本記事ではエレキギターの自宅練習用アンプのなかで、とりわけコンパクトな重量1キロ未満の「超小型ギターアンプ」を楽器店員視点でご紹介してみます。
ギター用の「ミニアンプ」で検索すると、意外と大きいサイズの製品までヒットしますし、写真だけだとサイズ感が掴みにくい場合があって探すのが難しいんですよね。
ACアダプター電源だけでなく、乾電池でポータブル駆動可能な「卓上サイズのミニアンプ」に絞って解説してあります。
ハイエンド寄りの高価な製品は割愛して、2024年1月17日時点の実売価格が税込価格5,000円台~6,000円台、1万円台前半までのモデルに注目しているので予算にあわせてチェックしてみてください。
自宅練習機材だと、だいたい5kg前後のアンプが主流だから、さらに小さいタイプだね。
ポータブルサイズで置き場所に困らない:エレキギター用のミニアンプ6選はこちら
最初にあえて欠点を挙げておくと、小型軽量なギターアンプは音量を上げたときに本体が共振しやすい、音割れしやすいといったデメリットは起こりやすいです。
それでも思わずコレクションしたくなるモデルは多く、お手頃な価格のわりにルックスもサウンドも意外とあなどれないところ。
各製品ともしっかりヘッドホン端子を備えた仕様で「書斎やリビングのインテリアを兼ねた用途」「アウトドア・学校・出張先で使いたいシチュエーション」では十二分に活躍してくれるはずです。
以下、現行機種から具体的におすすめミニアンプ製品を厳選してご紹介していきます。
ツイード調でインテリアに馴染む雰囲気のフェンダーミニアンプMINI 57 TWIN AMP
まず、手のひらに乗せられるコンパクトなサイズで1ワット出力のフェンダーアンプからチェックしてみましょう。
こちらは名機「Fender Twinアンプ」が1957年当時に販売されていたスペックをもとにしたミニチュア版です。
「淡い黄土色のツイードキャビネット、スピーカーを保護する茶色のグリルクロス」という組み合わせは50年代のフェンダーを象徴する人気デザインになっています。
オリジナルのツインアンプだと、12インチサイズ口径(約30.5センチ)のスピーカーを2発搭載しているのですが、それを2インチ(約5センチ)まで大幅にダウンサイズして製品化。
通称「チキンヘッド」と呼ばれる、先端の目盛りが見やすい形状のノブもミニチュアで再現されていてかわいいですね。
本製品は「ボリューム、トーン、ドライブ」のツマミが天面に、向かって右側に1/4インチ径ヘッドホンジャックと別売ACアダプター用ジャック、裏側に9V電池ボックスが備え付けられています。
DRIVEコントロールを上げるとTWINらしからぬディストーション・サウンドも出せるよ。
幅171.5mm、高さ127.0mm、奥行68.1mm
フェンダーアンプ王道路線のブラックフェイスが渋い60年代スタイルMINI 65 TWIN AMP
続いて下記は1963年~1968年頃にかけて生産されていた「ブラックトーレックス」と呼ばれる仕様のツインアンプがモチーフになっています。
同じツインアンプでも「フェンダーアンプっぽさ」でいうと、この「ブラックフェイス」のイメージが先行するギタリストは多いかもしれません。
1W出力なのは前述のtweed版と共通仕様。細かくチェックしないと見落としがちですが、MINI65TWINに関しては、スピーカーが3インチ径とわずかに大きめなので一層音にハリを感じます。
コントロールとインプットジャックは全て正面のフロントパネルに配置されており、練習スタジオなどでもよく見かけるタイプのデザインですね。3.5mm径のヘッドホン(イヤホン)ジャックは側面にありました。
オリジナルサイズだと筐体側面に角度調整用プレートが付いているのですが、ミニアンプ版では背面の「ティルトバックスタンド」を使ってスラントさせる(傾ける)ことができる仕組みです。
ゲインのツマミを上げると音がつぶれがちにはなるのは仕様で、このローファイ感もなかなか味があって癖になります。
幅196.9mm、高さ146.1mm、奥行86.4mm
ロックギターと組み合わせるならマーシャルのミニアンプMS-2シリーズがおすすめ
こちらがミニアンプのジャンルで最も知名度が高いかもしれません。マーシャルアンプのラインナップは「ロックギターと切っても切り離せない」ですよね。
MARSHALL MS2はアンプとスピーカーが分かれた「セパレート構造」のデザインを採用しています。※ミニチュアゆえに実際に着脱することは不可能。
1960年代後半のプレキシパネル時代から、「ゴールドのコントロールパネル」というのはマーシャルのギターアンプを象徴するトレードマークになっています。
同シリーズでは「MS-2RやMS-2C」といった同機種のカラーバリエーションも発売されているので、ぜひ見比べてみてください。
本製品は正面から左側に「1/4インチ径のヘッドホン端子と別売ACアダプター用の端子」、背面に「9Vバッテリーの着脱口」が設けられています。
MS2はミニマムな1ワット出力で、2インチサイズのスピーカー(1発)が搭載。
「重量が340gほど」と今回ご紹介したミニアンプのうちでも、一段と小型軽量でありながら「しっかりマーシャルらしいキャラクターを匂わせてくれるサウンド」が好評です。
