- ギターに最初から付属していたソフトケースでは薄地でクッションがペラペラで不安。
- 電車で移動することが多いのでハードケースは重たいし大きいから持ち運ぶのが大変…。
そんなときにおすすめの「ギター用ギグバッグ」を楽器店員視点でご紹介してみたいと思います。
ギグバッグは「ギグケース」と表記されることもありますが、今回、耐久性やデザインだけでなく「梅雨・秋雨シーズン、突然の夕立、台風・降雪などの悪天候」にも対応しやすいモデルを選定してみました。
以下、いずれも防水性・撥水性・耐水性に定評のあるエレキギター用ギグバッグ人気製品です。
主にエレキギター用に絞っていますが、アコースティックギター用やエレキベース用のバリエーションがあるモデルもあるので参考にしてみてください。
「コストパフォーマンス重視のお求めやすいケース」から「プロミュージシャンも納得する最強クラスのギグバッグ」まで順番にご紹介していますので、ギターケース選び・比較の参考に役立てば幸いです。
防水対策されたギター用ギグバッグ(ギグケース)について
「防水、撥水、耐水」と似ている言葉ですが、ギグバッグ(ギグケース)の素材は、water-proofが「防水」、water-repellentが「撥水」、water-resistantが「耐水」と訳されていることが多いです。
ただし、楽器ケースの場合はアウトドア用品等と異なり耐水圧・透湿性が数値で表記されていることはほとんどありません。
つまり「防水対策、防水加工」が行われている製品であっても「完全な水没に耐えられるわけではない」ので過信はNG。
とはいえ、もちろんファブリック生地より「耐水性を高められたケース」であることに間違いないので、大切な楽器を持ち運ぶのに安心材料となると思います。
さて、具体的な製品をチェックしていきましょう。
お手頃価格のアリアABC-300EGは学生にも人気の汎用ギグバッグ
まず、お求めやすい価格帯のARIA ABC300EGです。ギター本体からアクセサリー類まで幅広く手がけている「荒井貿易」がブランドを冠したギグバッグ。
ストラトキャスターやテレキャスター、レスポールなどのソリッドボディに対応した汎用ケースです。
リュックのように両肩で背負えるタイプで、「完全防水」ではないものの生地・ファスナーともに耐水性に優れた素材を採用しています。
内側のクッションパッドは厚み18mmで、ケース重量が約1.3kg。価格はずいぶん安い部類ですが、ネックを支える台座の取り外し・位置調整も可能な仕様です。
ショルダーストラップの上部に取っ手が付いていて持ち替えに便利。
ポケットにA4サイズの譜面まで入る余裕の収納力があり、カラーはブラックの他、少し淡い色合いのターコイズ、コッパーが好評となっています。
全長103cm、ボディ上部幅30cm、ボディ下部幅35cm、マチ幅4.5m
細部の機能性に配慮されたキョーリツGB-EG1はカラバリも豊富
次は1979年から楽器ケースの製造販売を行っているキョーリツコーポレーション(KC)のエレキギター用ギグバッグGBEG1。じつに多彩なカラーバリエーションですね。
お求めやすい値段のギターケースでありながら、外側の生地と緩衝材の間にビニール層を設けることで内部まで水が染みにくいのが特徴です。
「ブラック、ネイビー、レッド、オレンジ、グリーン、ガンメタリックグレー」とカラフルなラインナップ。
「大雨はNG」という注意書きがあるものの撥水スプレーを併用するで防水性を一層高めることもできると説明されています。
ストラトタイプ、テレキャスタータイプ、レスポールタイプなどに対応したギターケースで、収納ポケットがヘッド側とボディ側に両方備え付けられているデザインは定番で扱いやすいでしょう。
使い込んでいるうちに破れやすい「ヘッドやブリッジ付近」は内装が補強されているね。
グリップしやすいキャリーハンドルで、ケース底面部にゴム足パッド付属。3層構造のクッションで耐久性の向上を図っており、ケースの重量が約2kgほど。
ギグバッグを背負うとき身体と接する部分には三カ所のメッシュパッドがあり、ショルダーストラップにポケットが付いているのも嬉しいポイントです。
全長105cm、ボディ幅上部30cm、ボディ幅下部38cm、マチ幅5cm
美しい流線形状のフェンダーFE620 EGがおしゃれすぎるケース
続いては、いかにも近年のフェンダー製品らしい、おしゃれなアシンメトリー(非対称)シェイプのギグケースFE-620。
