みなさんEpiphoneのカタログモデルが2020年から大幅に刷新されたことはご存知でしょうか。
それ以前だと、エピフォンSG定番モデルといえば、「G-400」「G-310」等が有名でしたが、現行モデルではギブソン本家由来の「SG Standard」「SG Custom」「SG Special」といった製品名が採用されるようになりました。
新ラインナップではヘッド形状や電装パーツもリニューアルされ、「エピフォン・インスパイアドバイ・ギブソン」シリーズの他、「エピフォン・インスパイアドバイ・ギブソンカスタム」といった上位シリーズも展開されています。
日本市場にほとんど入荷していないモデル、アメリカ・ヨーロッパ向けの製品等は割愛しつつ、主要な現行製品は一通りカバーできるように、元楽器店員視点でSGモデルの選び方を解説していきたいと思います。
ギター初心者向けで予算を抑えたいときに選ぶエピフォンSGの種類
ギブソンSG・エピフォンSGに共通しているデザインの特徴として「ボディが薄く軽量なこと、ネックジョイント位置が浅くハイポジションまで指が届きやすいこと」が挙げられます。

ボディが軽量なぶん、重心の位置に慣れが必要な場合もありますが、適度な甘さを感じる音色、歪ませたときにも歯切れの良いサウンドが人気です。
まずギター初心者向けのカテゴリーとして、「SG Tribute」と「Power Players SG」からチェックしてみましょう。
SGトリビュートは従来のエントリーモデル品質をアップデート
エピフォンで廉価版のSGといえば、2017年に発売されたSG Special VE Vintage Editionというモデルが有名でした。
旧来のエントリーモデルではヴィンテージウォーン・フィニッシュと呼ばれるような艶消し、サテン系の塗装が主流でしたが、こちらのSGトリビュートではクラシックな光沢のある質感となりました。
Epiphone SG Tribute
ミドルクラス以上のモデルとの違いは、コストを抑えるために「ボルトオンジョイント」を採用していること。背面を見ると金属のプレートがあり、ネック接合方式がネジ止めになっていることが分かりますね。
Epiphone SG Tribute
コントロールノブの配置に関しても、標準的な2ボリューム/2トーンではなく、1ボリューム/1トーンにアレンジされており、コストを抑えつつシンプルな操作感を実現しています。
ピックアップは650R、700Tというセラミックマグネット仕様で、力強く明瞭なサウンドを目指したものですね。
2026年にはフレイムメイプルトップのSG Tribute Plusもラインナップに追加され、見た目の華やかさとともに、ネックジョイントもテーパードヒール仕様にアップグレードされました。
SG Tribute Plusについては、「Jay “Raoul” SG Tribute Plus」というアーティストモデルが2026年7月に発売されていますが、ギブソン・ジャパンの特設オンラインストアでの限定販売(ニュース記事)となっています。
パワープレイヤーズSGは短めのネックと小ぶりなボディが特徴
続けて、ギター初心者の方におすすめしやすいSGモデルとして、2022年7月に発売されたパワープレイヤーズSG(パワープレイヤーSG)をご紹介します。
Epiphone Power Players SG
上述したSGトリビュートと同様にボルトオンジョイントタイプで価格を抑えているのは共通ですが、パワープレイヤーズSGの最たる特徴は「7/8スケール」を採用していることです。
商品説明によっては「3/4+スケール」と表記されていることもありますが、それだけではイメージしにくいですよね。下記の公式動画を参考にしてみてください。
ギブソンやエピフォンでは24.75インチ(約62.9cm)スケールが標準のところ、本機種は22.73インチ(約57.7cm)スケールのネックで設計。
約5.1cmほどナットとブリッジの距離が短くなっている仕様で「ミニギターとしては比較的大きめ」くらいの表現がしっくりくると思います。
ネックの長さだけでなく、ボディ側も小さくデザインされているのですが、想像以上に力強いサウンドであなどれません。
ミドル価格帯で最も代表的な定番製品から選ぶエピフォンSGの種類
ここからはもう少しワンランク上のグレードで、「エピフォンSG現行モデルの代名詞」と呼べるオーソドックスな製品群についてチェックしていきましょう。

エピフォンの公式サイトを見ると、「Inspired by Gibson」「Inspired by Gibson Original」「Inspired by Gibson Custom」「Inspired by Gibson Modern」「Original」「Original Designer」「Base」「Artist」と様々なシリーズ名が並んでいます。
それらのうちInspired by Gibsonに分類されている「SG Standard」と「SG Special」、Inspired by Gibson Modernに分類されている「SG Custom」の3製品を以下で取り上げていきます。

SGスタンダードはラージピックガード仕様が映える王道モデル
