ミニギターは省スペースで保管しやすく、持ち運びも簡単。自宅で気軽にはじめられる趣味として人気があります。
ただし、一口にミニギターといっても、スチール弦を張るフォークギター系モデル、ナイロン弦を張るクラシックギター系モデル、ギタレレ、ミニエレキ、アンプ内蔵ギターなど様々な種類が含まれます。
全然違うジャンルの楽器が一緒くたに紹介されているページも少なくありませんが、本記事では、スチール弦仕様で「一般的なアコギ」に近い感覚で弾けるモデルを元楽器店員視点で選定しています。
「弾き語りやコード練習をしてみたい」という方におすすめしやすい機種ですので参考にしてみてください。
「アコースティックギター」という言葉自体はナイロン弦のクラシックギターも含みますが、「アコギ」と略している場合は、スチール弦を張るフォークギター系を指すことが多いです。
この記事では取り上げていないミニギターの種類
本記事では「スチール弦仕様の小さなアコギ」をメインに紹介しますが、先に「この記事で深く取り上げないミニギターの種類」について整理しておきます。
まず、混同されやすいのがナイロン弦を張るタイプのミニギターです。
たとえば、YAMAHA CS40Jは弦長580mmのクラシックギターです。小学校高学年くらいのお子さんでも扱いやすいコンパクトなサイズ(全長約922mm)で、ナイロン弦ならではの柔らかい音色が楽しめます。
ただし、指板が幅広でクラシックの奏法に向いた設計です。ポップスや弾き語りに使えなくはないものの、スチール弦のアコギとは弾き心地も音色も違います。

CS40Jのナット幅は48mmあるよ。本編で紹介しているモデルは43mm前後が主流だね。
さらに小さなモデルでは「ギタレレ」と呼ばれるYAMAHA GL1が有名。弦長は約433mmまで短くなり、名前の通りギターとウクレレの中間的な性質になります。チューニングや音域も通常のギターと異なるため注意しましょう。

また、ナイロン弦モデルと同様に、エレキギター派生のミニギターについても本記事では割愛しました。
具体的にはSquier Mini Stratocasterのようなミニエレキの他に、PignoseやZO-3のようなアンプ内蔵ギターも人気がありますね。
必ずしも「アコギっぽい演奏」ができないわけではないのですが、あくまでエレキギターの小型版。生音で弾く前提には作られていません。
以上のようなナイロン弦モデル、ギタレレ、ミニエレキ、アンプ内蔵ギターについては深掘りせず、ここから「スチール弦仕様の小さなアコギ」に焦点をあてていくことにします。
ミニギターの選び方と紹介モデルの一覧
何センチから何センチまでをミニギターと分類するか、その基準はメーカーや楽器店によって差があります。
しかも意外と重要なのが、商品説明欄に「スモールサイズ」「スモールボディ」と書かれていても「ミニギターとは限らない」ことです。
ややこしいのですが、「レギュラーサイズのわりに小ぶりなモデル」をスモールサイズ、スモールボディと呼ぶことが多いんですよね。

パーラーギターをミニギターに分類するかどうかでも意見が分かれるよ。
それこそ、ミニギターの中でもさらに大小があるので、実際に寸法表記を確認しておくのが安心でしょう。
下図を参考に「弦長(スケール)」「全長」「ボディ長」についてチェックしてみてください。

本編で紹介するモデルについては、弦長が短い順に早見表をつくっておきました。
| モデル | 弦長 | 全長 | ポイント |
| YAMAHA JR2 / JR2S | 約540mm | 約857mm | 最小クラスの扱いやすさ |
| Epiphone J-45 Express | 約576mm | ― | 王道アコギ系のルックス |
| Fender Redondo Mini | 約578mm | ― | フェンダーらしい個性 |
| Baby Taylor BT1 / BT2 | 約578mm | 約857mm | 小型でも整ったサウンド |
| S.Yairi YM-02 | 約580mm | 約875mm | 価格とカラーの選びやすさ |
| Morris LA-011 | 約580mm | 約866mm | 国内最終調整の安心感 |
| YAMAHA APXT2 | 約580mm | 約866mm | チューナー内蔵エレアコ |
| Martin Little Martin LX1 | 約584mm | ― | プロにも愛用される定番 |
基本的には弦長が短いほどフレット間隔が狭くなるので子ども用、手が小さい人用、小柄な人用におすすめしやすいです。
その一方で、レギュラーサイズのギターと持ち替えたときの違和感を減らしたい場合は、ある程度大きめのサイズを選ぶのもコツになります。
以降では具体的に各機種の比較解説に入っていきたいと思います。

