「これからギターをはじめる初心者にとって教則本、ギター入門書は必要でしょうか。」
楽器店で接客中によく相談されるテーマで、かれこれ十年以上は定番の質問だと思います。
Youtubeを検索するだけで、たくさんの入門コンテンツが無料で見つかる昨今。「ギター教本はいらない、不要だ」という意見のほうが主流になっているかもしれないですね。
ただその一方で、インターネットのコンテンツは種類が多すぎて「どの動画・コンテンツを見ればいいか判断できない」という声も聞こえてきます。
教則本ならではのメリットとしては「体系的に全体像が掴みやすい書籍形式の強み」も捨てがたいところです。
以上の背景をふまえて、本記事ではAmazonのKindle Unlimited会員が無料読み放題になっている電子書籍版のギター教則本をピックアップしました。
スマホやパソコン、タブレット端末で気軽に楽しめるので、試し読み機能などで「教本が必要か不要か吟味する材料」にしてみてください。
ギター購入前に予習で教則本を読んでおくのもおすすめだよ。
実際に私自身が楽器店員視点で難易度や汎用性、網羅性を確認済み。エレキギター用とアコースティックギター用のそれぞれ教本を選んでご紹介していきたいと思います。
「できるだけ薄い方がいい!」という方にぴったりのギター教則本
まず、リットーミュージックから刊行されている「ゼロからチャレンジ!」について。
本記事に表示される価格は「Kindle Unlimited会員で無料になる前」の通常価格が表示される仕様なのですが、それでも普通に安いですね。
わずか60ページちょっとの文量なので、さくっと短時間で読み進めることができるでしょう。
エレキギター版・アコースティックギター版ともにオールカラーで簡潔に解説されていて、用語辞典、コード・指板の早見表も収録。
もう十年近く前、2014年発売なのでランキング上位に入る頻度は少ないですが、今読み返しても問題ない内容でした。
ギターの種類やパーツの名称、チューニング方法、楽器の構え方、タブ譜の読み方、弦交換・クリーニングに関しては「エレキ向け、アコギ向け」双方に解説があります。
エレキ初心者向けの教本「ゼロからチャレンジ!エレキ・ギター」
それではシリーズのなかでエレキギター版「ゼロからチャレンジ!」の内容から、もう少し詳しく見てみましょう。
順番的には、エレキ特有の「ドライブサウンド」と組み合わせることが多いシンプルな押さえ方、「パワーコード」(構成音を減らした和音)から練習。
それから「メジャーコード/マイナーコード」に対応した基本奏法が細かに解説されています。
弦を引っ張り上げて音程を変化させる「チョーキング(ベンド)」は奥が深く、エレキギターの必修テクニックといえるでしょう。
演奏のメリハリ、アクセントをつけるために重要な「ブリッジミュート」についても書かれているよ。
楽器本体のつまみ類の説明だけではなく、アンプ・エフェクター機材を取り扱う基礎まで学べる教本となっています。
アコギ初心者向けの教本「ゼロからチャレンジ!アコギ」
その一方、アコースティックギター版「ゼロからチャレンジ!」の内容についてチェックしていきます。
こちらは、実際にコード進行に合わせて「ストローク奏法やアルペジオ奏法」を弾けるようになるための基礎練習がメインです。
リズム感を出すために「ブラッシング」をまじえながら演奏する技術も定番どころ。
「ハンマリング/プリング」といった左手側のテクニックは、アコギでもエレキでも頻出なので徐々に慣れていきましょう。
ピック弾きだけでなく、指弾き(フィンガーピッキング)をする右手の使い方も個別に掲載されているね。
アコギの弾き語りで欠かせない「セブンスコード(四つの構成音からなる和音)」に関しては、チャプターを個別に分けて解説がされていました。
動画コンテンツ連動型で理解を深めるのにおすすめのギター教則本
続いてシリーズ累計7,000万部を越えている人気の教則本「できるシリーズ」です。
電子書籍版には付属品のCDやDVDが省かれていますが、公式サイトが音声・動画コンテンツと連動しているので安心。
毎回再生環境を整えるより、スマホやタブレットで気軽にレッスン映像を見れるほうが便利ですよね。
「できるシリーズ」は、アコギ用とエレキ用のいずれもたっぷり180ページ以上のボリュームがあるギター初心者用教本。
とにかく図解と写真が豊富な構成で、文字も詰まっていないので読んでいてストレスを感じにくいと思います。
必ずしも最初から最後まで通しでなくても、気になるチャプターを中心に読むだけでも理解しやすい書籍でした。
同社には「はじめてのエレキ・ギター」と「はじめてのアコースティック・ギター」というシリーズもあります。
名前は似ていますが、そちらに関してはKindle Unlimitedで無料対象になっていないのでご注意ください。
野村先生の「できる ゼロからはじめるギター超入門」(アコギ)
できるシリーズのアコースティックギター教本は、「日本一やさしく、親切な解説」を目指して執筆されたとのこと。
著者の野村大輔さんは、テレビCMやゲームのサントラへの楽曲提供・録音、サポートギタリストやインストラクターとしても幅広いジャンルで活躍されています。
「ゼロからはじめる」というコンセプトどおり、徹底的なギター初心者視点で丁寧・明快にレクチャーされている印象。
「ピックの持ち方」「弦を押さえるコツ」「ドレミの弾き方」から始まるので、楽譜を読んだことがない方、全く音楽知識がない方でも心配不要でしょう。
伴奏だけでなく、ギターのみで楽曲を奏でる「ソロギター」という分野の課題曲にも挑戦してみよう。
アコギで頻出のコードやリズムパターンを覚えて、「自分一人で弾き語りができるための基礎」を身に付けるところがしっかりフォローされていておすすめです。
