「ギブソン直系でお手頃なモデルを探すならエピフォン」という考え方はしごく順当なのですが、この数年で「安いレスポールのラインナップ」はずいぶん減ってしまいました。
この記事は元々は「予算5万円以内で選べるレスポール」を特集していたのですが、現在その価格で探せる新品モデルは本当に一握りです。
レスポールモデルはエレキギターのなかでも製作工程に手間のかかる設計で、どうしてもコストを抑えるのに限界があるんですよね。

きれいな杢目のメイプル材をラミネイトしていたり、ヘッドに角度の付いたセットネックだったりするもんね。
ただし、ギター初心者~中級者向けのレスポールが完全になくなったわけではありません。
本記事では2026年時点のエピフォン・レスポールを「エントリー系、レスポール・スタンダード系、ジュニア/スペシャル系、カスタム/モダン系、リイシュー系」という分類に整理して、元楽器店員視点で選び方を解説していきたいと思います。
Les Paul Tribute / Tribute Plusはお手頃な価格のエントリーモデル
ギター初心者向けにおすすめしやすい価格帯、Les Paul Tribute(2024年11月登場)とLes Paul Tribute Plus(2025年11月登場)からご紹介しましょう。
過去にもギブソンやエピフォンで「トリビュート」の名前が付く製品がありましたがそれらとは別仕様ですね。
2ハムバッカー仕様で、ブリッジやコントロールもレスポール然とした佇まいながら、ボディ本体とネックをボンドではなくネジで接合する「ボルトオンジョイント」によってコストを抑えているのが特徴です。
「安いエピフォン・レスポール」というと、下画像のLes Paul SL(Les Paul Melody Maker E1)、LesPaul Special VEなど設計を簡素化したモデルが目立ちましたが、トリビュートはよりオーソドックスなレスポール寄りですね。


無印のTributeはドットポジションマークでボディのバインディング(縁取り)も付いていないシンプルなデザイン。
それに対して、Tribute Plusのほうはフレイムメイプルの化粧板をラミネイトしており、ポジションマークも台形のトラペイゾイド・インレイになっています。

手が小さい初心者でも弾きやすいように、どちらもスリムなネック形状だよ。
エントリーモデルではウォーン系の艶消し仕上げも多いですが、Les Paul Tributeはしっかり光沢のあるグロス仕上げです。
ピックアップにセラミックマグネットを用いたEpiphone 650R、Epiphone 700Tを搭載することで、輪郭がはっきりした力強いサウンドが出しやすくなっていますね。
Les Paul Standard 50s / 60sが現行レスポールを代表する王道モデル
2020年以降、エピフォン製品のシリーズ再編が行われ、現在はInspired by Gibson CollectionのLes Paul Standard 50sとLes Paul Standard 60sが王道レスポールの代表機種になっています。
カラーによって「Figured」表記の有無がありますが、塗りつぶし系カラーはプレーントップ、サンバースト系カラーはフィギュアドメイプル(トラ杢・フレイムメイプル)仕様と考えていただくのが分かりやすいと思います。
旧ラインナップでいえば、Epiphone Les Paul Standard PlusTop系の後継ポジションと見ることもできますね。
現行モデルでは、ヘッド形状が見直され、ロングテノンネックと呼ばれるディープジョイント方式、Graph Techナット、LockToneブリッジ、CTSポットの採用など、より本格仕様にアップグレードされました。


50sモデル/60sモデルの主な違いについては、ネック形状、ペグ、ピックアップの種類を下表にまとめてあります。
実際に握り比べてみると50sモデルのほうがやや丸みを帯びたネックグリップで、60sモデルのほうが少し薄く平べったい印象のネックグリップですね。
| モデル名 | Les Paul Standard 50s | Les Paul Standard 60s |
| ネック形状 | 1959 Rounded Medium C | SlimTaper 60s C |
| ペグ | Epiphone Vintage Deluxe | Grover Rotomatic |
| ネック側ピックアップ | Epiphone ProBucker 1 | Epiphone ProBucker 2 |
| ブリッジ側ピックアップ | Epiphone ProBucker 2 | Epiphone ProBucker 3 |
ペグに関しても、50sモデルはクルーソンスタイルですが、60sモデルはグローバータイプに換装された状態を再現した仕様となっています。

細かい部分だとコントロールノブも50sと60sモデルで種類が違うんだよ。
どちらもヴィンテージPAFピックアップをモチーフにした「Epiphone ProBucker」を搭載しているのですが、50sモデルのほうがよりクラシックで、60sモデルのほうが若干ホットな出力でドライブしやすい傾向です。
Les Paul Junior / Specialはフラットトップ仕様のシンプルなモデル
ここで少し趣向が異なるフラットトップのLes Paul JuniorとLes Paul Specialをチェックしておきましょう。
もともとスチューデント〜ミドルクラスのモデルとして展開されてきたシンプルな設計で軽量な個体も多いですね。
ジュニアに関しては、ドッグイヤータイプといわれる耳付きのP-90ピックアップ、ブリッジサドルとテイルピースが一体になった「ライトニングバー・ラップアラウンドタイプ」が象徴的です。
1950年代のネックシェイプを意識した、比較的厚みのある握りも特徴。電装系もシンプルな潔いデザインで、ダイレクトな鳴り感と、コシのあるサウンドが心地よいモデルです。


