これだけ覚える楽器店マナー6選 ギター試奏編|元ギター店員が語る

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これだけ覚える楽器店マナー6選 ギター試奏編|元ギター店員が語るギター初心者の疑問

「楽器店に行ってギターを試奏してみたいけど、なんとなく楽器屋さんは怖い」「ギターを試奏しないで買うことはできるのかな?」

楽器経験が長くなるにつれて、いつの間にか身に付いていく常識や暗黙の了解。逆にいえばギター初心者であれば、楽器屋のマナーや作法なんて知らなくて当たり前なんです。

ただ誰も教えてくれなかったことで損をしたり、知らなかっただけなのに店員さんに注意されたら気分が良くないですよね。

私自身、長年楽器店の店頭で接客していた経験がありますので簡単にアドバイスできればと思います。この機会に楽器店・試奏(試し弾き)のマナーについて予習してみませんか。

楽器店(ギターショップ)に来店するときのマナーについて

じつは楽器店のマナーといっても非常にシンプルなものばかり、守った方が良いと言われている理由さえ分かってしまえば特別に難しいことはないです。

でも予備知識がないと、気付かないうちにマナー違反、楽器店スタッフから警戒されてしまうかも?

以下では特に、まだ楽器店に不慣れな方、ギターの入門モデル・初心者セットを探しに行く方に役立つような内容をピックアップしました。

手荷物は最低限にしておくのがおすすめ

まずは楽器屋さんに入るときの手荷物についてです。こぢんまりとした街角の楽器店はもちろんですが、都心にあるような大型店舗でも、どうしても窮屈なエリアができます

ゆったりした売場展示になるように工夫しているショップはあるものの、たいていの楽器店ではギターが隅々まで所狭しと並べられた光景がおなじみ。

大きな楽器店でも通路などが狭くなっていることはよくある
大きな楽器店でも通路などが狭くなっていることはよくある

通路や階段付近など顕著ですが、不意に自分の荷物がぶつかったりしたら、それはもうドミノ倒しのごとく…大変な事態になりますよね。

入店時に荷物の多いお客さんを見かけると、楽器店員はなるべく目を離さないようヒヤヒヤ注視しています。

特に初心者セットを購入する予定であれば、帰り道の荷物も両手一杯に増えることを想定しておきましょう。「ギター購入後の持ち帰り」を見据えて、できるだけ最低限の手持ちで来店できるようにするのがおすすめです。

楽器は水に弱いよ。テイクアウトの飲み物を持ち込むのもやめておこうね。

来店時間に余裕があるスケジュールを組む

次にギターを見に行く時間帯について。本格的にギターを選び出したら、試し弾き(ためしびき)・試奏(しそう)をすることになり、迷っているうちに時間はあっという間に過ぎていきます。

いざ、佳境というタイミングで時間に追われながら焦って決めるのは不本意ですよね。そして店員さんの側も内心ですごく焦っています。

お会計を済ませてからも、検品・調整の確認、付属品の準備など、お店を出るまでに思っている以上の時間がかかるもの。

閉店間際に差し掛かると、バタバタしてお互いに申し訳ない気持ちになってしまうと思います。

とりわけショッピングローン(分割払い)を考えているときには、さらに審査手続きに時間がかかるので十分余裕のあるスケジュールにしておきましょう。

せっかく購入を決めたのに、その日のうちに持って帰れなかったらがっかり意気消沈するもんね。

服装にも気を付けておかないと危ない

あとは実店舗に行く際には服装にも注意しておきましょう。購入候補のギターを何本か試奏しながら比較が可能ですが、ちょっとした気遣いが必要になります。

たとえばベルトのバックル金具が出ていたり、指輪・ブレスレットなどのアクセサリーを付けていると、ギターの塗装に簡単に傷が入ってしまうんですよね。

ベルトのバックルが軽くこすれるだけでギターには傷が付く
ベルトのバックルが軽くこすれるだけでギターには傷が付く

楽器店に並んでいるギターのほとんどは、店頭に展示されている現品を新品として販売します。つまり、倉庫にピカピカの在庫があることは少なく「店頭品は試奏用のサンプルではない」のが標準。

買ったあとなら、ギターに傷が増えていくことで貫禄が出てかっこいいのですが、展示商品に傷を付けない配慮は大切ですね。後述するように試奏シーンもガシガシ弾きすぎるのは敬遠されやすいです。

