エピフォンSG製品の全機種を解説|2023年の現行モデル

エピフォンSG製品の全機種を解説|2023年の現行モデルギターの選び方を解説

Epiphoneのカタログラインナップが2020年から大幅に刷新されたことはご存知でしょうか。

本記事更新時点(2023年1月)では、従来よりギブソン本家に近いシリーズ体系となっており、ヘッドの形状や電装系(エレクトロニクス)もリニューアルされました。

ことSGモデルのギターに関しては、「エピフォン・インスパイアドバイ・ギブソン・コレクション」の登場にともない旧定番製品「G-400」や「G-310」といったモデルが生産完了になっているんですよね。

あらゆる舞台・あらゆる段階の人に向けた「EPIPHONE FOR EVERY STAGE」がブランドのコンセプトに掲げられているよ。

以下では私自身の楽器店勤務経験をもとに、2020年~2022年に発表されたモデルを中心とした「Epiphone最新SGモデルの違い・選び方」をカテゴリー別に全機種解説していきたいと思います。

ギター初心者向けエピフォンSGモデルの種類【2023年版】

他のエレキギターと比較したときにギブソンやエピフォンのSGに共通している特徴

まず、「ボディが薄く軽量なこと、ネックジョイント位置が浅くハイポジションまで弾きやすいこと」が挙げられます。

最終フレットまで運指しやすいSGのダブルカッタウェイデザイン
最終フレットまで運指しやすいSGのダブルカッタウェイデザイン

これはエレキギター初心者でも演奏のストレスを感じにくいので、おすすめしやすい仕様といえるでしょう。

その軽さゆえにバランスに慣れが必要な場合もありますが、音色に適度な甘さがあり、またアンプで歪ませたときにも歯切れの良いサウンドが人気です。

コスパ重視のSGスペシャル・ヴィンテージエディションでエピフォンを気軽に体験

現在入手可能な製品で最もお手頃なグレードであるSGスペシャルのVE(ヴィンテージエディション)は2017年に登場しました。

最近は「SG Special Satin E1 Vintage Worn」と表記されることもあり、Epiphone 2020-2021-2022 Lineupに掲載されていない「カタログ外モデル」ですが、気軽に試せる価格でエレキギター入門者向けに好評です。

画像をタップするとAmazonで表示 Epiphone SG Special VE

本記事で中盤以降で紹介している他モデルと異なり、コストを抑えるために「ボルトオンジョイント」という「ネジ留めによるネック接合方式」で製作されています。

塗装もヴィンテージウォーンフィニッシュによるマットな質感だね。

カラー展開は「エボニー(黒色)、ウォルナット(茶色)、チェリー、ヘリテージチェリーサンバースト」のラインナップですね。

ピックアップに金属のカバーが付いていないタイプで、セラミックマグネット仕様の明瞭なサウンド。ボリュームやトーンの配置もシンプルなので手元の操作にも悩まされません。

全体サイズを小さめにアレンジしたパワープレイヤーズSGが2022年夏に新発売

続いて初心者向けモデルとしては2022年7月に発売された新製品、パワープレイヤーズSG(パワープレイヤーSG)をご紹介しておきましょう。

上述したSGスペシャルVEと同様にボルトオンジョイントタイプのネックジョイントで、最たる特徴は7/8スケールを採用していること。

画像をタップすると楽天市場で表示 Epiphone Power Players SG

「8分の7サイズ」というのは聞き慣れない方が多いかもしれません。これはおおよその縮尺のため、商品説明文によっては「3/4+」と表記されていることもあります。

実際にネックの長さに着目してみると、ギブソンやエピフォンでは24.75インチ(約628.65cm)が標準のところ、本機種の設計では22.73インチ(約577.34cm)です。

Epiphone Power Players Les Paul & SG Demo
エピフォン公式YoutubeチャンネルのPower Players Les Paul & SG デモ演奏動画

約5.1cm短くなっているという違いはギター初心者の方にとってイメージが掴みにくいと思いますが、「ミニギターの中では少し大きめの製品」くらいの表現がふさわしいでしょうか。

