ギターの発送・配送方法の選び方や梱包のノウハウ|元楽器店員が解説

ギターの発送・配送方法の選び方や梱包のノウハウ|元楽器店員が解説ギター初心者の疑問

「運送会社を利用してギターを送ること」は慣れるまで少々ハードルが高いです。なんといってもデリケートな構造でサイズが大きい。

今回は「ヤフオク、メルカリ、ラクマで売りたい/売れたときの発送」「メンテナンスでリペアショップ・工房に送りたいときの発送」など、元楽器店員視点で国内配送の方法についての基礎知識を整理してみました。

以下は2022年7月時点の情報ですので、各社公式サイトなどの最新情報と合わせて参考にしてみてください。

ソフトケースの場合は事前に確認が必要

最初に知っておいてほしいのが、ヤマト運輸の宅急便は「ソフトケースによる出荷」を受け付けていないことです。

これは「楽器をソフトケースのまま送れないのは当たり前」という意味ではなく、ときに「ソフトケースをしっかりダンボールで梱包してもNG」なときがあります。

ソフトケースは低価格帯のギターで付属品としてスタンダードだが梱包しても集荷を断られる場合がある
ソフトケースは低価格帯のギターで付属品としてスタンダードだが梱包しても集荷を断られる場合がある

「あれ?楽器屋さんの通販でソフトケースのギターがヤマトで届いたことあるけど…」と思うかもしれませんが、個人発送だと運送事故が起きた際の対応などが絡むので一層シビアに判断されることが多いです。

また、「それならゆうパックや佐川急便にすればソフトケースでも大丈夫」とも限らず、ゆうパックや佐川急便でも営業所・担当窓口によって断られる事例はあります。

配送業者問わず事前に持ち込み予定の営業所に荷受けの可否を確認しておくのが無難だね。

楽器ケースの外寸サイズを確認しよう

梱包の準備では、まずダンボールのサイズを決めるため楽器ケースに入れた状態の「3辺サイズ」を測ることから始めましょう。

ギターの場合、「重さ」の方はそれほど問題にならないです。ハードケース込みで大体10kg以内の重量に収まるでしょう。苦労するのは「サイズ面での制約」です。

ギターを入れるケースの高さ・幅・奥行きを計測するところから準備を始める
ギターを入れるケースの高さ・幅・奥行きを計測するところから準備を始める

取っ手部分や膨らみ具合によって前後するのであくまで目安ですが、各種ギターケースの外寸サイズは下記を参考にしてみてください。

ハードケース入りエレキギターの外寸サイズ例

ストラトキャスターやテレキャスターの角型ケース:Fender Tweed Hard Case Strat Tele
高さ105.1センチ、幅36.8センチ、奥行き10.2センチ→3辺合計サイズ約152センチ

ジャガーやジャズマスターの角型ケース:SKB 1SKB-62 Jaguar/Jazzmaster Hard Case
高さ115.6センチ、幅45.1センチ、奥行き12.7センチ→3辺合計サイズ約174センチ

レスポールのケース:Gibson Accessories Les Paul Original Hardshell Brown Case
高さ108.6センチ、幅40.6センチ、奥行き13.3センチ→3辺合計サイズ約163センチ

ハードケース入りアコースティックギターの外寸サイズ例

トリプルオーサイズのケース:Martin C330 Hardshell Case OM & 14-Fret 000
高さ108.6センチ、幅45.1センチ、奥行き15.2センチ→3辺合計サイズ約169センチ

ドレッドノートサイズのケース:Gator Deluxe Wood Case Acoustic Dreadnought Guitar
高さ115.0センチ、幅38.0センチ、奥行き18.0センチ→3辺合計サイズ約171センチ

ギグバッグ入りエレキギターの外寸サイズ例

エレキギター汎用ギグケース:PROTECTION RACKET 5278-06
高さ115センチ、幅46センチ、奥行き7センチ→3辺合計サイズ約168センチ

ギグバッグ入りアコースティックギターの外寸サイズ例

アコースティックギター汎用ギグケース:PROTECTION RACKET 5278-22
高さ116センチ、幅49センチ、奥行き17センチ→3辺合計サイズ約182センチ

