【2022年版】フェンダー・ムスタングの全機種解説|ギターモデル別

ムスタングの最新8モデルを比較解説|フェンダー・スクワイヤー編ギターの選び方を解説

「ムスタングモデル」のエレキギターというと、2010年代に入るまでは「フェンダージャパンもしくはヴィンテージ」「その他メーカーのコピーモデル」しか主要な選択肢がありませんでした。

しかし、ここ数年の間にフェンダーおよびスクワイヤー(スクワイア)でムスタングの新製品が続々と追加されています。

ムスタングの機種で選択肢が増えたのは近年になってからのこと
ムスタングの機種で選択肢が増えたのは近年になってからのこと

とてもありがたいことですが、「どのモデルにすべきか迷ってしまうシチュエーション」も増えたといえるでしょう。

ムスタングの初出は1964年。コンパクトなボディシェイプと24インチ・ショートスケールのエレキギターで気軽に演奏できるのが人気だね。

本記事ではFender/Squier Mustang現行機種の全モデル(9機種プラスアルファ)について、「2022年7月時点における最新ラインナップの特徴や違い」を比較解説してみました。

ギターの下見準備や候補を絞る参考資料として、ぜひご活用いただければと思います。

低予算で選べるハードテイル仕様を採用したムスタング3機種の特徴

Fender Mustangといえば、ブリッジ部分の「ダイナミックトレモロ」によって音程を変化させることができるヴィブラート機構が大きな特徴。

画像をタップするとAmazonで表示 フェンダー1973年製ヴィンテージ・ムスタング

そこをあえて固定式にした「ハードテイル仕様のモデル」が以下で紹介するように3機種リリースされています。

画像を拡大して見ると「ストラトキャスターのブリッジ」に似ていますが、一般的なストラトと違いアームを入れる穴や背面キャビティ(四角いザグリ加工)がないことに注目。

フェンダー・ムスタング90に採用されているハードテイルタイプのブリッジ
フェンダー・ムスタング90に採用されているハードテイルタイプのブリッジ

それらはアームで音程を変化させる奏法(アーミング)はできませんが、セットアップやチューニングに悩まなくて済むというメリットがあり、なにより価格が安いのは大きな魅力でしょう。

「ミュージックマスター」や「デュオソニック」のような兄弟姉妹モデルにも近いスペックだね。

現行のデュオソニックはムスタングとボディシェイプやピックガード形状が異なっている
現行のデュオソニックはムスタングとボディシェイプやピックガード形状が異なっている

軽量でありながらラウドなサウンドのBullet Mustang HHがギター初心者向けで安い

まずは、フェンダー直系の廉価版ブランドにあたるスクワイヤー(スクワイア)・バレットムスタングがこちら。

画像をタップするとAmazonで表示 Squier by Fender Bullet Mustang

上記は主にインドネシア工場で製作されており、型番の「HH」が示す通り「ハムバッカータイプのピックアップ」を採用しているのがポイントです。

価格帯的にチープなサウンドを想像するかもしれませんが、小ぶりでかわいらしい見た目に反して、なかなかラウドに鳴ってくれるサウンドが魅力。

肘があたるエルボー部分が滑らかに湾曲しているのでボディが薄く抱えやすくなる
肘があたるエルボー部分が滑らかに湾曲しているのでボディが薄く抱えやすくなる

ボディは軽量なポプラ材を用いたもので、肘や腰骨があたる部分が滑らかな「コンター加工」によって抱えやすくなっているのも好評なところです。

Bullet Series自体はギター初心者・入門者向けのラインナップとして有名ですが、ムスタングが追加されたのは2017年以降のこと。

カラーオプションは「ブラックとインペリアルブルー」の他、2019年に新色としてくすみ系の「ソニックグレイ」が選べるようになりました。

海外では2021年5月にコンペティションラインの限定モデルが発表

海外では「ブラックボディにショアラインゴールド」「ダフネブルーボディにオレンジ」のコンペティションストライプを組み合わせたバレットムスタングが発表されました。今のところ日本向けのニュースは出ていません。