ネックの長さだけでなく、あわせてボディ側も小さくデザインされているものの、なかなか力強いサウンドであなどれません。

トラディショナルスタイルで選ぶエピフォンSGモデルの種類【2023年版】

さて、最新のEpiphone製品は「オリジナルSGコレクション」と「モダンSGコレクション」にギターの体系が分かれました。

以下に見ていく「トラディショナル路線のSGモデル」は前者に分類され、1960年代のギブソンを復刻することがコンセプトになっています。

トラディショナルスタイルのスモールガードSGモデル
トラディショナルスタイルのスモールガードSGモデル

ボディとネックに使用されている木材はマホガニーで、Gibson系ギターに典型的な「セットネック構造」です。

そのうえで摩擦抵抗の少ない「グラフテックナット」や、弦振動の伝達ロスを縮減する「LockToneブリッジ」といった定評のあるパーツを採用。

また、2020年のアップデート以降は、ギブソン本家に準じるスペックとしてCTS製のポットが採用されるようになりました。

ラージガードに存在感があるSGスタンダードはスリムテーパーネックを採用

ここで、やはり王道はSGスタンダードでしょう。ボディ中央部の「ラージピックガード」に存在感がありますね。

旧製品では「Epiphone SG G-310」が同様のラージガードでしたが、この外観には「いかにもロックギターっぽい」という印象を抱く方が多いです。

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コウモリの羽根に例えて「バットウィング」とも呼称されるよ。

「ヘリテージチェリー(赤色)、エボニー(黒色)、アルパインホワイト(白色)」の3色とも60sスリムテーパーという薄めのネック形状

これは単にスリムなだけでなく、指板サイドの加工が滑らかで握り込みやすいのが魅力でしょう。

ハムバッカーピックアップの種類は定番Alnico Classic PRO、ヘッド形状も従来よりGibsonのデザインに近づけるアップデートが施されました。

アーム付きSGスタンダード60s(61マエストロ・バイブローラ)はヘッド落ち対策にも有効

こちらは1961年にSGモデルがリリースされた当初のヴィンテージ・リイシュー(復刻)で、深みのあるチェリーカラーがモチーフ。

SGスタンダードがボディトップの大部分を覆い込むラージガードだったのに対して、本製品は「スモールピックガード」デザインと呼ばれます。

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2022年1月以降、「SG Standard 60s」という名称に切り替わったのですが、それ以前の流通分など「SG Standard 61」と表記揺れがあります。

エピフォン旧製品では「SG G-400」モデルがスモールガード仕様でしたね。

「マエストロ・ヴァイブローラ」のアームユニットは見た目の美しさだけでなく、ギターから左手を離した際にヘッド側が下がりやすいバランス(ヘッド落ち)の改善にも一役買っています。

下記「アームなし・ストップテイルピースの61年モデル」も、SG Standard 60s (61 Maestro Vibrola)とブリッジ以外のスペックは共通。

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弦交換のしやすさ、チューニングの安定感では若干こちらの「ストップテイルピース仕様」に軍配があがるでしょうか。

ProBuckerピックアップは、Gibsonがヴィンテージ志向で開発設計したBurstbuckerをエピフォン流にアレンジしたものとなっています。

コイルを巻くボビンのサイズや形状にもこだわって、土台やカバーまで当時のニッケルシルバー合金を再現しているよ。

ギブソンカスタムショップと共同開発版のSGスタンダードも2021年12月に発売

上記モデルとの違いが少々紛らわしいのですが、後発でギブソンカスタムショップとエピフォンがコラボレーションしたSGモデルが登場しています。

製品名が1961 Les Paul SG Standardとなって、「レスポール」がモデル名に含まれているところに着目しましょう。

画像をタップするとAmazonで表示 Epiphone 1961 Les Paul SG Standard

トラスロッドカバーにLesPaulのロゴが入っているのは実際にヴィンテージのSGに見られる仕様。

価格も結構変わりますが、バックパネルからもエピフォンとギブソンのコラボレーション製品であることが分かるようになっています。

スモールガードでありながら、ピックガードの長さは既存のモデルより若干長くなっており、ペグもコブが多いダブルリングという仕様でさらにオールドに近づけてあります。

1961 Epiphone Les Paul SG Standard
1961 Epiphone Les Paul SG Standard|エピフォン公式Youtubeチャンネル

カラーに関しても「Aged Sixties CherryとAged Classic White」でレギュラー版と区別されて、一層の風格を感じさせる佇まいとなっています。

