スクワイヤー(スクワイア)・アフィニティシリーズの現行シリーズは2021年3月に発表され同年9月から本格的に出荷開始。2024年1月現在もそれらが最新バージョンです。
Squier Affinity Seriesは、フェンダーブランド直系のエントリーモデルとして1997年の登場以来、定期的にリフレッシュされてきました。
「旧モデルとはカラーラインナップが変わっただけ?」と思いきや、じつは様々なスペック変更が盛り込まれていることに気付きましたでしょうか。
新色が追加されただけじゃなく、ギターの中身も結構変わっているんだよ。
「つい細かいところが気になってしまう」という方向けに、アフィニティシリーズのエレキギター旧仕様からどのようにスペックが変わったかを解説していこうと思います。
年式違いのアウトレットや中古品と比較する際にも参考にしてみてください。
2021年~2024年版のアフィニティシリーズ共通でアップデートされたスペック
まずは、ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスターの各機種で共通しているアップデート内容から見ていくのがスムーズでしょう。
下表はネック周りのスペックを表したもの。カタログ上のネックシェイプは”C” Shape表記のままですが、既存のモデルからはマイナーチェンジが施されています。
旧仕様 | 新仕様 | |
ネック塗装 | Satin Urethane | Satin Urethane with Gloss Urethane Headstock Face |
ナット幅 | 1.6インチ (約40.6ミリ) | 1.650インチ (約42ミリ) |
ギター初心者の方が弾きやすい「スリムなネック形状」であるのは変わらず、ナット幅(ヘッドとネックの境界付近)が少しだけ広くなって「フェンダー社でスタンダードな約42ミリの寸法」になりました。
このくらい余裕があった方が単弦を押さえやすく感じるかもしれないね。
そして「汗をかいても弾きやすいサテン塗装」は踏襲しながら、ヘッド表面をグロス仕上げにすることで「エントリーモデル特有の少々チープな雰囲気」が払拭されています。
このロゴをよく見てみると、モデル名も旧製品より太字のフォントに変わったことに気付くでしょう。
また、チューナー(ペグ)が「Standard Die-Cast」から「Sealed Die-Cast with Split Shafts」に変更されて、ペグの先端が二つに割れているのが分かります。
この「スプリットシャフト」というのは、いわゆるヴィンテージ風のスタイルなのですが、弦交換に不慣れな方でも作業がしやすくて好評です。
生産国に関してはヘッド裏に記載があって最新入荷は中国製が多いよ。インドネシア製の個体も時々みかけるね。
以下、「ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスター」の順に製品ラインナップをチェックしていきましょう。
アフィニティ・ストラトキャスターの2021年~2024年版仕様
さて、「アフィニティ・ストラトキャスター」から見てみると、モデル名に関しては新旧で共通の名称です。
細かい部分では、モデル番号(パートナンバー)を調べると「037-0600や037-0602」が入っているのが旧製品、「037-8003」が入っているのが2021年以降に発売された型番と見分けることができます。
新製品は「インディアンローレル指板の3カラーサンバースト」「メイプル指板のオリンピックホワイト、ブラック、レイクプラシッドブルー」の4色で、割引適用前のメーカー希望小売価格が税込36,520円です。
デモ動画でサウンドが聴けますが、ピックアップが「Standard Single-Coil Strat」から、新開発の「Ceramic Single-Coil」に変更されたことで音色が一層明瞭になっている印象を受けると思います。
それから、見落としがちな箇所ですがストラトキャスターではコントロールの配線が若干変更されました。
旧仕様 | Master Volume, Tone 1. (Neck Pickup), Tone 2. (Middle Pickup) |
新仕様 | Master Volume, Tone 1. (Neck/Middle Pickups), Tone 2. (Bridge Pickup) |
トーンノブは高音域をカットすることで明るさを調整できるツマミのことだよ。
「リアピックアップがキンキンしすぎて扱いづらい」というのは誰しも経験するところなので、手元で音色が調整しやすくなったのはおすすめ。
ギターのボディ厚は薄めで、その他にブリッジパーツの種類がプレスサドルからブロックサドルに変更されています。
旧仕様 | 6-Saddle Vintage-Style Synchronized Tremolo |
新仕様 | 2-Point Synchronized Tremolo with Block Saddles |
サドル質量の違いは出音にも影響する部分ですが、「2点支持トレモロでアーム奏法の使い勝手が向上」しているのが特筆すべきところでしょう。
同じアフィニティ・ストラトキャスター表記でも「ブラウンサンバースト、サーフグリーン、レースレッド、レースグリーン、スリックシルバー、2カラーサンバースト」などは旧仕様のカラーラインナップなので留意しておきましょう。
アフィニティ・ストラトキャスターのハムバッカー仕様
続いて高出力なハムバッカー・ピックアップを搭載したアフィニティ・ストラトキャスターに関しては、以前下記のAffinity Series Stratocaster HSS(モデル番号037-0700xx)がラインナップされていました。
それが現行モデルでは、Affinity Series Stratocaster HH(モデル番号037-8051xx)と、Affinity Series Stratocaster FMT HSS(モデル番号037-8153xx)に派生しています。
2ハムバッカー仕様(HHモデル)が新しく加わったのと、HSSモデルの方は華やかなFMT(フレイムメイプルトップ)にアップデートされたということですね。