P90風ピックアップを搭載したPlayer Series Mustang 90が2020年からリニューアル

続いてはメキシコにあるフェンダー・エンセナダ工場製のムスタング90モデルです。

製品名の後ろに付く「90(キュウジュウ、ナインティー)」は、搭載しているピックアップの名称「MP-90」に由来しています。

画像をタップするとAmazonで表示 Fender Player Mustang 90

2016年夏にリリースされた当初は「オフセットシリーズ」と呼ばれていましたが、2020年以降は「プレーヤーシリーズ」のラインナップに編入。

カラーも「エイジドナチュラル、バーガンディミストメタリック、シーフォームグリーン」にリニューアルされているよ。

画像をタップすると楽天市場で表示 MP90ピックアップはコイルが平たく巻かれたシングルコイル構造

P-90ピックアップに関しては、よく「シングルコイルとハムバッカーの中間的な音色」と表現されます。

ムスタングにP-90を搭載している時点で少々個性的ですが、本製品のMP-90の場合は若干ホットで力強いサウンド設計になっているのが強みといえるでしょう。

MEX現行機種のスタンダードではPlayer Series Mustangが代表格の人気

公式サイトでは「ムスタング」とシンプルに表記されていますが、前述したプレーヤーシリーズのバリエーション機種にあたります。

「オーソドックスなシングルコイルピックアップ構成」で、ボディの木部にアルダー材が使用されたモデルです。

画像をタップするとAmazonで表示 Squier by Fender Player Mustang Firemist Gold

カラーが「ソニックブルー、ファイアミストゴールド」の場合は、ミントグリーン・ピックガード。

「シエナサンバースト」の場合は、ブラック・ピックガードが使い分けられていますね。

画像をタップするとAmazonで表示 Squier by Fender Player Mustang Sienna Sunburst

本製品は色味だけで結構印象が変わり、後者は「ラージヘッドスタイル」なのも相まって、1970年代末の雰囲気を感じる人がいるかもしれません。

Player Mustang and Mustang 90 with Nicholas Veinoglou | Player Series | Fender
Player Mustang and Mustang 90 with Nicholas Veinoglou | Player Series | Fender公式Youtubeチャンネル

上述の2機種と同様にピックアップ・セレクターが3wayスイッチになっている点も、操作性を重視した現代的なアレンジです。

フェンダーのデモ演奏動画では、同環境でMP90搭載モデルと弾き比べされているので音色の違いを確認してみましょう。

ダイナミックトレモロの王道路線が好評なムスタング4機種の特徴

ここからは「ダイナミックトレモロがなければムスタングといえない」という王道路線・ヴィンテージ志向の方に向けての内容。

「Mustang」には「小型の野生馬」という意味があることが有名ですが、とりわけ大胆なレスポンスのアーミング・ヴィブラートは、使い勝手がジャジャ馬なテイストだと言われています。

コンペティションストライプ(レーシングストライプ)は現在限定生産モデルのみのラインナップになっている
コンペティションストライプ(レーシングストライプ)は現在限定生産モデルのみのラインナップになっている

スライドスイッチでピックアップ位相を切り変えたときの音色変化も、ヴィンテージスタイルのムスタング以外では再現しにくいユニークなサウンドでしょう。

2019年に再編されたClassic Vibe 60s Mustangはスクワイヤー版の上位機種

CVシリーズはリーズナブルでありながら、スクワイヤー(スクワイア)製品の上位機種に相当するモデルです。

具体的には2019年に再編された「クラシックヴァイブシリーズ」にラインナップされているムスタングが下記。

画像をタップするとAmazonで表示 Squier by Fender Classic Vibe 60s Mustang

カラーオプションは、淡い「ソニックブルー」と若干イエローの色味を帯びた「ヴィンテージホワイト」の二色。

いずれも1960年代風に「べっ甲柄のピックガード」を配した伝統的なルックスで、旧来より少しダークな色味のブラウンです。

Squier Vintage Modified Mustangは生産完了で、ボディ材・ブリッジサドル・ピックガード・ペグの種類などが異なっているよ。

画像をタップすると楽天市場で表示 新品の時点でわずかに日焼けしたようなティンテッド塗装

ネックの塗装が、わずかに飴色がかったヴィンテージ調の質感なので雰囲気がありますね。

ポプラ材のボディで、搭載ピックアップは「アルニコマグネットのフェンダーデザイン」が採用されたコスパ良好のムスタングとなりました。

日本製のフェンダー・ムスタングならMIJ Traditional 60s Mustangが王道の一本

日本製のMade in Japan Traditionalシリーズで生産されている「60sムスタング」は2020年以降に販売されているタイプが最新仕様です。

本製品が2017年に発売された当初は、指板の湾曲面が「7.25インチR」だったのですが、新製品では(弦高を下げても音詰まりしにくいように)少しフラットな「9.5インチR」へと変更になっています。

