楽器店に来店する前の情報収集で「ギター初心者が値切りや値引き交渉できるのか気になる」というご質問をいただくことがあります。
地域性やお店ごとのポリシーがある問題なので、一概に語れないテーマにはなるのですが、
実態ベースでいうと「入門モデルの価格交渉は正直難しい。価格帯が上がると値引きしてもらえる可能性はあるけどNG返答も全然普通」くらいの温度感で捉えておくと良いでしょう。
これが一昔前であれば、たしかに「楽器屋では値引き交渉してなんぼ」という文化も存在していました。

一世を風靡したアニメ「けいおん!」にも有名な値引き交渉のシーンがあったよね。
その一方で、たいていの楽器店では責任者クラスの裁量でも店頭値引きが年々難しくなっており、文化・慣習の変化を実感させられます。
以下では、その背景や理由をふまえて「じゃあどうすればギターがお得に買えるの?」という内容を説明していきましょう。
楽器の店頭価格からの値引き交渉について
そもそも楽器業界の話に限らない内容も含まれるのですが、ギターの値引き交渉が難しくなってきた背景について楽器店員視点でシンプルに解説していきます。
EC時代で価格競争が加速して交渉余地が減っている
ほとんどの場合、楽器店の店頭に並んでいる新品ギターの値札には、メーカー希望小売価格(MSRP)から割引済みの価格が記載されています。
メーカー希望小売価格がそのまま販売価格になる製品も一部ありますが、オープン価格の商品も含め、多くの楽器店は定期的に競合他社の価格調査を行いながら値付けを実施しています。

2000年代以降、EC販売の普及が加速したことで店頭在庫を通販でも併売することが一般的になりました。店舗側にとっても顧客側にとっても競合店の価格調査が容易になったわけですね。
つまり、店頭に並べる時点で既に競合他社とのディスカウント合戦が始まっているということ。

利益を削って売上額を優先するショップが増えると価格競争がさらに進みやすくなるね。
相場より高い値付けは行いづらく、値引きの交渉の余地を残した価格設定することが難しくなり続けているといえます。
あとは、インターネット・SNSの普及で値引き交渉に応じにくくなった側面にも触れておきましょう。
たとえば「粘り強く値引き交渉を続けたら、大幅に割引してもらえました」という口コミを見たら、同じ製品を表示価格のまま即決で買った人は不公平に感じるのが当然ですよね。
高額なワンオフ製品やヴィンテージは別として、定番モデルの値引きは慎重にならざるをえないケースがあります。
最初からアウトレット販売や値下げが仕組み化されている
旧来の楽器店ではオフラインでのレジ処理や、わりかしアナログ寄りな在庫管理も珍しくありませんでした。
近年はどこもデータ管理の精度が上がっているので、とりわけ大手楽器店では在庫数が多い商品、滞留品になりそうな商品等を早めに値下げする流れが増えています。
つまり接客中に交渉を受けて突発的に値引きを行うのではなく、あらかじめ計画的にセール品やアウトレット特価扱いに切り替えているということですね。

また、デジタル化によって、商品単位での粗利率が可視化されやすくなっている点にも触れておきましょう。
冒頭で「入門モデルの割引は厳しい」と書きましたが、ビギナーの方には細やかな説明・丁寧に時間をかけた接客が必要。低価格帯のギター初心者セットには、ほぼ値引きの余裕がないのが実情です。

安価なギターでも送料や調整にかかるコストは高価なギターと大差なかったりするもんね。
それでも少しでもお得に買うコツ、割引してもらうための交渉術
楽器店での値引き交渉が難しくなっている理由として、EC販売やデジタル化の影響について上述しましたが、それはリピーター獲得・継続利用を促す目的の施策強化にも直結しています。
まずは、ポイント還元や会員特典についてリサーチして、それを上手に活用するのがおすすめです。
そのうえでなお、「できるだけ値引き交渉を頑張りたい」という方向けへのアドバイスを下記していきます。
競合店が多いエリアは例外的に値引き交渉しやすい
価格交渉のための伝統的なアプローチですが、昨今でも「複数の競合店を回る」という手法自体は効果的です。
たとえば東京・御茶ノ水エリアには数多くの楽器店が密集していることが有名で、「このモデル、隣のお店は端数切ってくれるらしいんですけど…」というような光景が今も現役ですね。

もちろん複数店舗を見て回る手間、それにかかる時間とのトレードオフではあります。

価格比較サイト、WEB限定特価などをもとに交渉するのは心証が良くないみたいだよ。
どうしても以前に比べると値引き幅は渋くなっていますが、御茶ノ水エリアに限らず、近隣の競合店をハシゴしながら交渉するのは有効です。
先に予算を伝えてしまうことで好条件の提案を促してみる
これはわりと正攻法にすぎないのですが、「今回の予算は合計で~円が限界なんだけど、こういうタイプのギターが気になっていて…」というスタンスで相談してみるのはおすすめです。
「冷かしではない」という意思表示が店員側に簡単に伝わるフレーズで、若干少なめに予算を伝えておくくらいでちょうどいいと思います。

もちろん「これがギリギリなんですよねぇ」「お値引きしたいのは山々なんですが…」という返答しか返ってこない可能性はあります。
けっして「このギターに決めています。安くなりませんか?」の順番ではなく、「予算がボトルネックで決めかねていること」を前面に出すことがポイントですね。
運が良ければですが「じつは今ちょうど値下げを予定していた個体があるんですよ」「このカラーであればもう少し頑張れますよ」などの条件を提示してもらえるパターンにつながりやすいです。
「値引きが難しいならオマケを付けてもらう」はおすすめしない
楽器の値引き交渉に関連するテーマだと、「値引きが難しいならオマケを付けてもらうべき」というアドバイスも常套句として知られています。
楽器店側の本音としては「ギター本体だけでなく、小物まで合わせ買いしてもらいたい」ですよね。

オマケについては、何かしらのキャンペーンなどでサービス品を提供できる時期もあれば、オマケを付けるために楽器本体からの値引きと同等の処理をしないといけない時期もあります。
後者の場合だと、「オマケをつけてほしい」=「値引き交渉」とあまり変わらないわけですから、「値引きが無理→おまけの相談」と結びつけず、「もらえたらラッキーくらい」くらいの感覚でちょうどいいと思います。
まとめ
最近はめったに見かけなくなりましたが、かつてのインターネットでは「このモデルの仕入価格は~円くらいだから、普通は~円まで値切れる」というような”情報通”の話がよく語られていました。
実際の仕入価格は変動するものですし、その時々での値引き可否は楽器店側の様々な内部事情に左右され、外部から簡単に予想できるものではありません。
ギターが安くなる時期、値下げされやすい時期も想像以上にまちまちで、各社の決算時期や新製品のリリース時期に限らないんですよね。
まずは公式のセール・キャンペーンや、ポイント還元などの仕組みを最大限活用することを重視して、本記事でご紹介したようなTIPSを補足的に参考にしていただければと思います。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!