撥水効果がある600デニールのポリエステル生地と耐水性のあるジッパーを組み合わせた製品となっています。
同型番で「ジーンズ色とブラック色」が展開されており、クッションは20mm厚。内装は楽器の塗装にやさしいマイクロファイバー仕様ですね。
人間工学に基づいてデザインされた幅のあるショルダーストラップで、背負っていて疲れにくいように配慮されたエアメッシュ仕上げ。
主にストラトキャスター・テレキャスター用。レスポールが収まったという口コミ・レビューもありますが、タイトなつくりなので非推奨です。
ストラップピン付近にガードがあったりケースの角にバンパーが付いていたり、外部衝撃から楽器を守るための工夫もされています。
全長は記載なし、ボディ上部幅32cm、ボディ下部幅37.9cm、マチ幅7cm
堅牢なパワーパッド4重構造のアイバニーズIGB924Rも高品質
ギターメーカーのギグバッグが続きます。IBANEZのPOWERPAD ULTRAシリーズでIGB924の後継モデルですね。
こちらはケース表面に撥水加工、生地裏に防水コーティング加工を施し、丈夫な止水ジッパーが取り付けられています。
POWERPADというオリジナル設計された四重構造の緩衝材は側面に25mm厚、表裏に30mm厚の複層パッドが仕込まれており、ギターケース重量が約2.8kg。
ケース単体で軽量なギターに近いので、やや重たく感じる方もいるかもしれませんが、ボディエンドにギターの長さに応じて調整する30mm厚の取り外し可能なクッションが備え付けられており、写真で見る以上のタフさ、安心感があります。
外寸と内寸の差からもパワーパッド部分に相当な厚みがあることが分かるね。
大中小のポケットのうちメインポケットはかなりの大きさがあるので、機材が少ない方であればエフェクターボードなしで事足りてしまうかもしれません。
外寸で全長112.5cm・幅42cm・厚み15cm。内寸で全長107cm・幅(ボディ上部)28cm・幅(ボディ下部)37cm・厚み6cm
スリムで軽量なプロテクションラケット5278-06なら気楽に背負える
さて、そろそろ後半戦ですね。こちらのProtection Racket(PROTECTIONracket)は、UKのコーンウォールで1994年に設立されたブランドです。
頑丈な縫製やジッパーに定評があり、5278-06モデルはRacketexという600デニールのポリエステル生地がウォータープルーフ素材になっています。
見るからにスタイリッシュでかわいらしいフォルムですね。正規品の輸入販売はヤマハミュージックジャパンが手がけており、略称は「プロラケ」と呼ばれます。
サーフボード用のバッグを製作するノウハウが活用されており、プロラケ自体はギターケースより「ドラムやパーカッション用のケース」のほうがが有名でしょうか。
本製品はストラトやテレなど、ヘッドに角度がついていない設計のエレキギターが推奨されているモデルです。
軽量でスリムな分、ポケットの収納スペースは小さめになっているね。
苦労せずに持ち運びできること、それでいてプロテクション性能は最大化するという同社の哲学で、ハンドルも滑り止めが付いた「エルゴノミックデザイン」を採用。
ケースは1.5kgと軽量。10ミリ厚ほどの密度が高いクッション材を使用しており、ネックブロックや底面のクッションの位置調整が可能になっています。
外寸全長115cm、幅46cm、厚み7cm
付属レインカバーで防水対策できるゲーターのG-PG ELECTRIC
いよいよラスト2種類になりまして、今度はGATOR(ゲーター、ゲイター)の製品です。2000年にフロリダで設立、ケースメーカーとして世界的に有名で早くも老舗のような定評がありますね。
下記はギグバッグというカテゴリになっていますが、全体の質感は「セミハードケース」に近いつくり。Pro-GoシリーズG-PGエレキギター版を取り上げてみました。
本製品は防水対策として裏面ポケットにレインカバーが収納されています。必要な時だけ都度取り付けるというコンセプトですね。
縫製もさすがのゲータークオリティで、外装の「バリスティックナイロン」は標準的なナイロンの5倍ほどの強度を持つと言われているよ。
GPGケースのヘッド角は若干タイトながら、「ショックアブソーバー」(底部クッションパッド)を取り外すことでジャズマスターやジャガーのようなオフセットボディまで対応可能なのが好評となっています。