ボディ、ネック、ペグ、ブリッジの仕様については、先述した3シングルコイルモデルのストラトキャスターを踏襲した内容。
ピックアップは「Standard HumbuckingやStandard Single-Coil Strat」から、新たに「Ceramic HumbuckerやCeramic Single-Coil」に変わっています。
深めにディストーションをかけても音の輪郭が損なわれにくいのが特徴だね。
2ハムバッカー仕様のほうは現状の展開ではブラック・ピックガードに統一。
メーカー希望小売価格が税込36,520円で、「オリンピックホワイト、バーガンディミスト、チャコールフロストメタリック」の全色にIndian Laurel材の指板が採用されました。
その一方、HSS(リアハム)仕様はMaple材の指板のみで、メーカー希望小売価格が税込44,770円。
「シエナサンバースト」がホワイト・ピックガード、「ブラックバースト」がブラック・ピックガードで製作されています。
アフィニティ・テレキャスターの2021年~2024年版仕様
アフィニティ・テレキャスターに関しては、2021年以降ボディ背面にコンターが付くようになったのがポイントですね。
実際に抱えてみると演奏者の身体にフィットしやすいのと、従来型よりかなり薄く軽量に感じると思います。
割引適用前のメーカー希望小売価格はストラトキャスターと共通の税込36,520円。
最新版では「インディアンローレル指板のレイクプラシッドブルーとオリンピックホワイト」「メイプル指板の3カラーサンバーストとバタースコッチブロンド」の4色が新規でラインナップされました。
モデル番号はスラブボディ(フラットなボディ形状)の旧仕様が「031-0202xxや037-0200xx」、バックコンター付きの新仕様が「037-8200xx、037-8203xx」となっています。
ピックアップが「Standard Single-Coil Tele」から「Ceramic Single-Coil」に換装されており、コシのあるサウンドを維持しながら、エッジが立った抜けの良いサウンドが楽しめるおすすめのテレキャスターです。
あとは、ここでブリッジ・パーツの違いについても説明しておきましょう。
旧仕様 | 6-Saddle Hardtail with Cast Saddles |
新仕様 | 6-Saddle Strings-Through-Body Tele |
以前は「トップロード(トップローディング)」といって、ギターのボディと平行に弦を通すスタイルだったのが、新作ではトラディショナル志向の強い「裏通しスタイル」が採用されました。
じつは既に少し前から両仕様が混在していたのですが、この「裏通しスタイル」がテレキャスター特有のキャラクターであったり、テンション感のあるサウンドに貢献している側面はあるでしょう。
6wayブロックサドル仕様でブリッジプレートに淵が付いていないところも人気だね。
「レースレッド、2カラーサンバースト、ブラック、アークティックホワイト」などに関しては、今のところ旧モデルのアフィニティ・テレキャスターなのでご注意ください。
アフィ二ティ・テレキャスターのバリエーションについて
アフィニティ・テレキャスターのバリエーションでは、左利き用(レフティモデル)もNEWスペックで発売されていて、カラーは「バタースコッチブロンド」のみですが右利き用と価格が据え置きです。
その他、シリーズ・リニューアルのタイミングでテレキャスターデラックス(メーカー希望小売価格:税込42,020円)が追加されることになりました。
テレキャスターデラックスには、もともと「Classic Vive Seriesに70s Telecaster Deluxe」というヴィンテージタイプがラインナップされていましたが、そのClassic Vibe版よりメーカー希望小売価格で約2万円安くなっています。
Tele Deluxeというと「ストラトキャスタータイプのヘッド」が特徴ですが、アフィニティシリーズの場合は、テレキャスターの標準的なヘッド形状を採用。
特に「バーガンディミスト、チャコールフロストメタリック」はホワイト・ピックガードなのも相まって非常にポップな雰囲気で仕上がっていますね。
「Ceramic Humbucker」のピックアップカバーにメーカーロゴの刻印がないのも既存機種との違いだよ。
アフィニティ・ジャスマスターの2021年~2024年版仕様
最後に2021年~2024年現在流通しているアフィニティ・ジャズマスターをチェックしてみましょう。
スクワイヤーのアフィニティ・シリーズでは、2017年から「アークティックホワイトとブラック」のジャズマスター(下記)が発表されていました。
それが新商品では「バーガンディミストとレイクプラシッドブルー」に、モデル番号は「037-8300xxおよび037-8301xx」に切り替わっています。
メーカー希望小売価格は若干値上がりして税込42,020円。
本製品の場合、「旧来のSquier Affinity Jazzmaster」とは大きな違いがあって、まずはブリッジの仕様に着目してみてください。
2017年版は「ハードテイル仕様」といってアームが使えないブリッジだったのですが、今回からストラトキャスター風のブリッジに変更されています。
音色もシンクロナイズド・トレモロ仕様のほうが広がりのあるサウンドに聞こえるんじゃないかな。
あと旧製品がハムバッカー・ピックアップだった部分も、ジャズマスター定番のシングルコイル仕様へとリニューアルされていますね。
これはセラミックマグネットのピックアップで、ジャズマスターの中でもずいぶんクリアで扱いやすい印象を受けました。
ヴィンテージスペックのジャズマスターは、どうしても一癖あるのですが、本製品はコントロールもシンプルでギター初心者におすすめしやすいモデルといえるでしょう。
品薄時には販売価格が高いショップが出てくるので注意しましょう。
まとめ
以上、本記事更新時点のラインナップとして販売されているアフィニティシリーズについてご紹介してみました。
フェンダー公式サイトには、最近ギター入門者向けのコンテンツ「Beginner’s Hub」(ビギナーズ・ハブ)が開設され、こちらも今後の更新が期待されています。
最後までご覧いただきありがとうございました。