本製品ではGibson BurstBuckerピックアップを採用しているうえに、付属品に関してもハードケースにアップグレードされました。

ダイヤモンドインレイが映えるSGカスタムはエボニー材の指板で製作されているモデル

続いてのSGカスタムは、もともとが前述した「SGスタンダード」の上位機種にあたります。

ゴールドハードウェア・四角いブロックポジションマークで、装飾面のアップグレードがされているため見分けが付きやすいでしょう。

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ヘッドの縁取りも複層のバインディングとなり、中心に「クラウンインレイ」ではなく「スプリットダイヤモンド・インレイ」をあしらった高級感ある仕上がりです。

現行機種は「無印のSGスタンダード」と同様にプラスチックボタンのキーストンチューナー、アルニコクラシックプロ・ピックアップを搭載。

エボニーカラーのフィニッシュに合わせて、稀少なエボニー材の指板が採用されているのもSG Custom特有で注目したいところですね。

モダンスタイルで選ぶエピフォンSGモデルの種類【2023年版】

次は、より現代的なアプローチで開発設計された「モダンSGコレクション」のご紹介です。

2023年1月時点のラインナップは「SGミューズ、SGモダン、SGプロフェシー」の3機種

いずれもピックガードの付いていないスタイリッシュな外観のギターになっています。

随所にヴィンテージスタイルと一線を画するスペックが盛り込まれているのでチェックしてみましょう。

メタリックカラーが斬新なSGミューズはハイ落ちに強い配線で柔軟な音作りに対応

ラメ光沢がある個性的なメタリックフィニッシュが際立つSGミューズが下記です。

「グリーン、ホワイト、ブルー、パープル、ブラック、レッド、アーモンド」と7色に及ぶ豊富なカラーバリエーションが採用されました。

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ライブのステージやSNSの動画でも、ばっちり映えるような色合いですね。

そして、SG Museでは見た目の斬新さだけでなく配線周りにも工夫が施されています。ボリュームを絞った際に高域が減衰すること(ハイ落ち)の対策として「トレブルブリード回路」を採用。

The New Epiphone Muse Collection. For Every Stage.
The New Epiphone Muse Collection. For Every Stage.|エピフォン公式Youtubeチャンネル

さらにスケルトンカラーのノブを引き上げる操作によって、シングルコイル風のエッジが効いたサウンドにするコイルスプリット機能、フェイズ(位相)切り替えまで対応しています。

カスタムCシェイプという、やや丸みを感じさせるネックグリップが珍しいね。ペグのつまみもキーストン型でおしゃれ。

モダンコレクションの代表格SGモダン・フィギュアドはエレガントな24フレット仕様

続いてご紹介するSGモダン・フィギュアド(フィガード)は、エピフォン同コレクション代表格の製品。

マホガニーボディのトップ材に、AAA(トリプルエー)グレードのフレイムメイプルをラミネイトしたエレガントな装いが際立つモデルです。

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前述の「SGミューズ」と同様にトレブルブリード回路、コイルスプリット、フェイズ切り替えに対応した配線で彩り豊かな音作りに貢献してくれます。

「トランスブラック・フィニッシュ」の色合いは派手過ぎないのがいいね。

さらに特筆すべきポイントは、フロントピックアップの際まで指板が伸びている「24フレット仕様」ということ。

他モデルより一音分音域が広く、ネックジョイント部分まで滑らかなスリムテーパーネックで製作されているのがSG Modern Figuredの大きな特徴です。

さらに最先端を目指したSGプロフェシーは2021年に追加発表された製品

プロフェシーは「預言」という語意ですが、「モダンより先にもう一歩進んだ近未来的なスペック」を取り入れたSGの位置付けになります。

2020年からラインナップされるようになった現行モダンスタイルSGモデルの中で、やや遅れて2021年1月に追加で発表されました。

フレイムメイプルトップやオリジナルデザインのポジションマークをあしらったゴージャスな意匠で、非対称形状の24フレット仕様ネックというコンテンポラリー(現代的)なギターです。

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こちらのSGプロフェシーで見逃せないのは、Fishman Fluence Epiphone Prophecyという専用ピックアップを採用していること。

