エリック・クラプトンは1945年生まれ。80歳を超えた現在も精力的に活動を続けており、2025年4月には1974年10月31日の初来日以来、24回目の来日公演が行われました。
2023年、2025年と短いスパンで日本公演が実現。レジェンドの健在ぶりに触れると、こちらもギター熱が再燃してきますよね。

2023年4月21日は海外アーティスト初となる100回目の武道館公演でした。
本記事ではクラプトンフリークの方におすすめのストラトモデルについて、歴史や仕様の違い、元楽器店員視点での評価もまじえながらご紹介してみようと思います。
クラプトンモデルのストラトキャスターをグレード別に選ぶ
まずは、フェンダーの現行製品にラインナップされているエリック・クラプトンモデルを解説していきます。
大まかなグレードとしては、
- フェンダーレギュラー製品のクラプトンモデル
- フェンダーカスタムショップ製品のクラプトンモデル
- フェンダーカスタムショップのマスタービルダーが製作したクラプトンモデル
の3種類に分かれますね。

フェンダーレギュラー製品のことは便宜的にフェンダーUSAモデルと呼ぶこともあるよ。
マスタービルダーが製作しているモデルについては「現行製品」というよりは「特注品・受注生産品」に近いイメージで捉えていただければよいと思います。
それぞれの特徴・違いについて順番に見ていくことにしましょう。
Eric Clapton Stratocasterはミッドブースト搭載の現行レギュラーモデル
「エリック・クラプトンモデル・ストラトキャスター」はフェンダー社が製品化・発売した初のアーティストモデルでした。
1988年にイングヴェイ・マルムスティーンのシグネチャーモデルとほぼ同時期にリリースされた製品です。
フェンダーカスタムショップの創設時期にも近いのですが、1983年発表のFender Elite Stratocasterをモチーフにプロトタイプが製作された歴史があります。
スペック面ではフロントトーン位置のTBXトーンと、ミドルトーン位置のアクティブ・ミッドブーストが最大の特徴でしょう。ECモデルではElite Stratocasterよりゲインブースト量が強化(約12dB→約25dB)されています。
TBXトーンは高域を絞るだけでなく、低域をカットすることもできるのでブースト時の音抜けを調整しやすいのも強みです。

9V電池で駆動する回路だから、ある意味エフェクターが内蔵されているイメージに近いね。
ネックシェイプは、当時現役だった愛器ブラッキーをもとにしたVシェイプ。「ピューター、トリノレッド、キャンディグリーン」が登場したあと、「ブラック、オリンピックホワイト」もラインナップされるようになりました。
ECモデルは2000年代に入ると初期の「レースセンサー・ピックアップ」から「ヴィンテージノイズレス・ピックアップ」にアップデートされます。
アルニコ5のマグネットを縦積み(スタック)させた構造で、ノイズを抑えながら、よりオーセンティックなフェンダーサウンドが出力しやすいです。
演奏性や調整のしやすさを考慮した「9.5インチRで22フレットのツバ出し指板」も、現在ではヴィンテージモダン系の機種で定番仕様になりましたね。
現行版は「オリンピックホワイト、ブラック、ピューター、トリノレッド」の4色がフェンダーのカリフォルニア工場で製作されています。
Custom Shop Eric Clapton Stratocasterで材や組み込みの品質にこだわる
カスタムショップ製とレギュラーモデルのクラプトンモデルは何が違うのか。価格差をどう評価するかも含めて、楽器店勤務中によく聞かれた質問です。
どちらもカリフォルニア工場で製作されていますが、ラインで効率よく生産されるレギュラーモデルに対し、カスタムショップ製は木材の選定から製作、組み込みに至るまで、各工程に一層の手間暇をかけて作られているのが特徴です。
いずれもスペック自体は似通っていますが、実際に二本を弾き比べてみると、音を鳴らす前の段階でも質感の違いに気付くと思います。
ヘッド裏のサインプリントと並んでカスタムショップロゴが入っており、ネックプレートに差し込み角を調整するマイクロティルトがない点は外観上の違いとして挙げられますね。

CS製品には認定証(Certificate of Authenticity)が付属。トレモロブロックはレギュラーモデル同様に木片で固定されているよ。
カラーオプションは、ブラックとミッドナイトブルーのほか、2025年11月からはブラウニーを想起させる2カラーサンバーストも登場しています。
Masterbuilt Eric Clapton Stratocasterは本人使用機材に近い最高峰の一本
フェンダーカスタムショップ製品のなかでもマスタービルダーの名前を冠したクラプトンモデルは最高峰の位置付けです。
端的にはクラプトン本人の楽器制作を担当しているクラスの職人が手がけた個体ということになります。
その「マスタービルト製品」の中にはメーカー主導企画もあれば、国内外の楽器店が独自スペックを指定して特注したモデルもあります。最近はEC本人の仕様を踏襲してTBXトーンを付けないオーダーも増えました。
過去にはJ.W.ブラック、ラリー・ブルックス、マーク・ケンドリックらによる制作が特に有名で、近年はトッド・クラウスが御用達ビルダーとなっていますね。

