フェンダー直系ブランドとして、ギター初心者層を中心に不動の人気を誇るスクワイヤー・テレキャスター・シリーズ。
メーカー名の読み方は「スクワイヤー」の他、「スクワイヤ」「スクワイア」といった具合に「ヤ」と「ア」が混在、伸ばし棒の有無による表記揺れもありますね。
そのスクワイヤー製品、じつは意外とリニューアルの頻度が高く、楽器店員でも種類や仕様を把握するのに苦労しているラインナップなんです。
インターネットで検索しても「生産完了品や旧スペックの情報・評価」が混在していて調べるのが大変。
本記事では2026年5月時点の情報として、なるべく専門用語を避けながら機種ごとの違いや特徴を整理・解説をしてみようと思います。

ブランドの綴りは「Squier」だよ。「Squire」じゃないから検索で間違えないように気を付けよう。
- テレキャスターの特徴について|ギター初心者向けの基礎知識
- スクワイヤー・テレキャスターの種類は10モデルから選べる
- ソニック・テレキャスターはバレットシリーズに変わるエントリーモデル
- アフィニティ・テレキャスターはスクワイヤーを代表するロングセラー機種
- アフィニティ・テレキャスターではFMT仕様とシンライン仕様も選べる
- クラシックバイブ50sテレキャスターは初期のブラックガードを復刻
- クラシックバイブ60sカスタム・テレキャスターは両面バインディングが人気
- クラシックバイブ60sカスタム・テレキャスターにビグスビー搭載モデルが追加
- クラシックバイブ60sテレキャスター・シンラインは軽量なセミホロウ構造
- クラシックバイブ70sテレキャスター・シンラインは2ハムバッカーが特徴
- クラシックバイブ70sテレキャスター・デラックスは通好みの個性派モデル
- まとめ:Squier by Fenderのテレキャスター仕様一覧
テレキャスターの特徴について|ギター初心者向けの基礎知識
まずは念のため基礎知識です。「テレキャスター(Telecaster)」の前身となった「ブロードキャスター(Broadcaster)」が登場したのは、何と今から75年以上も前のこと。
グレッチ社のドラム商標「Broadkaster」と差別化するために、当時のトレンド「テレビジョン(Television)」にあやかった名称へと変更された経緯があります。

構造上の特徴で必修なのが、後に数多のエレキギターで採用されることになった「ボルトオンジョイント(デタッチャブル)設計」がもたらす生産効率の良さ。
今となってはボディ材とネック材を「ネジ留め」してしまう発想に目新しさはないですが、1950年代初頭のギター業界では大胆で異色のものでした。
ここでしばしば創業者レオ・フェンダーのルーツが、ラジオ修理サービスのキャリアにあることが引き合いに出されますね。
つまり、「楽器」の既成概念に捉われることなく、いわば工業製品のごとく製作・メンテナンスできるフェンダーの哲学を体現したようなエッセンスといえます。

後発の「ストラトキャスター」にも理念が引き継がれますが、「テレキャスの方が、よりシンプルなフラット形状のボディで使用されていてパーツの数も少ない」のが特筆すべきところ。

無駄を削ぎ落したデザインに由来する超ストレートなサウンドは「テレキャスターならでは」だね。
Telecasterは、もともとアメリカのカントリー系ミュージシャンに重宝され、現代ではポップスやロック等々のジャンルでも欠かせないエレキギターの象徴的な存在となっています。
スクワイヤー・テレキャスターの種類は10モデルから選べる
それでは、具体的なスクワイヤー・テレキャスター製品について、ソニック・シリーズ、アフィニティ・シリーズ、クラシックヴァイブ・シリーズの順番でチェックしていくことにしましょう。

記事の末尾では、仕様比較の一覧表でおさらいできるようにしてあります。結構なボリュームがあるので、見比べるのが大変であれば目次から気になるモデルを絞って狙い撃ちしてみてください。