もともとギブソンのSGスタンダードは、同型番であっても生産時期によって標準仕様の変遷がありました。
現行のEpiphone SG Standardは、ラージピックガード仕様という1966年後期以降のSGをモチーフにしているのが特徴です。
Epiphone SG Standard
コウモリの羽根を彷彿させるので「バットウィング」という通称もあるのですが、いかにもロックギター然とした佇まいですよね。
旧シリーズでは「Epiphone G-310」もラージガードスタイルの定番機種でした。
過去のエピフォン製品からは、ボディ形状やヘッド形状のアップデートが図られており、弦振動の伝達ロスを縮減するLockToneブリッジ、評判の良いグラフテックナットやCTSポットといったパーツも近年おなじみの仕様になってきました。
2025年~2026年モデルではピックアップにProBucker 2とProBucker 3を搭載。ヴィンテージフィールを基調にしつつも、汎用性を高めるために若干出力を上げる工夫が施されています。
SGカスタムは高級感あふれるゴールドハードウェアとエボニー指板
エピフォンSGカスタムは、文字通りSGスタンダードの上位機種にあたります。
スタンダードとの違いとして、パーツ類がゴールドメッキに変更され、インレイもブロックポジションマークへとアップグレードされているのが特徴です。
Epiphone SG Custom
さらに、ヘッド周囲にはマルチプライ(複層)の縁取りが施され、クラウンインレイのかわりにスプリットダイヤモンドインレイを埋め込んだ華やかなデザインになっていることも挙げられます。
2026年モデルのSGカスタムはアルパインホワイト(白)とエボニーブラック(黒)があり、上述した以外の基本スペックはSGスタンダードと共通ながら、指板材にエボニー材を採用しているのも魅力ですね。
SGスペシャルはP90とラップアラウンドブリッジでダイレクトな音色
「SG Special」という名前は復刻モデル以外にも使われるため少しややこしいのですが、2026年モデルは1960年代のGibson SG Specialをモチーフにしたクラシックな仕様です。
グレードとしては「SGジュニア」と「SGスタンダード」の中間にあたり、ポジションマークもシンプルなドットインレイになっています。
Epiphone SG Special P-90
SGスペシャルにはP-90ピックアップが搭載されており、一般的なシングルコイルよりもコイルが平たく幅広く巻かれている構造です。
マグネットの磁界が広く、キレの良さと粘りを兼ね備えたサウンドが根強い人気。
シングルコイルとハムバッカーの中間的な音色だと評価されることもありますね。
ブリッジについても「チューンオーマチックスタイル」ではなく、「ストップバータイプ」のシンプルな設計が特徴。
これは「ラップアラウンドブリッジ」とも呼ばれ、ギターから出力される音色も一層ストレートな響きに感じることでしょう。
なお、同じEpiphone SG Specialでも2022年に登場したトニー・アイオミのシグネチャーモデルは少し特殊です。
過去のエピフォン版シグネチャーとは異なり、彼が愛用した改造済みの1964年製Gibson SG Special、通称「Monkey」をモチーフにしていることを補足しておきます。
ヴィンテージを復刻した最高峰シリーズで選ぶエピフォンSGの種類
ここからはエピフォンSGモデルの中でハイエンドに属する製品について説明していきます。
「Epiphone Inspired by Gibson Custom」といって、エピフォンとギブソンカスタムショップのコラボレーション企画によって実現したヴィンテージリイシューモデルです。
ギター入門者向けモデルというよりは、ギブソンのレギュラー製品と比較検討するような価格帯になってきます。
「1964 SG Standard Reissue With Maestro Vibrola」と「1963 Les Paul SG Custom With Maestro Vibrola」を順番にチェックしていきましょう。
カスタムショップコラボ・SGスタンダードはファン待望の1964年仕様
モデル名の通りではありますが、Inspired by Gibson CustomシリーズのSGスタンダードは1964年当時のギブソンSGを忠実に再現することに重きを置いています。
Epiphone 1964 SG Standard Maestro Vibrola
ジョージ・ハリスンやエリック・クラプトンが愛用したSGが1964年製だったということもあり、多くのSGプレーヤーが憧れている年式ですね。
マエストロ・バイブローラは見た目がかっこいいだけでなく、ヘッド落ちしにくくなる利点もあります。
SGモデルにはスリムなネックシェイプで製作されることが多いですが、本モデルは若干ネックグリップに厚みを感じるプロファイルです。
アルニコ3マグネットを使用したGibson Custombucker、ヴィンテージグロス・フィニッシュの採用など、エピフォンのフラッグシップモデルに相応しいこだわりが詰め込まれました。