公式デモ動画のシリーズ紹介をチェックしてもらうと、ピックアップカバーの独特なデザインが印象に残ります。

一見すっきりしたボリューム/トーンコントロールですが、プッシュプルによる3段階のボイシング機能を備えているのが新しい試みといえるでしょう。

Epiphone | The Prophecy Collection
The Prophecy Collection|エピフォン公式Youtubeチャンネル

写真だけでは少々分かりにくいですが、レッド・ブルー・ブラックのトランスカラーに軽めのエイジング(経年加工)を施したヴィンテージグロス仕上げ

ロック式ペグなどの「金属パーツも艶消し」で統一感がある良い雰囲気です。

P-90ピックアップを搭載したエピフォンSGモデルの種類【2023年版】

最後にエピフォンのSGでP90ピックアップを搭載した2製品(プラス・アーティストモデル1製品)を取り上げます。

ピックアップ自体の特性としては、「ハムバッカーとシングルコイルの中間的な音色」と表現されることが多いでしょうか。

ラージガード・黒いピックアップカバーのP-90ピックアップ搭載SG
ラージガード・黒いピックアップカバーのP-90ピックアップ搭載SG

もともと「PAFハムバッカー」登場以前のギブソンを代表するピックアップで、一般的なシングルサイズのピックアップよりもコイルが平たく巻かれた形状になっています。

構造上マグネットの磁界が広く、SGギターと組み合わせたときのキレの良さと粘りを兼ね備えたサウンドが根強い人気です。

ヴィンテージ志向に生まれ変わったSGスペシャルP-90は1960年代初頭のスペックを彷彿

SGスペシャルP90は「オリジナルSGコレクション」にラインナップされてるモデルです。

以前は「エピフォン版SGスペシャル」といえば、Epiphoneブランドのオリジナルデザイン製品を指していました。

その一方で、本製品は「Gibsonで1960年代に生産されていたヴィンテージのSGスペシャル」を復刻したような仕様になっています。

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指板のポジションマークが丸ドットで「SGジュニア」と「SGスタンダード」の中間的なグレード

カラバリがスパークリングバーガンディ、フェイデッドペルハムブルーというのも渋い…。

ブリッジパーツが「チューンオーマチックスタイル」になっている他機種と違い、SG Special P-90は「ストップバータイプ」です。

「ラップアラウンドブリッジ」とも呼ばれるシンプルな構造で、ギターから出力される音色もストレートな響きに感じることでしょう。

なお、同じEpiphone SG Specialでも2022年9月に発表されたトニー・アイオミのアーティストモデルは一味違ったテイストとなっています。

上述のSGスペシャルより後期の1964年製個体をモディファイ(改造)した仕様を再現することがコンセプトです。生産完了となった旧エピフォン・トニー・アイオミモデルとは全くの別モデル。

ピックアップカバーがクロームメッキだったり、ペグ、ブリッジパーツも変更されていることに気付くでしょう。レフティもラインナップされており、こちらの付属品はハードケースです。

フェイデッド風のSGクラシック・ウォーンP-90sはギブソン定番シリーズに由来するモデル

最後にSGクラシック・ウォーンP90は「モダンSGコレクション」にラインナップされている製品です。

上述のSGスペシャルと対照的なラージピックガードデザインで、「チェリーとインバネスグリーン」の2色がありますね。

画像をタップするとAmazonで表示 Epiphone SG Classic Worn

端的には2000年代に登場したGIBSON SG CLASSIC製品に由来するエピフォン版。

その「艶消し仕様」と考えてもらうのがいいかと思います。ウォーンフィニッシュは見た目だけでなく、手触りもサラサラした塗装ですね。

1960年代後半のSGスペシャルをモチーフに、ブリッジ部分を「LockToneチューンオーマチック・ストップテイルピース」にアレンジしたとも解釈できると思います。

まとめ

ブルース、ハードロック、ヘヴィメタル、ポップスなど幅広いジャンルのギタリストに愛用されているSGモデル。

本記事で分類したように「トラディショナルスタイル、モダンスタイル、P-90搭載スタイル」などに一旦路線を絞り込んで候補を探していくと選びやすいでしょう。

取り扱い店舗を探すときには、各楽器店ごとに実施されているお得なキャンペーンなどは、下記を参考にしてみてください。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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