ソニック・テレキャスターはバレットシリーズに変わるエントリーモデル
まずは2023年6月に発表された「ソニックテレキャスター」から見ていくことにしましょう。
2026年4月にも新製品が追加されていまして、前身となったのは近年インドネシアで製作されてきた「バレット・テレキャスター」というモデル。
テレキャスターの場合はボディの裏面から弦を通す仕様が伝統的なのですが、本製品ではブリッジと平行に弦を通すタイプのブリッジを採用。一層シンプルな構造でコストを抑えて製作できるようになっています。
ラインナップの中で最も安い価格帯なので、当然ギター初心者向けのスペックを意識してデザインされていますね。
スリムなネックシェイプで、ボディ側も薄型軽量になるように配慮。「キャナリーイエロー、カリフォルニアブルー、トリノレッド、ブラック、バタースコッチブロンド」とポップなカラーバリエーションが展開されています。
アフィニティ・テレキャスターはスクワイヤーを代表するロングセラー機種
続いて、スクワイヤーのアフィニティ・テレキャスターは、価格が安いだけでなくカラーの豊富さもダントツでギター初心者へのおすすめに取り上げられやすい代表製品ですね。
シリーズ名の「アフィニティ」という単語には「親近感、相性の良さ」といった意味があり、初出は1997年までさかのぼります。
最新モデルについては2021年9月にアップデートされたバージョンで、手の小さい方でも扱いやすいCシェイプのネックグリップが好評です。

ネックがサラサラした質感の塗装だから、汗をかいてもポジション移動しやすいね。
現行機種は軽量なポプラ材(ヤナギ科の落葉広葉樹)で製作されたボディで、テレキャスターのボディシェイプはストラトキャスターと並べると比較的小ぶりに見えるはずです。
画像のようにブリッジプレートの淵(枠)がついていないので、ヴィンテージタイプと違いピッキング/ストロークする右手がぶつからないのも嬉しいですね。

アフィニティシリーズの場合、前述のソニックテレキャスターと異なり、ボディ裏側にバックコンター加工が施されており、演奏者の身体にフィットしやすい形状が採用されました。
アフィニティシリーズとして「FSR Affinity Series Telecaster」という限定モデルが販売されていることがあります。スポット生産のカタログ外仕様で、先頭の「FSR」表記はファクトリースペシャルランの略です。
アフィニティ・テレキャスターではFMT仕様とシンライン仕様も選べる
そのアフィニティ・テレキャスターには2024年7月からFMT仕様およびシンライン仕様の新製品が登場しています。
前者の「FMT」はフレイムメイプルトップの略称、オクメボディの表面に化粧板をラミネイトすることで美しい木目が透けて見えるデザインとなっています。
カラーはクリムゾンレッドトランスペアレントとモカで、ボディの縁取り部分のバインディングも別色ですね。
FMTモデルの型番にはSHという記号も含まれていますが、これはピックアップの仕様がシングルコイル(S)とハムバッカー(H)を組み合わせていることを意味しています。
フロントピックアップの音色がレギュラーモデルより、太くパワフルなサウンドになりやすいスペックです。

後者のシンライン仕様については、ポプラボディをチェンバード構造にすることで軽量化したモデルです。
3カラーサンバーストのネックにはメイプル指板、オリンピックホワイトのネックにはインディアンローレル指板が採用されています。
後述するClassic Vibe 60s Telecaster Thinlineと異なり、より現代的な6wayタイプのブリッジプレートが搭載されました。
クラシックバイブ50sテレキャスターは初期のブラックガードを復刻
以降は「Classic Vibe Series」という「クラシックな雰囲気・空気感」をコンセプトにした製品群です。
2019年の夏に発表されたClassic Vibe 50s Telecasterは、1950年代前半のオリジナル・テレキャスターで通称「ブラックガード」がモチーフとなっています。
ボディの木材は「バタースコッチブロンド(黄色系)、ホワイトブロンド(白系)」の両色ともにマツ科の針葉樹パイン材を採用。
近くでよく見ると、控えめながらうっすらと浮かんで見える木目が「いかにもテレキャスター」という佇まいでかっこいいですね。

ブリッジの駒は「6弦/5弦、4弦/3弦、2弦/1弦」で分かれた構造で、「3wayタイプ」もしくは「3連サドル」と呼ばれるオーソドックスなスタイル。
ヴィンテージスタイルのペグ(糸巻)と相まって、ルックスとサウンドの両面でオールドに寄せた仕上がりです。