アクセサリー・キーホルダーなどは、お店で外すという選択肢もありますが、熱中して忘れ物をしてしまう方も非常に多いのでご注意ください。

身だしなみついでにいうと、ギターは左手の爪を短く切っておかないと上手に弦を押さえられないです。初心者の方は事前に爪切りも済ませておきましょう。

大人数で店内に固まらないことも重要

「大人数で固まらない」というマナーは手荷物のトピックと関連します。はじめて楽器屋さんに行くときは、部活やサークルのメンバーに連れ添ってもらって一緒に買い物に行くこともあるでしょう。

気付いたら、試奏アンプの周りに密集しすぎて通路を塞いでいる状態に陥りがち…。冒頭で触れたように楽器店には、どうしても窮屈な展示スペースができやすいです。

一カ所に固まって、他のお客さんの邪魔になっていないか。ついついギター選びに没頭しがちなので、周りへの配慮は忘れないようにしたいですね。

無断で楽器に触らないというのは絶対に守る

「楽器屋さんが初めて」という方も、この噂は聞いたことがあるかもしれないですね。店頭で「無断で楽器に触らない」のは特に強調しておきたいマナーです。

ギタースタンドやハンガーに展示されている楽器って、つい実際に触りたくなりますよね。もちろん手に取って試してもらいたいのですが、まず、

「ほんの少しだけでも触ってみたい」と思ったら、フロアの店員さんにお願いして取り出してもらうようにしましょう。

アパレルショップだと「お手に取ってご自由にご覧くださいねー」と言われたりしますが楽器店は別なんです。

よく見ると、ギターが動かせないように細い防犯ワイヤーでつながっていることもあります。それに気付かずに楽器を引っ張り出そうとすると、それこそ大変なことに。

ギターハンガーにかかっている楽器には触らない
ギターハンガーにかかっている楽器には触らない

「軽く持ち上げて重さだけ見てみたい」とか「ネックの握りだけ一瞬チェックしたい…」というとき。

スタッフが忙しそうに見えたり、いちいち面倒かとは思うのですが、「お客さんがギターを落下、転倒させてしまうトラブル」はすごく多いんです…。

ギターがすぐ手の届く場所に展示されている場合であっても、必ず先に店員さんを呼んで声をかけるようにしましょう。

海外だと「セルフで好きに触っていいよ」というショップもあるんだけど、日本人ほど傷を気にしない人が多いんだろうね

試奏するギターは慎重・丁寧に扱うこと

ここまで触れてきたことのおさらいも含めて、繰り返しになりますが「ギター試奏のマナー」としては店頭のギターがサンプル品ではなく現品販売されるものだと知っておくことが肝心。

あまり神経質になりすぎる必要はないですが、できるだけ慎重・丁寧に扱うように心がけましょう。

特にはじめは楽器の全長がイマイチ分からないものなので、周囲の楽器にぶつけたり、手を滑らせたりしないように気を付けます。

「どんな手順で試奏したらいいか、何を弾いたらいいか」迷うと思いますが、とりあえず気になるモデルを見つけたら「ギターの試奏に不慣れなこと」を先にスタッフに伝えてしまった方が楽です。

はじめに店員さんが楽器のチューニング(調律)して渡してくれるはずなので、抱えたときの感覚、ネックを握った感覚など他の機種と比較させてもらうのがおすすめ。

最初の一本なら細かな違いは分からないでしょうし、あんまり身構えると緊張してしまいます。とりあえず何となくジャラーンと弦をはじいて弾いてみるだけで十分。コード(和音)の押さえ方などが分からなくてもOKです。

納得した楽器が見つかったら、「これにします」「これを買います」と伝えればお店の方が最終調整や付属品の準備を進めてくれます。

アコギのヘッド(先端)を周囲にぶつけないように注意が必要
アコギのヘッド(先端)を周囲にぶつけないように注意が必要

試奏のときに「友人と交代して遊び出す」「やたら激しく演奏する」「大音量にする」「延々と練習し始める」みたいなパターンはNGなので、今のうちに覚えておくのがいいかもしれません。

楽器店のマナー・試奏についてのよくある質問

その他、「楽器店のマナーや試奏についてのよくある質問」は下記に整理していきたいと思います。

当サイトの公式twitterでもギター初心者の方からの質問を受け付けていますので、本記事で分かりにくいことがあればお気軽にご相談ください。

Q:ギターの購入前には絶対に試奏が必要?