クッション性があるギグバッグだと、ハードケースと意外と変わらない傾向があるみたい。

梱包用ダンボールと緩衝材を用意しよう

ギターケースの実測値を確認したら、次はダンボールの手配に入りましょう。

エレキもアコギも薄手のケースは「ギター本体のサイズ」に近くなりますが、ハードケース/ソフトケース問わず緩衝材に巻いたギターケースをダンボールに入れて梱包することになります。

緩衝材を詰める分、上下左右でケース本体より少し大きく見積もるようにしておきましょう。

ギター用のダンボールは通販で購入可能

使い回しのダンボールで工作することもありますが、時間がかかるうえに見た目が汚くなったり強度を保つのが難しいので荷受けNGになる可能性が出てきます。

ここはやはり「ギター用の寸法で販売されている梱包資材」から選ぶのが早いです。ホームセンターなどではめったに見かけない寸法なので通販で探すのがスタンダード。

ダンボールのサイズも内寸と外寸で多少の誤差が出てくるので気を付けて選ぼう。

たとえば、楽器店大手の島村楽器が販売しているダンボールは「エレキギター/エレキベース兼用のタイプ」と「アコースティックギター/クラシックギター兼用のタイプ」で二種類があります。

エレキギター用は高さ127cm(110cm) x 幅45cm x 奥行き15.5cm。折り目の位置によって長さを切って調整できる仕様で、ギター用に短く組み立てた場合の3辺合計サイズは約170.5センチ。

アコギ用は高さ117cm x 幅46.5cm x 奥行き19cmなので3辺合計サイズは約182.5センチです。

両方ともハードケースとソフトケース両方での使用が考慮されているね。

他には2003年からダンボール販売を手がけているヌーブ株式会社のボックスバンク・シリーズはインターネット通販の定番で下記のような製品があります。

このような規格のダンボールは少ない枚数で購入可能な製品を探すのが大変ですが、本製品はいずれも「2枚セット」から注文できます。

160サイズの方は高さ105cm x 幅40cm x 奥行き13cmで3辺合計サイズが約158センチなのでかなりタイトですね。薄いソフトケースのエレキギター向けという位置付けです。

180サイズの方は高さ110cm x 幅45cm x 奥行き15cmで、3辺合計サイズが約170センチです。こちらはアコギをイメージした寸法になっています。同様にソフトケース向けといえるでしょう。

近くの楽器店で納品時に余ったダンボールを譲ってもらえることもありますが、お店によって方針が違いますので事前に確認してみてください。

緩衝材は幅広のプチプチがおすすめ

ダンボールに入れるときに、ケースを保護するために使う緩衝材に関してはプチプチ(エアキャップ)が一般的で、できれば幅(巾)が長い方が巻きやすいです。

「粒があまり大きすぎると巻き数・箱のサイズとの調整がしにくい」ので標準粒~大粒くらいが便利でしょう。

楽器店では幅1,200mm程度のものを使うことが多いですが、短くても幅600~800mmくらいはあったほうが作業は楽です。

上記は1968年創業で2021年時点で業界シェアの約60%を維持している川上産業のプチプチで、環境に配慮して再生原料を80%以上使用している製品をピックアップしています。

100円ショップなどで調達してもいいですが、幅広サイズかつ長さのあるものは取り扱いが少なく、何重かに巻きたいので結構な枚数必要になります。

ソフトケースの場合は、プチプチでケースの色が分かりにくくなる程度の十分な厚みで全体に巻くようにしましょう。

ダイソーで120×120cmのプチプチを見かけるけど1枚では不安かな。

それを見据えたダンボールのサイズ選びが肝心ですね。特に上面・底面は厚みに余裕を持たせるのが望ましいです。

ハードケースの場合も、(ソフトケースほどでないにしろ)全体に軽くプチプチを巻いたほうがスムーズ

ハードとはいえ、つくりがルーズな場合はケースの中で動いてしまったら本末転倒ですので適宜対策が必要です。上記製品のようにシート状の緩衝材があると隙間を埋めるのに重宝します。

しっかりしたハードケースなら「雨除けのビニール袋を被せて、ダンボールの隙間、上下左右にクッションを入れる」という感じでも良いでしょう。

ソフトケース/ハードケース共通で、くれぐれもダンボールのなかでケースが動いてしまわないようにすることが重要。発泡スチロールや段ボール、エアクッション・クラフト紙等がスペーサーに使えます。