フェンダー系のネック幅として標準的な1.65インチ(42mm)のナット幅だね。
「9.5インチR(241ミリ)指板・ナロートールフレット」の採用によって、音詰まりやビビリなどのストレスが出にくいように配慮されています。
クラシックバイブ60sカスタム・テレキャスターは両面バインディングが人気
そのもう一つ後の年代を代表するClassic Vibe 60s Custom Telecasterは、「ダブルバウンドボディのカスタム・テレキャスター」スタイルです。
「ダブルバウンド」がどういう意味かと言うと、正面だけでなくボディ表裏両側に白い縁取り(セルバインディング)が施されているデザインのことを示しています。
ギターのヘッド部分にCustom Telecasterと文字があり、70年代モデルの「テレキャスターカスタム」と区別するために、「カスタムテレキャスター」と呼称するのが一般的。
オリジナルがリリースされた1959年当時、テレキャスターのレギュラー仕様がブロンド仕上げだったところ、カスタムテレキャスターには「サンバースト仕上げ」が採用されました。
グラデーションの効いた塗装で淵の部分が黒いのですが、バインディングがあることで全体的に引き締まった高級感のある装いになっていますよね。
カスタムテレの愛用者は、ジョン・フルシアンテやシェリル・クロウ、アンディ・サマーズのイメージが強いでしょうか。
スクワイヤーの現行版では、ピックガードが真っ白ではなく、やや淡い色味の「パーチメントカラー」が組み合わされました。
現在は27インチスケールの特殊仕様、バリトン・カスタムテレキャスター(Classic Vibe Baritone Custom Telecaster)もラインナップされているので間違えないようにご注意ください。
クラシックバイブ60sカスタム・テレキャスターにビグスビー搭載モデルが追加
さらにClassic Vibe 60s Custom Telecasterには2025年7月からビグスビー付きのモデルも加わっています。
こちらはフロントピックアップがハムバッカー仕様となっているのが面白いところで、クラシックバイブシリーズとしては異色のスペックです。
本製品に関しては、ヴィンテージを復刻しているというより、ファクトリー出荷後にカスタマイズされた改造モデルを再現したような仕上がりとなりました。
ビグスビーアームでヴィブラートをかけた際にチューニングが狂ってしまう問題を軽減するために、ムスタングモデル用のサドルがセットされていますね。
クラシックバイブ60sテレキャスター・シンラインは軽量なセミホロウ構造
続いてボディの低音弦側に「f字形状のサウンドホール(fホール)」をあしらったテレキャスター、Classic Vibe 60s Telecaster Thinlineをご紹介しましょう。
ボディに厚みがある標準的な「ハコモノ」とは異なり、薄胴仕様(シンライン)のテレキャスター形状を踏襲しながら、ボディ内部に空洞を設けた構造となっています。
エレキギターの歴史で「薄胴のハコモノ」というのは1950年代後半から注目されるようになり、フェンダー社は1960年代後半にこのテレキャスター・シンラインを発表しました。
「フルアコ/フルホロウモデル」のようにハウリング対策がシビアではなく、それでいて温もりとアコースティック感のある響きが好評ですね。

本製品は、当時のサウンドを復刻するために研究開発されたヴィンテージ志向のアルニコマグネット・シングルコイルピックアップを搭載。
現行モデルは、マホガニー材の代替としてスタンダードなナトー/ニャトー材(アカテツ科の広葉樹)で製作されています。

真珠を模したパーロイド・ピックガードの光沢が華やかでステージ映えするよね。
クラシックバイブ70sテレキャスター・シンラインは2ハムバッカーが特徴
続いて、テレキャスターシンラインが1970年代前半に仕様変更された後のスペックに由来するClassic Vibe 70s Telecaster Thinlineです。
ヘッドロゴにある「Squier」の字体もフェンダー本家の仕様変遷を意識して、60年代モデルとは異なる力強い太字フォントになっていますね。
「ワイドレンジ・ハムバッカー・ピックアップ」は金属カバーのロゴ刻印がアクセントで、60sモデル以上に芯が太くて馬力のある音色が魅力。
ピックガードが大きくブリッジの種類も異なるので、同じ「テレシンライン」でも前述モデルと全く違った印象を受けるのではないでしょうか。