スペシャルについては、Jr.の2ピックアップバージョン(ソープバータイプのP-90)として、指板にもバインディング(縁取り)が付くようになりますね。
エピフォン現行モデルでは、ボディシェイプがダブルカッタウェイに移行した1958〜1959年頃以降の時期がモチーフとなっているため、ネックシェイプも1960年以降のスリムな形状が再現されました。

フィギュアドトップでハムバッカーピックアップ・ストップテイル仕様のスペシャルも発売されているよ。
Les Paul Custom / Modern / Futuraなどモダンな系統の派生モデル
レスポールカスタム系のバリエーションを見る前に、最もオーソドックスなLes Paul Customを見ておきましょう。
エボニー指板、多層バインディング、ブロックインレイ、ゴールドパーツを備えることで、レスポールスタンダードの上位機種にふさわしい高級感があります。
近年は『ぼっち・ざ・ろっく!』で後藤ひとりさんが弾いていた黒いレスポールカスタムの影響で注目度が高まっていました。

Les Paul Custom Widowなどディーラー限定のExclusive Modelが少数入荷することもあるよ。
上記レスポールカスタムをコンテンポラリー志向に寄せたモデルだと、Les Paul Modern、Les Paul Prophecy、Futura Les Paul Customといったバリエーションが人気です。
端的には、いずれもプレイアビリティ面の向上、様々なジャンルに対応しやすい音作りを追求しているシリーズですね。
特に2026年4月に発売されたFuturaシリーズは、今期のエピフォンがかなり大々的に注力しているラインナップです。
見る角度によって色味が変化するChromashift Finishに加えて、コンパウンド・ラジアス指板、ステンレススチールフレット、新開発のProBucker Igniteピックアップなど、現代的な仕様を意欲的に取り入れています。
こういったレスポールカスタムのバリエーションは、広義で「レスポールをカスタムしたモデル」と解釈してもらうのが良いのかもしれません。
Inspired by Gibson Customはヴィンテージを復刻した上位モデル
最後にここまで取り上げてきたモデルから一段上のグレードであるリイシュー系モデルもチェックしておきましょう。
ギター初心者向けにおすすめする価格帯としては悩ましい側面があり、本記事では軽めに言及するに留めております。
2020年にエピフォンのラインナップが再編された時点でもカスタムショップ共同企画の上位モデルはありましたが、「Epiphone Inspired by Gibson Custom」として独立したコレクションが正式展開されたのは2024年からのこと。
コンセプトとしては、ギブソン・カスタムのヒストリックコレクションをエピフォンで再現するような位置付けで、特定年式の仕様や雰囲気を忠実に再現することに重点が置かれています。

カスタムショップと比較すると手が届きやすい価格帯だよね。
代表的なモデルは、1957 Les Paul Goldtop Reissue、1959 Les Paul Standard Reissue、1960 Les Paul Standard Reissue、1960 Les Paul Special Double Cut Reissueなど。
いずれもレスポールの歴史を語るうえで外せない、ギターアイコン的なラインナップですね。
また近年ではエピフォン・レスポールのアーティストモデルもラインナップが拡充されてきました。
Tak Matsumoto 1955 Les Paul Standard、Jeff Beck Oxblood 1954 Les Paulなど取り上げたいモデルが多数ありますが、本記事では割愛させていただきました。
まとめ
2026年現在、Epiphone Les Paul StudioやLes Paul Classic Wornなどはレギュラーラインナップから外れており、安い価格帯のレスポールを新品で探すのが少し難しくなっています。
エピフォンのレスポールは機種がかなり豊富なので、ギター初心者の方にとっては選び方が大変ですが、まずは本記事のように系統を分けて整理すると候補が絞りやすくなると思います。


少し毛色が違うため本編では触れませんでしたが、「お手頃なレスポール」という観点では、2022年夏に発売された約7/8スケールのPower Players Les Paulも候補になります。
通常のレスポールは弦長が24.75インチですが、本製品は22.73インチスケールまで短くされているので、少し大きめのミニギターくらいのサイズ感です。参考にしてみてください。
Epiphone新品のファーストオーナーは材料・製造工程上の不具合に対するリミテッド・ライフタイム保証があります。正規品を扱っている楽器店かどうか、しっかり確認しておくようにしましょう。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。












