PRS(Paul Reed Smith)の初心者~中級者向けラインナップであるSEシリーズが発表されたのは2001年のこと。
カルロス・サンタナによる「ポールリードスミスの品質の高さを、より幅広い層に身近なものにしたい」という主旨のメッセージに端を発し、廉価版のSE SANTANAモデルが発売。続々とラインナップは拡充されていきました。
サンタナはPRS立ち上げ初期からの愛用者。当時、ギター雑誌の広告でもSEサンタナに込められたメッセージを見ることが多かったね。
PRS SEシリーズの「2021年モデル」については、2021年1月15日にオンライン開催されたPRS Guitars 2021 Launch Partyで発表されており、これは2022年2月時点でも現行機種になっています。
アーカイブは英語ですが、エレキギターに関しては「SE CUSTOM24最新トップ形状での新色追加」「SE Custom 24-08の発売」「Zach Myers Modelのアップデート」が明らかになりました。
PRSは2021年4月に国内代理店の変更がありましたが、最近になって新入荷商品を見かける機会が増えてきたので本記事で解説したいと思います。
PRS SE CUSTOM 24は立体的なトップカーブの新色が登場
SE CUSTOM24の2021年モデルは、2019年に発売されたSE版の「Paul’s Guitar」(USAメリーランド製のラインナップでは2013年発売)に倣ったボディ形状。
これは海外では「shallow violin body carve」と呼ばれていたりします。直訳すると、浅いヴァイオリンのようなカーブドドップですね。
2021年モデルの気になる新色として、レギュラーカラーは「ブラックゴールドバースト、ボニーピンク、チャコールバースト、フェイデッドブルーバースト」がラインナップされました。
ボニーピンクやフェイデッドブルーバーストは、カッタウェイ部分やサイドバックがナチュラル仕上げなのがかっこいいね。
もともとSE CUSTOM24が発売された当時は、下画像のようにほぼ平面のフラットトップ・デザインでした。
2012年以降はbeveled(ベベルド)処理されるようになり、それが近年ではもう少し深くメリハリのついた表情に。滑らかなエッジで弾きやすいという利点もあります。
ポールリードスミスSEのヘッドロゴは以前ゴシック字体の表記だったところ、2016-2017年にかけてのアップデートで上位機種に寄せたスクリプト字体に変更されました。
カスタム24に搭載されているピックアップは、レンジの広さと適度なパワー感で評価されている85/15 Sピックアップが継投。
グリップ厚を薄めに仕上げた「ワイドシンネック」仕様で、コントロールノブの操作によってシングルコイル風サウンドへの切り替えにも対応しているのが好評です。
PRS SE Custom 24-08は8種類の多彩なサウンドを操る新製品
同系統モデルでは「Custom 24-08」のSE版が2021年モデルとして登場することになりました。
もともと2016年に限定発売され、現在はUSA製コアモデルのレギュラーラインナップに復活している型番です。
何と言っても特徴的なのはボリューム/トーンコントロールの間にコイルタップ用のミニトグルスイッチが二つ付いていること。
このスイッチは2020年に発売された「35th Anniversary SE Custom 24」や「SE Paul’s Guitar」で見覚えがある人もいるかもしれません。
「513モデル」「408モデル」に代表されるような、多彩なサウンドバリエーションはPRSのお家芸だね。
定評のあるWide Thinタイプのネックは共通で「Vintage SunburstとEriza Verde(グリーン系)」でヘッドやサイドバックのフィニッシュに違いがあるのが確認できるでしょう。
デモ動画のようにTCI “S”ピックアップは8パターンのスイッチングが適用できることが、型番「カスタム24-08」の由来となっており下記のようなフレキシブルな音作りが可能です。
1.フロントハム単体、2.フロントシングル単体、3.リアハム単体、4.リアシングル単体、5.フロントハム・リアハム、6.フロントシングル+リアシングル、7.フロントシングル+リアハム、8.フロントハム+リアシングル
なお、2022年1月にはSE STANDARD(マホガニーボディモデル)に24-08モデルが追加されることが公式サイト(英語)で発表されています。
PRS SE Zach Myersはシングルカットのセミホロウモデル
もうひとつはカスタム24ではないのですが、一緒に発表されたザック・マイヤーズ・モデルのアップデートをご紹介しておきましょう。
Zach Myersは15歳のときからポールリードスミスのCUSTOM22を使用していたそうですね。
本製品はSEシリーズの定番アーティストモデルでしたが、既存製品は「サンバーストやトランパスグリーン」のフィニッシュでした。
2021年からの製品では美しいフレイムメイプルトップに映えるマイヤーズブルーを採用。
マッチングヘッドでネックバインディング付きというのは新しい特徴だよ。ペグのツマミもブラックになっているね。
基本スペックはさほど目立った違いがなく、ピックアップの型名(245 “S”)も変わっていないのですが、ボビンは白黒のゼブラでなくダブルブラック仕様でかっこいいですね。
先に取り上げたカスタム24モデルは、PRSを象徴する25インチスケールのワイドシンネック(メイプル材)でした。
それに対して、ザックマイヤーズは「SC245モデル」のようにギブソンより少し短い24.5インチのワイドファットネック(マホガニー材)で製作されています。
PRSならではの洗練されたテイストを活かしながら、「シングルカット・セミホロウモデル」ならではの濃厚で十分なコシのあるサウンドが満喫できるアーティストモデルと評判です。
まとめ
以上、ポールリードスミスSEシリーズの2021年モデル(2022年現行機種)についてご紹介してみました。
生産国がインドネシア製のPRS SEモデルはヘッド裏にシリアルナンバーがあり、「CTIC」が2020年製、「CTID」が2021年製と見分けることができます。気になる方は参考にしてみてください。
SEシリーズの「SE」というのは、現在公式で言及されているわけではないのですが、「Student Edition」や「Standard Edition」の略として知られています。
Inside the SE inspection room. SE Custom 24 // Faded Blue Burst 💙 pic.twitter.com/PSv3VjUaGg
— prsguitars (@prsguitars) September 14, 2021
いつかは憧れのUSAモデルを手にしたいけど、「さすがに本家の金額には手が届かない…」という方にとってSEシリーズは鉄板の人気。
PRS SEには日本市場限定モデルや旧価格品、ユニークなカタログ外製品も多いのでAmazon検索結果一覧などと合わせてチェックしてみてください。以前から話題になっていたジョン・メイヤーのSILVER SKY(シルバースカイ)についても、PRS SE版が2022年2月以降の国内入荷見込み。いよいよ間近のタイミングに迫ってきており、今後の動向が気になりますね。
最後までご覧いただきありがとうございました。