今回はアコギ初心者で「ギター本体以外の小物も含めて予算を2万円台~3万円台に収めたい」という方向けの候補、アイバニーズのエレアコ製品について解説です。
「入門モデルとして弾きやすいことはもちろん、見た目のおしゃれさにもこだわりたい人」におすすめしやすいラインナップで、2024年1月現在の製品一覧がメーカーサイトに掲載されています。
2021年以降、新製品も追加投入されているアイバニーズのパフォーマンスシリーズ。アコギ初心者向けモデルとして意外と見落とされがちな機種なので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。
「エレキギターは弾いた経験があるけど、アコギはこれから始めてみたい」という層にも人気だよ。
アイバニーズのエレアコ入門機種パフォーマンスシリーズについて
まず、Ibanez Performance Seriesのアコースティックギターは全機種エレアコ仕様なのが特徴です。「エレアコ」という専門用語についてはご存知でしょうか?
「エレアコ」は、あらかじめ「ピックアップ」というマイクが内蔵されている仕組みのアコースティックギターのことを示しています。
つまり、ギター単体で鳴らすことができるのはもちろん、将来的にライブ演奏やレコーディングをするのにも適しているということ。
マイク位置に捉われず録音用のオーディオインターフェースにつないだり、ライブハウスでミキサーにケーブル一本で出力できるのが大きなメリットになります。
サウンドを増幅・調整する機能は9V乾電池で駆動するようになっていて、それがギター側面に配置された「プリアンプ」の役割です。
パフォーマンスシリーズのプリアンプ「AEQ-2T」は、上画像のつまみ部分を回すだけで「トレブル(高音帯域)、ベース(低音帯域)、ボリューム」の出力調整ができるようになっています。
上部に簡易的なチューナー機能まで内蔵されているのが便利だね。
現行機種はアコギのボディが大きい方から「PFシリーズ、PCシリーズ、PNシリーズ」と名付けられているので、以下ではサイズの順番にそって解説していきたいと思います。
PF12MHCEはアコギで標準的な大きさのドレッドノートサイズ
まず、最初に取り上げるアイバニーズPFシリーズのボディシェイプ。ふくよかな音色を奏でやすい「ドレッドノートサイズ」の分類に属していて、一番お手頃なのがPF12MHCEモデルです。
寸法だけではイメージは掴みにくいかもしれませんが、ボディ本体部分のサイズ「長さが約50.8cm、最大幅が約40.0cm、厚みが約10.8cm」で製作されています。
型番で「MHCE」の部分は「ガブーンマホガニー(MH)の別名があるオクメ材のボディかつカッタウェイ付きエレアコ仕様(CE)」というスペックの略称。
ソロギターやリードを取るときに左手が高音域まで指が届きやすい設計だよ。
製品ページに掲載されている画像で、ヘッドを裏面に歯車が見える「オープンギアペグ仕様」なのが少しアンティーク調の雰囲気を感じますよね。
こちらの「PF12モデル」や先で紹介する「PC12モデル」は、オープンポアという仕上げの塗装で木材のサラサラ感や、温もりを残した質感も好評になっています。
PF33MHCEは指板のデザインやピックガード装飾がグレードアップ
続けて、PF33MHCEモデルに関しては型番の数字が「PF12」→「PF33」になっているので先ほどのモデルより一つ上位機種だと予想ができますね。
メーカー希望小売価格が定められていないオープンプライスで、リーズナブルな「PF12モデル」と価格差は通常約1万円前後になっています。
本製品で注目したいのはネック(指板)のポジションマークが「植物のツル、ツタ」をモチーフにした華やかなデザインになっていること。
さらに「ストライプドエボニー」という木材をピックガードの形状に合わせて「象嵌(ぞうがん)=嵌め込み」細工してあるところです。
サウンドホール周りのロゼッタという装飾も光沢のあるアクリル素材で高級感が出ているよ。
先に挙げた「PF12MHCE」より艶感のある塗装で、白い縁取り(バインディング)とのコントラストが映えるエレアコになっていますね。
前述の機種がオクメ材だったところ「PF33MHCEモデル」はサペリ材を採用。こちらもマホガニー材(MH)の代替としてアコギの定番です。
ボディ本体は「長さが約49.2cm、最大幅が約38.1cm、厚みが約12.7cm」とPF12モデルよりわずかに厚みがあります。
PF12/PF33を厳密に比較すると「弦長が648mm/650mm、ナット幅が42mm/43mm」など微細な違いはありつつ、いずれもギター初心者でも安心して選べる薄いネックシェイプが採用されました。