お手頃な価格のシンラインといえば、スクワイヤーの旧モデル「Vintage Modified 72 Tele Thinline」がロングセラーでしたが既に生産完了。
当時はアッシュ材で製作されていましたが、世界的に木材の供給難が続く状況から、新たにソフトメイプル材(カエデ科の広葉樹)にて設計開発されるようになりました。
クラシックバイブ70sテレキャスター・デラックスは通好みの個性派モデル
ぱっと見、テレキャスターカスタムだと思うかもしれませんが、Vintage Modified 70s Telecaster Custom、Classic Vibe 70s Telecaster Customは生産完了。本製品はClassic Vibe 70s Telecaster Deluxeというモデルです。
テレキャスター系のボディシェイプでありながら、ストラトキャスタースタイルのヘッドになっているのが非常にユニークですね。
テレキャスターデラックスの場合、テレカスタムと異なり、ネック側ピックアップとブリッジ側ピックアップの両豪がハムバッカータイプになっています。
各弦ごとに独立した6連ブリッジサドルなので弦高・オクターブ調整が行いやすく、バックコンター付きのボディ形状も使い勝手が良いですね。

パンチ感のあるサウンドだけどパワーが強すぎないのが良い感じ。
ヴィンテージと違い、ネックジョイントが3点留めではなく4点留めで復刻されており、「ブラック、オリンピックホワイト」の両色ともにメイプル指板で製作されています。
他モデルほど知名度は高くないので、「できれば周りのギタリストと同じモデルでかぶりたくない」という方もチェックしてみてください。
まとめ:Squier by Fenderのテレキャスター仕様一覧
ここまでの総復習でスクワイヤー・テレキャスター現行機種の主な仕様を下表に整理してみました。
しばしば予告なく、マイナーチェンジされることもありますが参考資料としてご活用ください。
| 仕様 | ソニックテレキャスター | アフィニティテレキャスター(旧) | アフィニティテレキャスター(新) | アフィニティテレキャスターFMT | アフィニティテレキャスターシンライン | 50Sテレキャスター | 60Sカスタムテレキャスター | 60Sカスタムテレキャスタービグスビー | 60Sテレキャスターシンライン | 70Sテレキャスターシンライン | 70Sテレキャスターデラックス |
| ボディ材 | ポプラ | ポプラ | ポプラ | オクメ/フレイムメイプル | ポプラ | パイン | ナトー | ポプラ | ナトー | ソフトメイプル | ポプラ |
| ボディ塗装 | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン | グロスポリウレタン |
| ネック材 | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル | メイプル |
| ネック塗装 | サテンウレタン | サテンウレタン | サテンウレタン(グロスヘッド) | サテンウレタン(グロスヘッド) | サテンウレタン(グロスヘッド) | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン | ティンテッド・グロスウレタン |
| ネックシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ | Cシェイプ |
| ナット幅 | 1.65インチ(42ミリ) | 1.6インチ(40.6ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) | 1.65インチ(42ミリ) |
| 指板R | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) | 9.5インチ(241ミリ) |
| フレット | 21ナロートール | 21ミディアムジャンボ | 21ミディアムジャンボ | 21ミディアムジャンボ | 21ミディアムジャンボ | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール | 21ナロートール |
| ピックアップ(B) | セラミックシングルコイル | シングルコイル | セラミックシングルコイル | セラミックシングルコイル | セラミックシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | ワイドレンジハムバッキング | ワイドレンジハムバッキング |
| ピックアップ(N) | セラミックシングルコイル | シングルコイル | セラミックシングルコイル | セラミックハムバッカー | セラミックシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコシングルコイル | アルニコハムバッカー | アルニコシングルコイル | ワイドレンジハムバッキング | ワイドレンジハムバッキング |
| ブリッジ | 6wayブロックサドル(トップロード) | 6wayブロックサドル | 6wayブロックサドル | 6wayブロックサドル | 6wayブロックサドル | 3wayヴィンテージスタイル | 3wayヴィンテージスタイル | 6wayムスタングサドル | 3wayヴィンテージスタイル | 6wayヴィンテージスタイル | 6wayヴィンテージスタイル |
ナットの素材は「アフィニティシリーズ」が樹脂で、「クラシックバイブシリーズ」は牛骨。バリトンモデルを除くネックの弦長はいずれも25.5インチ(約648ミリ)のロングスケールで、弦のゲージは工場出荷時に09-42でセットアップされています。
なお、本編では割愛しましたが、テレキャスターのバリエーションとして、1ピックアップ仕様のエスクワイヤという選択肢もあります。
よりシンプルな構成、ストレートなサウンドや操作性を重視する方は合わせてチェックしてみてください。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!