カスタムショップコラボ・SGカスタムは1963年仕様の3マイクモデル
ギブソンの歴史をさかのぼると、もともとSGはレスポールモデルの後継として登場した経緯があり、初期モデルは通称「レスポールSG」と言われます。
本製品は1963年当時の個体、トラスロッドカバーにLesPaulのロゴが入っていた最終期のSGカスタムを復刻したというコンセプトです。
Epiphone 1963 Les Paul SG Custom Maestro Vibrola
SGモデルにおける「スタンダード」と「カスタム」の違いについては前述しましたが、3ピックアップ仕様こそが「王道のカスタム」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
本製品ではロングテノンと呼ばれるネックジョイント工法も再現されています。
3マイク仕様ならではの弾き心地について賛否が分かれる面はありますが、ゴールドのマエストロ・バイブローラと相まって格別のプレミアム感。
1964年モデルと同様にGibson Custombuckerを搭載している他、VOS (Vintage Original Sheen) Polyurethane塗装によるクラシックホワイト・フィニッシュなど本格志向の一本です。
モダンデザインや最新スペックにこだわって選ぶエピフォンSGの種類
ここまでご紹介したSGモデルを振り返ると、いずれも程度の違いこそあれ基本コンセプトはトラディショナル志向でした。
エピフォンSGには伝統に固執しない現代的なスペックを盛り込んだモデルも毎年のようにリリースされており、近年ではSG Muse(SGミューズ)、SG Modern(SGモダン)、SG Prophecy(SGプロフェシー)などのラインナップが代表製品として挙げられます。
現行モデルとしては2026年4月発売の新製品「Futura SG Custom」、続いて「SG Modern Figured」について解説していきます。
フューチュラSGカスタムの先鋭的なコンセプトに注目が集まっている
2026年4月に新発売されたフューチュラシリーズのSGカスタムは他モデルと一線を画したデザインに差別化されていますね。今期のエピフォンが積極的に推しているバリエーション展開です。
ピックアップカバー、エスカッション、スイッチノブ、コントロールノブを全てメタルパーツで統一。ポジションマークのスプリットインレイはSuper400というジャズギターで有名なモチーフになっています。
Epiphone Futura SG Custom
そして何より塗装の質感がユニークなのですが、どうしても静止画では分かりにくいのでぜひ下記の公式動画をご覧ください。
「chromashift color-shifting finishes」と説明されていて、SGモデルのカラー名は「ミッドナイト・エンバー・シフト」「ニトロ・シフト」「ドラゴンフライ・シフト」です。
いわゆるマジョーラカラー、偏光塗料の一種なのですが、見る角度によって大胆に色合いが変化するのがインパクト抜群でしょう。
ボディトップと周囲のコンター曲面部分、ボディサイドの色味が変化して見えるのが面白いです。
演奏性能に関わる部分では、指板Rがローポジションとハイポジションで異なるコンパウンド・ラジアス指板になっていること、ステンレススチールフレットになっていることも魅力。
新開発のピックアップ(ProBucker Ignite)はプッシュプル式のボリューム/トーンでコイルタップやフェイズ切り替えができる配線なので、手元の操作だけで簡単に音色のバリエーションを増やせるアドバンテージがあります。
SGモダンフィギュアドは24フレット仕様で存在感の強いメイプルトップ
上記のFutura SG Customほど先鋭的ではないものの、SGモダンフィギュアドがコンテンポラリー路線で近年レギュラー入りしています。
マホガニーボディのトップ材に、AAA(トリプルエー)グレードのフレイムメイプルをラミネイトしたエレガントな装いですね。そして24フレット仕様のネックが最大の特徴といえるでしょう。
Epiphone SG Modern Figured
SGモダンもFuturaシリーズと同様、サウンドバリエーションがつくりやすい配線となっており、シングルコイル風のエッジが効いたサウンドにするコイルスプリット機能、フェイズ(位相)切り替えも可能です。
トレブルブリード回路を採用していて、ボリュームを絞った際にハイ落ちしにくいのもメリット。
ロック式ペグや非対称形状のネックプロファイル、Epiphone ProBucker ピックアップを組み合わせた次世代志向の一本に仕上がっています。
まとめ
以上、エピフォンSGモデル(2026年新製品および現行モデル)の選び方として、まず「ギター初心者向けモデル」「ミドルクラス定番モデル」「ヴィンテージリイシュー系のハイエンドモデル」「モダンスタイル」と大きく4系統に分類。
そのうえで各カテゴリーに属するSGモデルごとの特徴や違いを解説してみました。製品比較の候補探しやレビュー評価を調べる際の参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。