大容量ポケットに楽譜やタブレットを入れて重くなってしまっても、ハンドルの高反発フォームが負荷を軽減してくれるのがありがたいです。
このグレードに相応しく、内装はマイクロフリースでネックレストの収まり具合も良好。ケース単体で重量が約3.2kgとがっちりした質感です。
内寸全長109cm、ボディ上部幅31.5cm、ボディ下部幅36.6cm
プロギタリストからの評価が高いモノM80-EGはギターケース最強級
そして最後にご紹介するMONO社は2006年に設立、ギターやベース、ウクレレなどの弦楽器、ドラム・パーカッション、DJ機材など楽器に特化したケースで評判が高いです。
すっかりスタンダードアイテムと化しているM-80のエレキギター用では耐水性に優れたSharkskin(シャークスキン)素材を採用しています。
ケースの価格は決して安くないですが、納得のコストパフォーマンスを発揮。
多くのプロミュージシャンの意見を取り入れながら開発されたもので、「ハードケース神話」をくつがえすべく度重なる強度試験を繰り返してデザインされています。
ABS樹脂シェルによる最強クラスの保護性能、ネックピローに高さがあるのでヘッド角があるギターにも比較的対応しやすく、特にヘッド付近への衝撃を緩和させる性能を追求しているのが有名です。
ミリタリースペックに準じるタフな素材が採用されたギターケースだよ。
重量が約2.3kgというのもちょうど良いところ。プラッシュ地のライニングでデリケートな塗装にも配慮されており、ショルダーストラップが不要な時は邪魔にならない位置にしまっておくことができます。
内寸全長105.4cm、ボディ上部幅29.2cm、ボディ下部幅36.8cm
レインカバー部分だけを別途買い足すという選択肢もある
以上、「防水性能」をキーワードにおすすめのエレキギター用ギグバッグを厳選してご紹介してみましたが候補は見つかりましたでしょうか。
もし既にお気に入りのギターケースがあって、それを流用したいというときは取り外し可能なレインカバーの部分だけを別途調達する手段もあります。
楽器店の店頭で取り扱っているところは限られるので、こういったギターアクセサリーの存在を知らない方も少なくないかもしれません。
いざというときに、ギターケースにビニール袋を被せる「レインコートのイメージ」に近いですね。
アリア製品はエレキギター用で、キョーリツ製品はアコースティックギターまで兼用になっているので手持ちのケースのサイズを確認してみてください。
サイズ目安 | アリアARC-EG | キョーリツKRC-02G |
高さ | 1,060mm | 1,140mm |
幅 | 450mm | 410mm |
奥行き | 117mm | 180mm |
折り畳み時 | 140mm × 220mm | 190mm × 185mm |
なお、イケベ楽器オリジナル製品のNoah’sark(ノアズアーク)にもNRC-Guitarというレインコートが販売されています。
カバー自体のサイズは公表されていませんが、同社のセミハードケースGSH(高さ1,050mm×幅360mm × 奥行き70mm)を基準に製作されたアクセサリーです。
ギターケースのサイズを選ぶときの注意点
まとめとして、ギターケース選びの注意点にもおさらいしておきましょう。
一般に「エレキギター用ケース」という分類はストラトキャスタータイプやテレキャスタータイプなどの寸法を前提にしたものです。
本文で対応機種についても適宜記載しておきましたが、「セミアコ・フルアコといった箱モノ、変形ギター」が別規格だというのは想像が付きやすいと思います。
それ以外にジャガーやジャズマスターのような非対称オフセットボディ、レスポールのようなヘッド角の付いているモデルにも注意が必要で「エレキギター用ケース」と書いていてもサイズが適合しないことがあります。
ストラトタイプ、テレタイプ以外のエレキギターの場合、くれぐれも購入前にモデルとケースの対応可否は十分に確認しておきましょう。
Amazonにはエレキギターケースの売れ筋ランキングがあって自動更新されているので参考にしてみるのも良いでしょう。 楽天市場でもカテゴリは細かく分かれていないもののギターケースの週間ランキングが見れるようになっています。以上、最後までご覧いただきありがとうございました。