バンドリ!ロゼリアのギタリスト氷川紗夜モデル(声優は工藤晴香さん)には、現在上位機種から廉価版までギター5種類ほどバリエーションが発売されています。
本記事では元楽器店員として、それぞれの製品ごとに仕様の違い、特徴や見分け方について「エレキギターの専門用語が分からない方」でも予備知識なしで読めるように解説してみました。
これまで氷川紗夜モデルのギターが発表されたタイミングについて
まず、2017年6月30日に発表された第一弾に、
- ESP M-II ROSELIA SAYO(メーカー希望小売価格:税込657,800円)
- BanG Dream! M-II SAYO(メーカー希望小売価格:税込74,800円)
続いて、2019年2月21日に発表された第二弾に、
- ESP M-II SAYO II(メーカー希望小売価格:税込657,800円)
- ESP M-II SAYO II FR(メーカー希望小売価格:税込682,000円)
がラインナップされました。
暑さに耐えてくれてありがとう🌹
— 工藤晴香 3/6 3/14 単独LIVE開催 (@kudoharuka910) August 22, 2020
(MC中にめっちゃチューニング確認してました)
Avant-garde HistoryとRinging Bloomはギターソロをアームでアレンジしました♫ 気付いた人いるかな?https://t.co/z4Tmg9e6DY pic.twitter.com/DXUOtFCObq
くわえて、2020年7月20日に発表された新製品として下記が登場しました。
BanG Dream! M-II SAYO Mini(メーカー希望小売価格:税込60,500円)
2024年1月時点でいずれも現行製品、下記3機種に関しては2023年2月1日受注分から価格改定(値上げ)が行われています。
モデル名 | 旧税込価格 | 新税込価格 |
ESP M-II ROSELIA SAYO | 657,800円 | 770,000円 |
ESP M-II SAYO II | 657,800円 | 726,000円 |
ESP M-II SAYO II FR | 682,000円 | 748,000円 |
型番が似通っているので判別が少々難しいですね。以下に順を追って見ていきましょう。
上位機種と廉価版で紗夜モデル本体のロゴ表記に違いがある
まず、前提として各製品はいずれもバンドリ!ガールズバンドパーティ!の正式なコラボレーションモデルとなっています。
氷川紗夜モデル・工藤晴香さんのギター機材は、1975年に創業された日本の老舗楽器メーカー/ギターショップであるESP(イーエスピー)がプロデュースを手がけている製品です。
ここでグレードの違いが気になりますよね。
結論から言ってしまうと、「メーカー名/ブランド名」が「ESP」表記になっているほうが劇中のモチーフでかつ、工藤晴香さん本人もライブで使用しているグレードのハンドメイド品。
「BanG Dream!」表記になっているものが、そのデザインを踏襲した廉価版にあたります。
メーカー希望小売価格の違いの他、「ESPもしくはBanG Dream!」という楽器本体の「ギターヘッドにあるロゴ」で見分けることが可能です。
ESP定番機種のM-II(エムツー)をアレンジした仕様だね。
ESPブランド版の氷川紗夜モデルについてギターの特徴
もう少し具体的に見てみましょう。ESPブランドの上位機種は日本製で、3種類の紗夜モデルが受注生産品として販売されています。
メーカー直営店である「BIG BOSS(ビッグボス)」という店舗や、全国の大手楽器店でもESP製品を取り扱っているところであれば購入可能です。
ただ、ESP版の氷川紗夜モデルで気を付けないといけないのは、クラフトマンの手作業で製作されるため納期の目安が約10カ月ほど(前後する場合あり・通常前払い)かかるということ。
タイミングによって運が良ければ、「各楽器店が事前に発注していた個体」が見つかることもあるので、少しでも早く入手したいときには個別で納期を確認してみると良いです。
2021年4月1日以降の受注分は指板材がエボニーからリッチライトに変更。2023年6月15日受注分から再度エボニー指板に戻ったよ。
以下、氷川紗夜モデル上位機種から特徴をチェックしてみます。
初期型のM-II ROSELIA SAYOは黒いピックアップカバー付き
ESP版上位機種のなかでギターの型番に「M-II ROSELIA SAYO」とだけ入っているのが、最初にリリースされた紗夜モデルです。
ボディ中央付近、音を拾うマイクの部分に「EMG81ピックアップ」を搭載しており、そこに黒いカバーが付いているのが見分けるときの特徴です。
M-II ROSELIA SAYOは「バスウッド」という比較的フラットな音響特性を持つ木材で製作されています。
写真を拡大しないと分かりにくいですがギター本体に黒い縁取りがあるのも初期型特有の仕様で、これを「ボディバインディング」と呼びます。
「ピックアップカバーとバインディングの有無」に注目すれば他モデルと判別しやすいでしょう。
M-II SAYO IIはポジションマークの形状がダブルストライプ
次にESP版のなかでもアップデートされたM-II SAYO II(エムツー・サヨツー)は、ピックアップにカバーが付いておらず、「ポールピース」「ボビン」という中身の部分が外から確認できます。
本製品はピックアップ(マイク)の種類が「EMG」ではなく「セイモアダンカン」というメーカーのもの。