PC12MHCEとPC14MHCEがシリーズ中でも注目度が高い
以降の「PCシリーズ」は「グランドコンサートサイズ」と呼ばれる小ぶりなボディシェイプで音色も引き締まった印象になっています。
パフォーマンスシリーズ全ラインナップの中でも、PC12MHCEとPC14MHCEモデルが人気ランキング常連の売れ筋モデルですね。
2種類の違いはシンプルで、カラーが「Open Pore NaturalとWeathered Black Open Pore」で異なること。
2020年12月に発表されたブラックはスポット生産で限定カラーの扱い。直訳すると「野ざらしの、風化したような黒」といった意味だよ。
オクメ材ボディのサイズに着目すると「長さが約48.9cm、最大幅が約38.7cm、厚みが約10.8cm」
じつはドレッドノートサイズPF12モデルの寸法と極端な違いはありません。厚みもほぼ共通ですが、くびれが強いのでずいぶん小ぶりに感じるのではないでしょうか。
本製品はネックの弦長が634mmまで短くなっているため、手が小さい方向けにもおすすめしやすく、同じ種類の弦を張っても「PFモデル」より押さえる力が少なくてすむ利点があります。
PC33CEとPC33MHCEが小ぶりなグランドコンサートの上位機種
そのPCシリーズの方は上位機種も二種類あるので、今度はそちらに焦点をあてていきましょう。
PC33CEモデルが明るいナチュラル系のスプルース材トップで、PC33MHCEモデルが渋いブラウン系のサペリ材トップで製作。
ボディの側面と裏面(サイドバック材)は「サペリ」という木材で共通ですが、がらっと顔付きが変わってきます。
スペック面は「序盤でチェックしたPF12MHCEとPF33MHCEの関係性」と同様で、入門モデルと思えないほど指板・ピックガードなどの装飾がゴージャスに差別化されていますね。
スプルース材はアコギに限らず色々な弦楽器に用いられるスタンダードな木材だよ。
ボディのサイズは、2色とも共通で「長さが約49.2cm、最大幅が約38.1cm、厚みが約10.8cm」といった具合です。
弦長634mmの薄いネックシェイプで弾き心地はPC12/PC14モデルに近い感覚。1ミリほどナット幅が広くなって、指板面もわずかながらフラットなデザインになっています。
PN12MHEはスチール弦のパーラーギターで安いのにエレアコ
最後にアイバニーズ・パフォーマンスシリーズの中で異色を放つパーラーサイズのPN12MHEモデルを取り上げましょう。
本製品は一つ手前の「PCシリーズよりさらにコンパクト」なジャンルになってきます。
型番に「N」と入っているので「ナイロン弦」と勘違いしやすいですが、「他機種同様にスチール弦・ライトゲージ(.012-.053)が張られている」スタンダードなアコギです。
「PN12モデル」の場合、ボディの長さや厚みは「PC12/PC14モデル」に準じる形状ですが最大幅が約35.6cmしかありません。
さらに他モデルと違ってカッタウェイが付いていないから型番に「C」の文字が入っていないんだね。
「弦長628.7mm」の設計は、別記事で紹介した「ミニギターとの中間くらい」の長さで、カジュアルな気分で楽しめるパーラーギターならではの魅力です。
PN12MHEはボディとネックのジョイント位置が12フレット、全体のフレット数も18フレットなので、PFモデル/PCモデルより2フレット(半音×2)少ない仕様。
パフォーマンスシリーズのうち価格も安い部類ですが、ちゃんとエレアコ仕様になっているのが好評ですね。
まとめ:マイナーチェンジされた旧製品もお買い得なモデル
以上、アイバニーズ・パフォーマンスシリーズの現行機種7モデルについてご紹介してきました。
中古商品や少し古いカタログを見たことのある方向けに補足すると「PC33CE、PC33MHCE、PF33MHCE」は2021年3月に発表された製品で、それぞれが既存製品「PC32CE、PC32MHCE、PF32MHCE」の後継モデルとなっています。
具体的には旧モデルで「オバンコール材」「フレイムメイプル材」だったピックガードが「ストライプドエボニー材」に統一され、カタログ寸法のマイナーチェンジが行われました。
こういったデザインの違いは各々好みによりけりなので旧モデル掘り出し物など、お買い得なセール対象があれば、それも狙い目かもしれません。
日本国内だけでなく、グローバルな評価を得ているアイバニーズ製品。ソフトケース付属、チューナー内蔵なのでアクセサリー選びに苦慮せず思い立ったタイミングですぐに始められるのが良いですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。