ギター初心者にはYAMAHA JR2とS.Yairi YM-02がおすすめしやすい
「なるべく出費を抑えたいけれど、怪しいメーカーのモデルで失敗したくない」という方に、店頭でも通販でもよく売れている定番モデル、YAMAHA JR2とS.Yairi YM-02からおすすめしていきます。
今回メインで紹介している製品の中で最も小さいサイズで設計されているのがYAMAHA JR2。
2011年に発売された息の長い人気モデルで、ヤマハの伝統的なFGシリーズをモチーフにしながら全長は約857mmしかありません。
ハイポジションはフレット間隔が狭くて弾きにくい人もいるかもしれませんが、ローポジションをメインで使う弾き語りには支障がないレベルでしょう。
小型のギターをレギュラーチューニングすると弦のハリが弱くなりやすいのですが、JR2ではトップに軽微なアーチを施すことで、テンションを維持する工夫が施されています。
上位モデル「JR2S」はトップ材が単板にアップグレードされており、わずかな価格差で音質向上が見込めるため一考の価値ありです。
それらJR2シリーズより一回り大きいS.Yairi YM-02もランキング上位の常連。全長は約875mmです。
特にギター初心者向けに必要なアクセサリーセットを付属したパッケージが人気ですね。

楽器の音質を向上させるため、ボディ背面をわずかに湾曲させているんだって。
塗装はサテン仕上げで、ナチュラル、マホガニー、ブラック、ヴィンテージサンバースト、チェリーサンバースト、ピンク、ライトブルーといった豊富なカラーバリエーションが魅力。
自宅のインテリアの雰囲気と合わせて選ぶのもありですよね。ヘッド裏側から歯車が見えるオープンギアペグが渋いです。
正確な音程が維持しやすいようにオクターブピッチに配慮した構造のブリッジサドルを採用。
同製品にはエレアコモデルや、左利き用モデルの他、もう一回り大きいモデルだとYM-03というラインナップも存在します。
アコギらしい見た目で選ぶならEpiphone J-45 ExpressとMorris LA-011
ミニギターの中でも「いかにもアコギらしい見た目」で探している方におすすめなのが、Epiphone J-45 ExpressとMorris LA-011でしょう。
Epiphone J-45 Expressは、ギブソン系アコギの代表機種であるJ-45を彷彿とさせるモデルです。
2024年11月から出荷がはじまった比較的新しい製品で、ラウンドショルダーと呼ばれるなで肩のボディシェイプがモチーフになっています。
J-45モデルのサイズを7/8相当にした設計で、弦長は22.68インチ(約576mm)で製作。
「8分の7サイズならそんなに変わらないのでは?」と思うかもしれないですが、実際にレギュラーサイズの弦長24.75インチ(約629 mm)と持ち替えるとかなり小ぶりに感じます。

サンバーストとラージピックガードの組み合わせが渋いね。
Morris LA-011も弦長が約580mmで全長866mmとエピフォンに近いサイズ感です。
モーリスは1960年代からアコギの製造を行っており、本製品はPERFORMERS EDITIONというシリーズ名になっています。
海外工場で製作されていますが、出荷前には長野県の松本工場にて点検調整することで優れた品質を維持しています。
カラーはナチュラル、チェリーサンバースト、タバコサンバースト。いずれもピックガードが付いていない分、すっきりして洗練された顔立ちに見えますね。
モーリスのミニギターではマホガニー材トップのLA-011 MHや、上位機種にあたるLA-021といったバリエーションも選べます。
個性と使いやすさで選ぶならFender Redondo MiniとYAMAHA APXT2
続いて、個性的なオリジナルデザインを採用しているFender Redondo MiniとYAMAHA APXT2に注目してみましょう。
Redondo Miniは、もともと2021年9月に登場したフェンダーのミニギターです。2025年10月からは、California Standardシリーズとして下記の新仕様で販売されています。
ストラトキャスター風のヘッド形状と、ドレッドノートシェイプを小型化したようなボディの組み合わせが印象的ですね。
弦長は新旧モデル共通で22.75インチ(約578mm)ですが、シリーズ名や材構成、ネックまわりの仕様、塗装などは既存モデルからアップデートされています。
特に現行モデルではナット幅が43mmから40.6mmに変更されており、以前よりネックの握りがスリムになっているのが好評です。