具体的には「SEYMOUR DUNCAN SENTIENT、NAZGUL」が搭載されました。
M-II SAYO IIは先行発売されたモデルの木材がバスウッド材だったのに対して、より中音域に粘りのある特性のあるアルダー材で製作されています。
Roseliaを象徴するバラの埋め込み模様(インレイ)が「蓄光素材」に変わっているところにも注目。
あわせて指板(しばん)のポジションマークも四角形ではなく、ダブルストライプデザインに変更されました。
配線には「コイルスプリット機能」があるため、手元の操作でサウンドの出力を切り替えられるのも M-II SAYO IIの特徴です。
ブリッジがロック式にアレンジされたM-II SAYO II FR
そして上位機種で最後のモデル、アップデート版の紗夜モデルには「FR」という、もう一種類のバリエーションがあります。
「FR」は「フロイドローズ」の略称で、ブリッジ(ボディエンド側にある弦を通す金属パーツ)にロック機構があることを示しています。
ギターの裏側を見てみると「トレモロスプリング」というバネが入っているのが分かります。スペック欄では「Floyd Rose EVH D-Tuna Arming Ajuster」という部分が該当します。
本製品では「アームバーを使って音程を大胆に変化させる奏法」や、ワンタッチで調律を下げる「ドロップDチューニング」が可能になっているのが魅力です。
青みがかったシースルーパープルの「フレイムメイプルトップ」が美しいですね。
この細い縞模様は、天然の杢目(もくめ)だから、個体ごとに表情が違うんだよね。
BanG Dream!ブランド版の氷川紗夜モデルについてギターの特徴
ここからは、お手頃な「BanG Dream!ブランド」の氷川紗夜モデルを見てみましょう。
「ESPが取り扱っている製品」に変わりはないものの「海外工場生産で手の届きやすい価格帯を実現した廉価版」にあたります。
今日は初心に帰れた1日でした。ギター弾いて寝よ。
— 工藤晴香 3/6 3/14 単独LIVE開催 (@kudoharuka910) October 1, 2017
ESP渋谷クラフトハウスさんにてRoselia試奏フェア実施中です!スタッフさんから「たくさんの方が来てますよ〜!」とお聞きしました。ありがとうございます🌹
私も試奏したよー! pic.twitter.com/4OUgbHKSsu
なるべくデザインの印象・コンセプトは変わらないように配慮しながら、コストパフォーマンスを追求した2製品がラインナップされています。
お手頃価格のBanG Dream! M-II SAYOは初期型のデザインを踏襲
バンドリ!ブランドのほうは、2017年当時、冒頭で紹介したM-II ROSELIA SAYOと同時リリースされたので主要スペックはそれに近い仕様です。
上位機種との違いで分かりやすいのは「指板のインレイ」がバラではなく、四角いROSELIAロゴを採用しているところ。
音を拾うマイクの部分は「電池を使わないパッシブ仕様」のGH-1Gというピックアップです。
アルダーボディにブラック・バインディングを組み合わせているのは、しっかり上位機種に寄せたルックス。
低価格ながら「ヒールレスカットされた滑らかなセットネック構造」を採用しており、24フレット仕様の高いオクターブの音域まで演奏しやすいでしょう。
ミニサイズ版のBanG Dream! M-II SAYO Miniはボルトオン設計
そして最後はバンドリ・ブランド版の氷川紗夜モデルをダウンサイズした521mmスケールのミニギターです。
「スケール」は弦長(げんちょう)とも呼びますが、「ナット(ヘッドの付け根)からブリッジサドルまでの寸法」のことです。
通常版のBanG Dream! M-II SAYOは648mmスケールなので、約20%ほど短くなった製品にあたり、ギターの全体的なサイズも縮小されています。
「ピックアップ、ブリッジ、コントロール」といったパーツ類まで、バランスの違和感が少ないように工夫されていますね。
小柄な方や手の小さい人でも演奏しやすいよ。部屋に飾るのもちょうどいい感じ。
「ボルトオン」と呼ばれるネジ留め方式のネックジョイントで22フレット仕様になっているので、演奏できる音域が他機種より少し狭くなっていることには注意しておきましょう。
工藤晴香(くどはる)さん本人使用のギター機材について補足
以上、ロゼリアSAYOモデルの5機種について、それぞれの違いと主な特徴を整理してみました。
「ラウクレ2」(2021年2月)以降、ハムバッカーサイズのP-90(金属のピックアップカバー)を搭載したモデルを目にする機会も増えました。
くどはるさんファンの方には「フロイドローズ版」の印象が強いでしょうか。
本人使用機材にはインレイや配線、スケールなどが製品版と異なる仕様もあるので、思い入れのある映像や写真と見比べてみてくださいね。
ロゼリア紗夜モデル関連の公式グッズでは「ギターストラップやイラスト入りのキャラクターピック」もアクセサリーとして発売されていることも要チェック。
ちなみに工藤晴香さんのソロ活動では、私物のPRSスタンダード24やフェンダー・ムスタングあたりもおなじみでしょう。
特にムスタングのほうは「ニルヴァーナのカート・コバーンに憧れて購入した」とインタビューで語られることが多いです。
当サイトでも「Fender Mustang現行機種」について解説した記事があるので参考にしてみてください。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。