どの配送業者で発送するかを選んでみよう

サイズが確定したところで、具体的に配送会社の候補を比較して絞っていくことになります。

冒頭の繰り返しになりますが、「ギター本体のみだったり、ソフトケース」だと厳重に梱包しても集荷を断られる場合があるので事前に相談しておくことをおすすめします。

ギターの配送を依頼するのに主要な選択肢としては下記の通り。

  • 170サイズ以内:ゆうパック、ヤマト運輸、佐川急便
  • 200サイズ以内:ヤマト運輸、佐川急便
  • 260サイズ以内:佐川急便

エレキギターだと、ソフトケースでもハードケースでも160~170サイズに収まるか収まらないかギリギリのラインです。

アコースティックギターだと大抵は180~200サイズ程度。エレキベースも通常は200サイズ以内に収まることが多いでしょう。

一部コンビニエンスストアでは大きな荷物を預かっていないことがあるのでご注意を。

日本郵便ゆうパックについて

ゆうパックでは「荷物の縦・横・高さの合計が170cm以下、重さ25kgまで」送ることができます。

ゆうパック送料の例:東京→大阪の場合

分類サイズ料金
160サイズ3辺合計160cm以内 25kgまで税込2,160円
170サイズ3辺合計170cm以内 25kgまで税込2,530円
本記事更新時点のゆうパック送料

郵便局や取扱所・コンビニへの持ち込み割引は120円です。

郵便なので信書も同梱できそうに思えますが、ゆうパックは信書NGですので気を付けましょう。簡単なあいさつ状、請求書等の無封の添え状や送り状は添付可能です。

他社同様、配達日希望サービス・配達時間帯希望サービス、着払いにも対応しています。

損害賠償制度(補償金額・責任限度額):最高30万円まで
30万円以上の補償については窓口でセキュリティサービスに加入することも可能です。

オークション・フリマアプリの匿名配送の場合
  • ヤフオクのゆうパック(おてがる版)は170サイズまで。
  • ラクマのかんたんラクマパック(日本郵便)も170サイズまで。
  • メルカリのゆうゆうメルカリ便ゆうパックは100サイズまでなので不可。

ヤマト運輸宅急便について

ヤマト運輸では「荷物の縦・横・高さの合計が180cm以内、重さ30kgまで」送ることができます。

3辺合計160サイズを越える荷物は「宅急便(ピンクの伝票)」ではなく「ヤマト便(緑の伝票)」というイメージが強かったですが2021年10月から「宅急便」に統合されました。

ヤマト運輸宅急便送料の例:東京→大阪の場合

分類サイズ料金
160サイズ3辺合計160cm以内 25kgまで税込2,180円
180サイズ3辺合計180cm以内 30kgまで税込2,510円
200サイズ3辺合計200cm以内 30kgまで税込2,950円
本記事更新時点の宅急便送料

ヤマト運輸直営店・コンビニ・取扱店への持ち込み割引はクロネコメンバーズで150円、その他100円。また、クロネコメンバー割引10%~15%や、デジタル割60円で節約することもできます。

ヤマト運輸の場合、ギターの発送について公式サイトにFAQがあります。

※ハードケースが無い場合や、ソフトケースによる梱包では、楽器を送ることはできません。

※ハードケースに特別な梱包やカバーなどは必須ではありませんが、ハードケースを梱包資材とみなすため、傷・汚れが付くことをご了承いただくこととなります。

https://faq.kuronekoyamato.co.jp/app/answers/detail/a_id/1256/

宅急便では「ハードケースをそのまま送る」ことが一応可能だけど本来は避けたいね。

ちなみに、「上下逆さまにできないなど輸送状態に定めがあるお荷物は1辺の長さが100cmまで」という規定もあります。

ギターは「ワレモノ、天地無用」1辺の長さが100センチを越えるので、こちらも不安であれば担当営業所に聞いておきましょう。

損害賠償制度(補償金額・責任限度額):最高30万円まで、それ以上は運送保険サービスがあります。

オークション・フリマアプリの匿名配送の場合
  • ヤフオクのヤフネコ!パックは160サイズまで。
  • メルカリのらくらくメルカリ便宅急便は160サイズまで。
  • ラクマのかんたんラクマパック(ヤマト運輸)は200サイズまで。※コンビニ不可