ボリューム、トーンの調整の他、オーバードライブのオンオフに対応しているよ。
幅110mm、高さ140mm、奥行60mm 重量:約0.34kg
レトロ・クラシックな雰囲気がたまらないダンエレクトロのミニアンプHONEY TONE
そして、まるでアンティークのラジオ、レトロな雰囲気を漂わせるハニートーンのN10モデル。
メーカーのダンエレクトロは1947年にニュージャージーで設立された楽器ブランドで、同ブランドのギター本体ではビザール系デザインのスチューデントモデル(入門者向けモデル)が有名です。
ハニートーンの現行機種では「アクア、バーガンディ、ブラック」の三色から選べるようになっています。
アニメBanG Dream!(バンドリ!)の劇中でもハニートーンを彷彿させるミニアンプが描かれていましたね。
ミニアンプN10の発売日については、調べても正確な情報が出てこなかったのですが、少なくとも二十年以上は定番の座をキープしている記憶があります。
スピーカーサイズは3インチで1ワット出力。写真から伝わってくるイメージそのまま、良い意味でチープな味のあるテイストが人気です。
「1/4インチ径ヘッドホン出力・別売ACアダプタージャック」は側面にあり、9Vバッテリーは背面から交換可能です。
ボリュームノブが電源のオンオフを兼ねており、他はトーンとゲインだけのシンプルなツマミ。背面クリップでベルトやカバンにぶら下げてもサマになります。
幅137mm、高さ133mm、奥行64mm
チューナー機能も便利、ポップなデザインが評判のオレンジ・ミニアンプCRUSH MINI
そして、下記はオレンジアンプらしいポップなデザインが際立つクラッシュミニ。
2001年に発売された「クラッシュシリーズ」が、自宅練習で扱いやすいトランジスタ回路(ソリッドステート)のラインナップです。
Orange Music Electronic Companyは、もともと1968年にロンドンで設立された真空管アンプの老舗ギターアンプメーカー。
旧製品「マイクロクラッシュ」(CR3)から2018年にアップデートされた本製品「クラッシュミニ」では、外部スピーカー出力(8オーム)とAUXINによるオーディオ音源入力端子が採用されるようになりました。
「3.5mm径ヘッドホンアウト」は天面にあり、底面に「9Vバッテリーを入れるためのボックス」が付いています。
サイズ感的には「片手で持てるけど、手のひらに乗せるのは少し厳しいくらい」といえるでしょう。
出力は3ワット仕様で、中音域のブーストカットをコントロールするSHAPEツマミの効きも良く、見た目以上に充実した仕上がりのサウンドです。
ミニアンプでクロマチック・チューナーの機能まで搭載されているのは珍しいところだよね。
幅150mm、高さ145mm、奥行83mm 重量:約0.90kg
ポップな限定カラーが追加で発売された実力派ブラックスターのミニアンプFLY3
2014年に発売されたブラックスターFLY3では、これまでもコラボモデルや限定デザインなどのギターアンプが数多くリリースされてきました。
今回は2022年12月に発表された「シェルピンク」をご紹介しておきましょう。
Blackstar Amplificationの拠点はイングランドのノーサンプトン。歴史的にはマーシャル出身のエンジニアを中心に2007年に創業されました。
上記は限定色なので、他にスタンダードなブラックカラーもラインナップされています。
フライアンプは、ミニアンプでありながらクリーンチャンネルとオーバードライブチャンネルが独立した設計。
「ISF」という独自のトーンコントロールによって、「アメリカンサウンド~ブリティッシュサウンド」へのトーン調整が可能です。
3インチスピーカー、3ワット出力。公式Youtubeチャンネルに他社製品との比較デモがあるのですが、ミニアンプらしからぬ安定感があるリッチなサウンドに仕上がっています。
ディレイエフェクトが標準搭載され、MP3などをラインでオーディオ入力したり、3.5mm径ヘッドホン出力(兼レコーディング用アウトプット)に対応しているのも実用的な特徴といえるでしょう。
FLY3のなかには「アコースティックギター用のモデル」「エレキベース用のモデル」も発売されているので間違えないように十分ご注意ください。
幅170mm、高さ126mm、奥行102mm 重量:約0.90kg
まとめ
以上、見た目のかわいさだけでなく価格もお手頃でカジュアルなエレキギター用ミニアンプをご紹介してみました。
「フェンダー・ミニツインの二機種、マーシャルMS2、ダンエレクトロ・ハニートーン」は、1Wアンプ仕様で雰囲気重視の印象。
「オレンジ・クラッシュミニやブラックスター・フライ3」に関しては、「ミニアンプだからと見くびれないレベルのクオリティ」だと思っています。
Amazon配送商品にはギフトラッピングやメッセージカードのオプションもあるのでプレゼントの場合はそれも利用できますね。同じく自宅練習用機材関連で「スピーカーなしのヘッドフォンアンプ」に関しては、別記事でまとめてありますので良かったらそちらもチェックしてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。