フレット数も18フレット仕様から20フレット仕様に増えているよ。
カラーについては、Surf Green、3-Color Sunburst、Black、Fiesta Redは標準的なスプルース材トップ仕様。Natural Sapeleはサペリ材トップ仕様になっています。
また、見た目の個性としてはYAMAHA APXT2も楕円形のサウンドホールで独特の存在感がありますね。
ライブや録音に使いやすいようにピックアップを搭載したアコギを「エレアコ」と呼びますが、APXT2はヤマハの代表的なエレアコAPXシリーズの系譜です。
トラベラーバージョンとして2012年12月に発売されており、全長は862mm、ボディ長は約386mm。
1弦側のボディにカッタウェイ加工が施されており、高音域のポジションにもアクセスしやすい構造です。
ギターアンプにつなぎやすいのがエレアコの強みですが、もちろん生音で練習する用途でも問題ありません。
ボディサイドに埋め込まれているプリアンプにチューナー機能が付いているのも嬉しいところ。
実売6万円台から本格ブランドが選べるBaby TaylorとLittle Martin
税込6万円台まで予算を捻出できるのであれば「テイラー」や「マーチン」が候補にできます。
Baby Taylorは、1996年から続く往年の人気シリーズで歯切れの良い整ったサウンドが魅力的です。
ボディサイズはレギュラーサイズの約3/4相当で弦長は22 3/4インチ(約578mm)。
「BT1」が単板スプルース材トップのベーシックモデル、「BT2」が単板マホガニー材トップのバリエーションとなっています。
BT1はナチュラルカラーで明るくまとまりのあるサウンド、BT2はブラウンカラーで甘く乾いたサウンドになりやすい傾向です。


BT1の側板裏板はサペリ材からウォルナット材に変更されているよ。
たとえば「BT2e」のようにモデル名に小文字の「e」が付いているものは、ピックアップを内蔵したエレアコ仕様です。直近でライブの予定がなくても、ちょっとしたレコーディング(宅録)用途にも重宝します。
そしてやはり最後は王道のLittle Martinですね。現行機種で一番スタンダードな仕様はLX1という型番です。
ボディトップはスプルース材の単板ですが、サイドバック材にハイプレッシャー・ラミネイト(HPL)を採用。木の繊維を特殊な方法で圧縮した特殊合板材として有名です。
リトルマーチンはシンガーソングライターのエド・シーランが愛用していたことでも有名ですし、どぶろっくでギターを弾いている森慎太郎さんのイメージもあるかもしれません。
ピックアップが付いているモデルはエレアコ仕様なので、末尾に「E」の文字が入ります。また、同シリーズには、コア柄デザインの「LXK2」もラインナップされています。
先ほどのBaby TaylorもLittle Martinもミニギターとしては決して安くない価格帯です。
それでも「憧れのテイラーやマーチンをこの価格で手に入れられる」というのは、ミニギターならではの魅力ともいえるでしょう。
まとめ
「ミニギター」という言葉はかなり広い意味で使われるので、ギター初心者の方はお目当ての候補を絞り込むだけで結構大変だと思います。
普通のアコースティックギターに近い感覚でコード練習や弾き語りをしたいシーンでは、本記事で紹介したようなスチール弦仕様のミニアコギを中心に選ぶと失敗しにくいと思います。
なお、「手が小さいからミニギターを探している」という方は、必ずしもミニギターに限定しなくてもよい場合があるのでお時間が許せば下記も参考にしてみてください。
ギター入門に必要なチューナーやカポ、スタンドなどのアクセサリー類についておさらいしたい方は下記をご覧ください。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。