画像をタップするとAmazonで表示 Fender MIJ Traditional 60s Mustang

現行機種では、バスウッド材のボディやメイプル材のネックの形状もUSAの採寸データにもとづいての製作にアップデートされました。

従来の60sモデルよりナット幅がわずかにスリムになったことでネックの握りも若干違いを感じますね。もし同型番の中古と比較するときは若干留意しておきましょう。

画像をタップすると楽天市場で表示 ペグのギアカバーに「f」の刻印があることからエフキーと呼ばれている

ピックガードは「ダフネブルー」だとパーロイドで、「オリンピックホワイト」だとべっ甲柄。

この角ばったプラスチックボタンのf-keyチューナーにこだわる方は多いでしょう。

スペック面での違いはありますが、「フェンダージャパン時代のMG65、Japan Exclusive時代のClassic 60s Mustang」に相当するモデルを現時点でお探しなら本製品が候補となります。

2021年5月からコンペストライプ入りの限定ムスタングが登場

2021 Collection Made in Japan Traditional 60s Mustang Competition Orangeとして、旧フェンダージャパンMG69COや旧MG73COを彷彿させるリミテッドモデルが発売されましたが、本記事更新時点ではほぼ在庫切れになってしまいました。

画像をタップするとAmazonで表示 Fender MIJ Traditional 60s Mustang Competition Orange

「軽量なコンター付きボディのコンペティションオレンジ」が特徴ですが、レーシングストライプデザインの日本製ムスタングは近年渇望されていた仕様で話題を呼びました。

指板周りまでヴィンテージ仕様を踏襲したVintera 60s Mustangは人気のメキシコ製

数年前まで「ヴィンテージスペック=日本製」という図式だったのですが、最近は上述の「MIJトラディショナル」も少々モダンな方向にシフトしています。

よりオールド志向のムスタングが好みであれば、有力な選択肢となるのが2019年にリリースされた「ヴィンテラシリーズ」です。

画像をタップするとAmazonで表示 Fender Vintera 60s Mustang

「VINTAGE STYLE FOR THE MODERN ERA」というコンセプトのもと、フェンダー・エンセナダ工場で製作されているよ。

ここでフィンガーボードやフレットサイズが「ヴィンテージを忠実に再現した仕様」となっている影響は、弾き心地の違いだけではないです。

心地良いアタック感や音の立ち上がりというところで、他機種以上にフェンダー然としたニュアンスが感じとれるでしょう。

Vintera Series '60s Mustang | Vintera Series | Fender
Vintera Series ’60s Mustang | Vintera Series | Fender公式Youtubeチャンネル

ヴィンテラ・ムスタングでは、ピックアップカバーがブラックで統一されていますね。ペグのツマミはプラスチックの丸ボタン。

「サンバースト、レイクプラシッドブルー、シーフォームグリーン」のカラーバリエーションで、いずれも光沢のあるパーロイド・ピックガードをあしらった製品です。

長いこと欠品が続いていたUSA製American Performer Mustangも一部再入荷

フェンダー・アメリカンパフォーマーシリーズのムスタングは長期欠品が続いていましたが、最近になって時々再入荷が見られるようになってきました。

これはムスタングに限らずですが、フェンダー製品で「型番にAmericanと入っているモデル」は基本的にカリフォルニアUSA工場製であることを示しています。

画像をタップするとAmazonで表示 Fender American Performer Mustang

アメリカンパフォーマー・ムスタングの前身となったのは「American Special Mustang」といって2013年に発表されたモデル。

ただし、そちらは「ストップテイルピース仕様かつハムバッカーピックアップを搭載」したモダンな装いでした。

2018年から登場した本製品に関しては、セレクタースイッチこそ3wayですが、よりオーセンティックなコンセプトのムスタングに回帰しているのが評判ですね。

Patrick Droney Introduces The American Performer Mustang | American Performer Series | Fender
Patrick Droney Introduces The American Performer Mustang | American Performer Series | Fender公式Youtubeチャンネル

「モダンCシェイプのネックグリップ、9.5インチR指板、ジャンボフレット」によるストレスのない演奏性を獲得しており、端的にいうとバキっとしたパンチのある音色になりやすいです。