シニアマスタービルダーのTodd Krauseはジャクソン/シャーベル出身でバックオーダーを多数抱えています。
直近の来日公演で使用されたストラトキャスターについて簡単に触れておきましょう。
2023年公演では、2017年に発表されたJourneyman Relic Eric Clapton Signature Stratocaster, Aged White Blondeのプロトタイプ(2016年製)がメインでした。照明が当たるとうっすらアッシュブロンドの木目が透けていましたね。
2025年公演では、Dunkel Blau(ドゥンケルブラウ)と呼ばれる濃紺のモデルを使用。遠目にはブラッキーやメルセデスブルー風にも見えますが、ドイツ語で「濃い青」を意味する新色です。ハーフトーンが使えない3wayスイッチ仕様でありながら、タッチがダイレクトに反映され、じつに表情豊かな音色になっていました。
ブラッキー/ブラウニー風の50sストラトキャスターから選ぶ
以上、まずは現行クラプトンモデルについての解説を行いました。
ただ、ドンズバのシグネチャーモデルは気恥ずかしいから外しておきたいという声もありますよね。
「サインプリントが入っているのが気になってしまう」「80年代後半、90年代以降ではなくそれ以前のECサウンドを狙いたい」「もう少しお手頃な価格帯で探したい」という方向けの候補をまとめていきます。
50sモデル・ストラトキャスターについては別記事で紹介していますが、ここでは56~57年モデルのアルダーボディでメイプルワンピースネック仕様をピックアップしました。
American Vintage II 1957 Stratocasterは57年仕様を忠実に再現した製品
2022年10月に発表されたアメリカンヴィンテージIIシリーズから取り上げていきましょう。
「旧アメリカンヴィンテージ」や「アメリカンオリジナル」といったシリーズの系譜にあり、1957年当時のストラトキャスターを忠実に復刻したモデルです。
ネックグリップについては、ブラウニーのイメージで選ぶとVシェイプがやや強めに感じるかもしれませんが、極端なトライアングル形状ではなく扱いやすいです。
ブラックと2カラーサンバーストはアルダーボディで、ヴィンテージブロンドのみアッシュボディで製作されていますね。

ニトロセルロースラッカー塗装で経年変化も楽しみ。
スペックに関しては、Pure Vintage ’57 Stratocasterピックアップに7.25インチR指板とヴィンテージトールフレットを組み合わせています。
音の立ち上がりと粒立ちが良く、70年代初頭のあの音色を彷彿とさせる響きが魅力です。
MIJ Traditional 50s Stratocasterが堅実な日本製のクオリティで選びやすい
「メイドインジャパン・トラディショナル」は、昔ながらの言い方であれば「フェンダージャパン」の系譜です。
2017年以降の現行機種は指板Rが若干フラットなので、弦高を下げても音詰まりしにくくなっています。
ボディはバスウッド材で製作されており、塗装はポリエステルとウレタンなので、生粋のヴィンテージ路線ではありませんが、コストパフォーマンス的におすすめしやすいモデルです。
旧Fender Japan ST57の頃と比較すると、トラスロッドの仕込みやボディやネック形状などもアップデートされています。
カラーについてはブラウニーを意識するなら2カラーサンバースト、ブラッキーを意識するならブラックが候補になるでしょう。

スイッチは標準で5wayセレクターなのでハーフトーンもすぐ鳴らせるよ。
Squier Classic Vibe 50s Stratocasterはお手頃価格のフェンダー直系モデル
最後にSquier製品でクラプトン風のストラトを探すときのおすすめをご紹介しましょう。
フェンダーデザインのアルニコピックアップを搭載したClassic Vibe 50s Stratocasterですね。
スクワイヤーのラインナップの中でも長く親しまれている定番製品ですが、現行モデルは2019年にリニューアルされています。
「アコギ経験はあるけどエレキギターは初めて」という方や、「昔ギターをかじっていたけど久しぶりに再開する」という方にも提案しやすいモデルです。
9.5インチR指板やナロートールフレットを採用するなど、クラシックな雰囲気を残しつつも、現代的な弾きやすさを備えた仕様になっています。

やや飴色になっているメイプルネックもかっこいいね。
まとめ
1980年代後半~現代のクラプトンサウンドを狙うなら、やはりシグネチャーモデルが第一候補になるでしょう。昔より価格帯は上がっていますが、人気モデルなのでアウトレットや中古品も比較的探しやすい部類に入ります。
ブラッキーやブラウニーのようなヴィンテージ志向のストラトを選ぶなら、本記事で取り上げたAmerican VintageやMade in Japan Traditional、SquierのClassic Vibeがおすすめしやすいです。こちらはあくまで一例なので、他シリーズも含めて吟味していただければと思います。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。








