の限定モデルが人気を博した影響もあって、2020年にようやく待望のスクワイヤー版が登場するに至りました。
弾き心地はジャズマスターに近い部分こそあれ、サウンド的にはテレキャスターらしいソリッドな粒立ちを強く感じる方が多いのではないでしょうか。
2022年にSquierの40周年モデルとして二種類のテレキャスターが限定リリース
最後に2022年から40周年限定モデルとして発売されているテレキャスター二種類をご紹介しましょう。
同年2月に発売になった「ゴールドエディション」の方から見ていくと、美しいシャーウッドグリーンメタリックの塗装に金色のアノダイズド・ピックガードとゴールドハードウェアを組み合わせたモデル。
それに加えてセルバインディング付きのネック、ポジションマークもブロックマークというゴージャスな出で立ちのモデルですね。背面のジョイントプレートもアニバーサリーモデルならではの特別デザインとなっています。
もう一方、「ヴィンテージエディション」の方は当初の予定より少し遅れて2022年7月末から国内出荷がはじまりました。
ボディカラーは「サテンヴィンテージブロンド、サテンモカ、サテンダコタレッド」とレトロな質感を重視したウレタン塗装で、クロームハードウェア部分にエイジングが施されているのが特徴。
「ゴールドエディション、ヴィンテージエディション」のいずれも、すっきりと薄い握り心地のCシェイプネックを採用。王道サウンドを追求したアルニコマグネット・ピックアップを搭載しています。
まとめ:Squier by Fenderのテレキャスター仕様一覧比較
ここまでの総復習でスクワイヤー・テレキャスター現行機種の主な仕様を下表に整理してみました。
しばしば予告なく、マイナーチェンジされることもありますが参考資料としてご活用ください。
バリトンモデルを除くネックの弦長はいずれも25.5インチ(約648ミリ)のロングスケールで、弦のゲージは工場出荷時に09-42でセットアップされています。
ナットの素材は「アフィニティシリーズ」「コンテンポラリーシリーズ」「パラノーマルシリーズ」が樹脂で、「クラシックバイブシリーズ」は牛骨だね。
仕様 | バレット/ソニックテレキャスター | アフィニティテレキャスター(旧) | アフィニティテレキャスター(新) | コンテンポラリーテレキャスターHH | コンテンポラリーテレキャスターRH | 50Sテレキャスター | 60Sカスタムテレキャスター | 60Sテレキャスターシンライン | 70Sテレキャスターシンライン | 70Sテレキャスターカスタム | 70Sテレキャスターデラックス | アフィニティテレキャスターデラックス | カブロニータシンライン | オフセットテレキャスター | ゴールドエディションテレキャスター | ヴィンテージエディションテレキャスター |
ボディ材 | ポプラ | ポプラ | ポプラ | ポプラ | ポプラ | パイン | ナトー | ナトー | ソフトメイプル | ポプラ | ポプラ | ポプラ | ポプラ | オクメ/ポプラ/アッシュ | ナトー | ナトー |
ボディ塗装 | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | サテンポリウレタン |
ネック材 | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | ローステッドメイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル |
ネック塗装 | サテンウレタン | サテンウレタン | サテンウレタン(グロスヘッド) | サテンウレタン(グロスヘッド) | サテンウレタン(グロスヘッド) | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | サテンウレタン(グロスヘッド) | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | ティンテッド・サテンウレタン |
ネックシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ |
ナット幅 | 1.65インチ(42ミリ) | 1.6インチ(40.6ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) |
指板R | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 12インチ(305ミリ) | 12インチ(305ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) |
フレット | 21ナロートール | 21ミディアムジャンボ | 21ミディアムジャンボ | 22ジャンボ | 22ジャンボ | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ミディアムジャンボ | 22ナロートール | 22ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール |
ピックアップ(B) | シングルコイル | シングルコイル | セラミックシングルコイル | セラミックハムバッカー | SQRアトミックハムバッカー | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | ワイドレンジハムバッキング | アルニコシングルコイル | ワイドレンジハムバッキング | セラミックハムバッカー | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル |
ピックアップ(N) | シングルコイル | シングルコイル | セラミックシングルコイル | セラミックハムバッカー | SQRレイルハムバッカー | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | ワイドレンジハムバッキング | ワイドレンジハムバッキング | ワイドレンジハムバッキング | セラミックハムバッカー | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル |
ブリッジ | 6wayブロックサドル | 6wayブロックサドル | 6wayブロックサドル | 6wayブロックサドル | 6wayブロックサドル | 3wayヴィンテージスタイル | 3wayヴィンテージスタイル | 3wayヴィンテージスタイル | 6wayヴィンテージスタイル | 3wayヴィンテージスタイル | 6wayヴィンテージスタイル | 6wayブロックサドル | 6wayヴィンテージスタイル | 3wayヴィンテージスタイル | 3wayヴィンテージスタイル | 3wayヴィンテージスタイル |
なお、2023年7月にはテレキャスター兄弟モデル(ワンピックアップ仕様)「エスクワイヤ」をアレンジした新製品Paranormal Esquire Deluxeが発売されたことも補足しておきましょう。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!