Yosemite(ヨセミテ)ピックアップは、エンジニアの巨匠ティム・ショウらによって新開発されたもので、良好なピッキングレスポンスと解像度の高いサウンドが好評を博しています。

アーティストモデル特有のイレギュラーなムスタング2機種の特徴

ここまでご紹介したような「正統派では物足りない」「さらに一癖あった方が愛着が沸く」という方もいらっしゃるでしょう。

画像をタップするとAmazonで表示 Char 20th Anniversary-Electric guitar Concert

以下、アーティストモデルのムスタング2製品のご紹介をしてあるので、この機会にチェックしてみてください。

ストラトとムスタングを高いレベルで融合させたCHAR MUSTANGが斬新で面白い

2019年に発売されたMade in JapanのChar Mustangは、日本にムスタング人気を定着させた第一人者である竹中尚人氏の新しいシグネチャーモデルです。

かつて2012年に登場したフェンダーカスタムショップ製の「Charフリースピリッツ・ムスタング(御召茶色)」という機種があるのですが、本製品は新たに別路線で設計開発されたオリジナルモデル。

画像をタップするとAmazonで表示 Fender Char Mustang

なんとストラトキャスタースタイルのシンクロナイズド・トレモロを組み合わせてしまったChar(チャー)さんらしい遊び心のある一本です。

画像をタップすると楽天市場で表示 通常のムスタングだとブリッジプレート下にスプリングがあるので背面ザグリがない

何度見返しても、ムスタングの裏側にトレモロスプリングのキャビティがあるのは新鮮。

ブリッジだけでなく、ボリュームコントロールの配置やピックガード形状まで、「ストラトと大胆に融合させてしまうアイデア」が反映された専用デザインとなっています。

ショートスケールにも関わらず、テンション感があって低音弦までしっかり鳴ってくれると評判だね。

アッシュボディのBen Gibbard Mustangは珍しいチェンバード構造で製作されている

最後は2021年春に発売されたアーティストモデル。ベン・ギバード・シグネチャーモデルのムスタングについて見てみましょう。

これまで8回に及ぶグラミー賞ノミネートの評価を受けているBen Gibbard。モデルはMEXICO工場製でサインプリントはヘッド裏にあります。

画像をタップするとAmazonで表示 Fender Ben Gibbard Mustang

ベン・ギバード本人がツアーで愛用しているムスタングにインスピレーションを受けたもので、本製品に関してはチェンバード構造で軽量化されたアッシュボディが最大の特徴でしょう。

ピックアップ特性も実機をもとに設計されていて、ボディ内に空洞を設けたことによる奥行きのある響きが美しいよ。

じつはテールピースが固定されており、従来型のムスタングより安定したチューニングとタイトなサウンドを実現することに貢献しています。

Exploring The Ben Gibbard Mustang | Artist Signature Series | Fender
Exploring The Ben Gibbard Mustang | Artist Signature Series | Fender公式Youtubeチャンネル

スライドスイッチ(フェイズスイッチ)は付いていないうえに、トーンノブがダミーで「ロータリスイッチ方式のピックアップセレクター」となっているのも彼のこだわり。

ピックガードとのコントラストがあるナチュラルカラーで、近年は稀少になっているアッシュ材の木目が映えるムスタングになっていますね。

まとめ

以上、ハードテイル仕様、ヴィンテージ路線、アーティストモデルと順番にムスタング現行モデルの特徴を比較ご紹介してみました。

ムスタングボディの仲間では2021年9月からスクワイヤー・パラノーマルシリーズ・サイクロンが発売されています。

「ストラトキャスター風ピックアップ、ジャガー風コントロール、24.75インチ・ミディアムスケールネック」を組み合わせているので、「正直ムスタングのバリエーションとは呼びにくいモデル」ですがとにかく個性が強い。機会があればぜひ試してみてください。

なお、2021年4月13日発売のギターマガジン5月号では「ムスタング偏愛。」という特集記事がボリュームたっぷりの力作で話題になりました。

画像をタップするとAmazonで表示 ギター・マガジン 2021年5月号

Kindle Unlimited会員なら電子書籍のバックナンバーが追加料金なしで読めるので、フェンダー・ムスタングに興味のある方は楽しめると思います。

ショップ選びに迷った際は、楽器店ごとのポイント・キャンペーン情報をまとめた下記が参考になれば幸いです。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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