宮脇先生の「できる ゼロからはじめるエレキギター超入門」(エレキ)
できるシリーズのエレキギター教本は、「本当の超初心者、独学で練習をしてみたけど煮詰まってしまった…」という読者に向けた内容。
いたるところで「練習のハードルとなる要素」「挫折しやすいポイント」を極力取り払うように工夫して執筆されてることが伝わってきます。
「ピッキングのコツ」「コード(和音)弾き」「単音弾き」を順番に覚えながら、ロック系のギターリフやフレーズの弾き方などを分かりやすくレクチャー。
エレキギター特有のテクニックもステップ・バイ・ステップで、できることを少しずつ増やしていく。とにかく「挫折しにくいように配慮」された構成といえるでしょう。
もちろん、ギターアンプの接続方法やセッティングの基礎知識まで網羅されているよ。
著者の宮脇俊郎さんは長年第一線で活躍されており、教則本の大ヒットを数多くリリースしていらっしゃいます。
上記を読み終わったら次のステップで手に取りたい教則本・参考書
さて、以上のような、ギター入門書を読み終わったあとのステップについて補足しておきましょう。
みなさん個々人で演奏したい曲、バンドの課題曲に挑戦したり、特定の音楽ジャンルに特化した教材に進んでいくと思います。
そういった段階で「スキルアップのために並行して読んでみる」のにおすすめの教則本。
いくつか電子書籍化かつKindle Unlimitedの読み放題対象になっているロングセラー教本があるので、この機会に合わせてご紹介します。
いちむら先生の「ギター・コードを覚える方法とほんの少しの理論」
ずいぶん前からYoutubeでも熱心に動画を投稿されていますね。ギター雑誌やレッスン書籍の大御所、いちむらまさきさんによる著書。
本書はギターコードについての教則本で、副題は「600個のコードを導く7のルール」です。
端的には「ギターコードを覚える方法」について書かれているのですが、「コードブック」と違い、やみくもに和音のダイアグラムを暗記するわけではありません。
簡単な音楽理論を身に付けることで、自分でコードフォームをアレンジしたり、押さえ方そのものがイチから考えられるように導いてくれます。
「コードを丸暗記」するだけでは、どうしても後々の応用が効かなくなっちゃうんだよね。
このあたりはギター特有の和音の響きについて理解を深めたり、楽器のポテンシャルを掘り下げるという観点からも一読の価値があるでしょう。
養父先生の「ギター上達のための全知識」
ギター歴が長い人であれば懐かしく感じるでしょう。名著「ギタリストのための全知識」の新装改訂版です。
バークリー音楽院出身のプロギタリスト養父貴さんによる執筆で、もともとオリジナルの初版が発売されたのは2005年でした。
書籍の構成は、「メンタルトレーニング、テクニカルトレーニング、リズムトレーニング、イヤートレーニング、フレージングアイディア、バッキングアイディア、アンサンブル」など多岐の分野にわたります。
具体的な練習フレーズより、「コラム的な読み物の割合が多い」のが特徴だね。
ベーシックな教則本の域に留まらず、「ギターが上達するためのメソッド、プロフェッショナルな思考方法」が盛りだくさんに詰まっていて勉強になると思います。
竹田先生の「ギター・マガジン メインテナンス・ブック」
下記は他の教本と少し毛色が違いますが、1997年に発売されたロングセラー「ギターマガジン・メインテナンスブック」の改訂版。ぜひこの機会にチェックしていただきたいです。
ラムトリックカンパニーでSonicブランドのギターを手がけてきた竹田豊さんが執筆しており、同「エレクトリックギターメカニズム」は大半のギター店員が読んでいるはず。
本書籍では工具の知識や基本的なメインテナンス知識にはじまり、「ネックまわりのメインテナンス、ボディまわりのメインテナンス、電気系統のメインテナンス、保管と運搬」について章立てされています。
ギターを始める以上、日常的なお手入れやセットアップの知識は必要になるもんね。
奏法だけでなく、ギターリペアの基礎知識を知ることで、「自分でできることと、プロに任せた方がいいこと」を判別できるようになることが大切ですね。
まとめ:Kindle版の説明とギター関連書籍について
ここまでご紹介したギター教則本は、全て電子版をAmazonのKindle(キンドル)で読むことができます。冒頭でも触れたように、本記事更新日の時点でKindle Unlimited会員であれば追加料金なしで読める電子書籍に絞ってあります。
楽天KoboやDMMブックス他の電子書籍サービスについても、あらためてチェックしてみましたが、「アップチャージなしで読める書籍のバリエーション」を考えると、現状はAmazonに軍配が上がる印象でした。
トップページの検索窓から辿りにくいのですがキンドル全体では、ギター関連書籍の検索結果が1,000冊以上ヒットしました。無料体験期間があったり、中級~上級レベルの教則本、月刊誌ギターマガジン(ギタマガ)のバックナンバーまで読めるコスパが良いね。
本記事をきっかけにギターの教則本、ギター教本に興味が沸くようでしたら、あらためて紙の書籍まで候補を広げて探してみるのも良いでしょう。
その際には、大型書店よりも「楽器店併設の楽譜売場」を探したほうが品揃えが充実していることが多いです。
私は過去に「ロックギター教本」と間違えて「ロックンロールギター教本」を買ってしまった失敗がありますが良い想い出です。(当時、ロックギターとロックンロールギターで別の奏法だと知らなかった。)
そういった偶然の発見も含めて、思わぬところからギター上達のきっかけになるかもしれません。最後までご覧いただき、ありがとうございました。