ギター購入前に試奏をしないで済ませたい、というのは初心者に限ったことではなく「下手だから楽器店での試奏は恥ずかしい」「怖い」「めんどくさい」と思う方は少なくないです。

結論から言うとギターを試奏しないで買うことはできます

「これ買いたいです」というと、だいたいスタッフから「お試しなさいますか?」と聞かれます。

たとえば「大丈夫です。初心者なので調整と検品だけお願いします。」と一言伝えれば試奏なしで購入できます。

せっかく「通販ではなく、実店舗に行く」のであれば、勇気を出して弾いてみるのがおすすめですが無理しなくても大丈夫ですのでご安心ください。

Q:自分の代わりに店員さんに試奏してもらえる?

自分で試奏するのは恥ずかしいけど、音は聞き比べたいという場合、楽器店員も「初心者なんで、代わりに弾いてみてください」とお願いされることには慣れています。

ギターフロアのスタッフであれば、「こう弾くとこういう音が出て…」とギターの特徴や機能を説明しながら、デモ演奏をしてくれると思います。

ただし、楽器屋の店員であればみんなギターを上手く弾けるとは限らないのであしからず。

あとは、実際に自分で抱えてみて、重量やサイズ感、ネックの太さなどの雰囲気がつかめればGOODだね。

特にアコギになると、「自分で弾いた音と、誰かに弾いてもらった音」で印象が変わるので、自分でギターが弾ける場合でも、客観的に特徴を判断するため店員さんにも弾いてもらうのもよいでしょう。

Q:試奏後は買わないといけない雰囲気になる?

当日は購入しない予定だけど「試奏だけでも大丈夫?」という質問。「試奏したけど買わない」というのは、洋服を試着するときの空気感に近いでしょうか。

お店ごとに考え方の違いはあれど、一般に「買わないけど、弾きたいだけ」というのは敬遠されます。

その一方で「欲しかったんだけど、試してみたら自分の好みには合わなかった」ことをちゃんと伝えれば、購入を見送ることになってもマナー違反ではないですよね。

向こうも商売なので粘ってくるかもしれないですが、押し売りスタイルの接客をする店員は近年だいぶ少なくなりました。

当日は本体の購入を見送って「ピックだけ、弦だけ、ケーブルだけ…」といった感じにアクセサリー類を購入するのも自然だと思います。

Q:試奏を頼んでも断られる場合はある?

「ギターの試奏を断られた」という話をSNSなどで目にすることがありますよね。楽器店によって、何かしらの理由で試奏できないモデルはあるかもしれません。

特に高価なハイエンドギターやヴィンテージはショップによって制限を設けているケースがあるでしょう。

多くの楽器店では「冷やかし」でないのが明らかで、真剣に購入を検討していることを表明すれば、多くのショップは拒否せず試奏されてくれるはずです。

そのときの混雑具合などの事情によっては、順番待ちで案内されることはありますので、そのあたりは注意しておきましょう。

Q:お店が混んでる時間帯を避けるためには?

さて、ギターをゆっくり検討するのに、できるだけお店の混雑時を避けたいという方も多いでしょう。

ここ数年の情勢的に時短営業などのイレギュラーもありましたが、日常が戻りつつある昨今では、やはり土日祝日が混み合っている可能性が高いです。

あとは学生さんが長期休暇の時期になると混雑しやすい立地もあります。

落ち着いて買い物したいとき「天気の悪い日や、開店直後・平日の日中が狙い目」なのは、他の小売店と変わらないですね。

ただし、大抵の楽器店はシフト制ゆえに、混雑しにくい平日は店員の人数が少なめという傾向もあります。近頃はGoogleの検索結果で混雑予想が出てくる店舗もありますね。

補足:ギターのレンタルを試奏代わりに利用するのも選択肢

以上、細切れで語られがちな「楽器店のマナーや作法」についてまとめて解説してみました。

「試奏でどんなフレーズ、何の曲を弾けばいいか迷ってしまうこと」も「あるある」ですが、変に気構えて、演奏することに集中しすぎると楽器本体の性質・特徴に意識が向かなくなってしまうので自然体で。

「試奏が苦手、店頭で試すだけではよく分からない」というときは、近年ギターのレンタルやサブスクもポピュラーになっているので、試奏がわりにそういった手段を利用してみるのも選択肢でしょう。

マナー関連の話題でよく出てくる「店頭値引きの可否」については別記事にまとめてありますので参考にしてみてください。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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