佐川急便飛脚宅配便について

佐川急便では「荷物の縦・横・高さの合計が260cm以内、重さ50kgまで」送ることができます。

  • 飛脚宅配便:3辺合計160cm以内、重量30kg以内
  • 飛脚ラージサイズ宅配便:3辺合計260cm以内・50kg以内

とサービスの名称が分かれています。

佐川急便飛脚宅配便・ラージサイズ宅配便送料の例:東京→大阪の場合

分類サイズ料金
160サイズ3辺合計160cm以内 25kgまで税込2,178円
170サイズ3辺合計170cm以内 30kgまで税込3,135円
180サイズ3辺合計180cm以内 50kgまで税込3,410円
200サイズ3辺合計200cm以内 50kgまで税込4,180円
本記事更新時点の飛脚宅配便送料

元払いであれば、営業所、サービスセンター、および取次店への持ち込み割引100円の適用があります。

さすがにラージサイズからは送料が高くなりますが、何か付属品をセットで同梱して送るときなどに260サイズまで対応しているのは心強いです。

損害賠償制度(補償金額・責任限度額):最高30万円まで、それ以上は運送保険サービスがあります。

ギターを梱包するときの注意点について

最後に梱包の方法・注意点について解説しておきましょう。

適切なサイズのダンボールとプチプチで、ケースの周囲に緩衝材を詰めて「箱の中でギターが遊ばないようにする」というのは先に触れたとおりで、他にも以下のような工夫が必要です。

ギターの弦は外れない程度に緩める

メーカーからの納品時はチューニングがさほど緩められていないことも多いですが、個人間で発送する際はギター弦をかなり緩めておくのが定石になっています。

トレモロアーム類は外してケース内のポケットなどに入れておこう。

フレットと弦の間を保護する

運送中に荷物が倒れた場合、フレットに傷が付いたりへこんでしまうと厄介です。

「フレットガード」というアクセサリーを装着してもいいですし、もしくは代わりに厚紙や緩衝材のシート、クロスなど挟んでおくことを推奨します。

ヘッド付近を入念に保護する

特にヘッド角の付いているギターはデリケートで折れやすいので、ケース内のヘッド付近に緩衝材を入れることが多いです。

パツパツに入れすぎると逆に衝撃が直接伝わって危ないことがあるので適度に加減しましょう。

ボルトオンの比較的頑丈なメイプルネックでも、衝撃が加わった際にペグが曲がってしまうことがあるので同様に保護しておくのが安心です。

突起パーツ、変形ギターは個別に保護

セレクタースイッチなどの突起物、フライングVのボディ先端などはダメージを受けやすいです。

特にソフトケースやギグバッグの場合はクッションを念入りに施しておきましょう。

ただし、デリケートな塗装の場合は、長時間楽器に直接緩衝材が触れたままの状態にしないでください。

尖った部位や突起物は念入りにクッションを付けておくのがおすすめ
尖った部位や突起物は念入りにクッションを付けておくのがおすすめ

開封時の寒暖差に注意喚起しておく

急激な温度変化があると木部や塗装にクラック(割れ・ひび)が入りやすいです。

なるべく結露も避けたいので、受け取る方が楽器に詳しくない場合は「室温に馴染んでから開封する」ように伝えておくのが親切でしょう。

開封前に見えるように注意書きのメモを入れるのもいいかも。

梱包資材の準備や発送方法を考えるのが面倒だと思ったとき

以上、ギターを発送する際のノウハウや注意点について整理してみました。

「予想していたより送料や梱包資材が高いかも…」「ネットオークションやフリマアプリでギターを売るのは結構面倒なんだなぁ…」と思ったときは、専門業者に依頼して出張買取の段取りや宅配キット(梱包資材)の相談に乗ってもらうのも選択肢です。

大手楽器店はもちろん、下記のような買取業者が出張買取や宅配買取で楽器の取り扱い強化をアピールしています。

満足価格!楽器の買取【バイセル】
【楽器の買取屋さん】創業10年の意地で高額買取します。電話受付22時まで対応可能!

梱包・発送の目的が「買取に出したい」「使わなくなったギターを売りたい」というシーンでは、このあたりのサイトも参考にしてみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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