日向大輔さんが演じるArgonavis五稜結人モデルのギターは2020年10月にギブソンからアーティストモデルとして登場。数カ月後の2021年2月からは「エピフォン製のお手頃なバージョン」が発売されるようになりました。
正式にはEpiphone Goryo Yuto Les Paul Standardという型番で、Gibson版より気軽に購入できる価格設定がされたよ。
本記事では、ギターの専門知識がない方であっても五稜結人モデルに詳しくなれるように楽器店員視点でギターの特徴や既存モデルとの違いについて解説してみたいと思います。
五稜結人(ごりょうゆうと)モデルとして発売されたギターの種類
まず、公式に五稜結人(ごりょうゆうと)シグネチャーモデルが発売されたのは2020年10月27日のことでした。
「ギブソン」というのは、エレキギター業界でトップクラスの知名度があるメーカー/ブランドです。
- Gibson Custom Goryo Yuto Les Paul Standard
- Gibson Goryo Yuto Les Paul Standard
その基本仕様を踏襲した廉価版として、2021年2月14日に下記のエピフォン版「シグネチャーレスポール」が発表されました。
Epiphone Goryo Yuto Les Paul Standard
今でも当時のプレスリリースを見ることができます。ずいぶん値段が違う理由は?ギターの特徴にどんな違いがある?など、みなさんが気になるであろうポイントを以下に噛み砕いて比較説明していきたいと思います。
「シグネチャーモデルのレスポール」とはどういう意味?
一種の専門用語に近いでしょうか。楽器やスポーツ用品等に馴染みがない方だと「シグネチャーモデル」という言葉自体に聞き慣れない方もいるかもしれません。
Signatureには「署名」の意味があります。つまり、シグネチャーモデルは機能や外観などに「既製品とは異なるアーティストのこだわりを反映」させた特別仕様を指します。
ギターの場合、「シグネチャーモデル」と「アーティストモデル」はほぼ同義ですね。
メーカーとアーティストがタッグを組んで開発する「お墨付きの楽器」ということだよ。
ギター好きの方にとっては有名ですが、じつはもともと「レスポール」自体が1950年代初頭にジャズギタリストLes Paul氏のシグネチャーモデルとして発売された経緯があります。
五稜結人シグネチャーレスポールは、そこに新しいエッセンスを加えて設計開発された製品となるわけです。
一般販売されるレスポールのアーティストモデルで、アニメとの正式コラボが実現したのは「アルゴナビス from BanG Dream!(バンドリ)」、あらため「from AROGONAVIS」(2021年11月~)が初めてのことでいわば歴史的快挙となりました。
アルゴナビス五稜結人(日向大輔さん)が弾いているギターの特徴
ここからアルゴナビス五稜結人モデルのスペックをチェックしていきましょう。
最大の特徴は、アルゴナビスのイメージカラーであり函館の海や空の色に由来するブルーバースト仕上げといえます。
波のように見える柄は、キルトメイプル(キルテッドメイプル)という稀少木材に不規則で現れる「天然の木理」が透けたものです。
レスポールのボディトップは曲面状に削り出されており、角度によって光の反射具合が変わるので、まさに「海の水面のような印象」になっているんですよね。
塗装も職人の手作業なので、グラデーションや色味は一本一本で雰囲気が異なるよ。
採用されているパーツが「ギブソンカスタム版、ギブソン版、エピフォン版」で違いますが、根本的にはロックギターの象徴として愛されている1950年代黄金期のレスポールをモチーフにしているのが共通点。
弦の振動を拾うピックアップ(マイク)の種類は、製品ごとに「57 Classic、BurstBucker、ProBucker」と違いがありますが、いずれもヴィンテージのテイストを活かした王道のサウンドを追求しています。
ばっちり杢目が映えるように「出荷時にピックガードが取り付けられていない」のも特徴的で、ボディバックまでダークブルー系の色味に統一されていますね。
Gibson Custom Goryo Yuto Les Paul Standardについて
さて、個別の製品について最上位のグレードにあるギブソンカスタム版から見てみましょう。
通称「カスタムショップ製」とも呼ばれており、アメリカ・テネシー州のナッシュビルで、プロのギタリストやコレクターを唸らせるレベルのギターを製作しています。
日向大輔さんが実際にライブで演奏しているギターや、アルゴナビスのアニメ・ゲームの作画も本製品をもとにしていると考えていいでしょう。
レスポールは、「重たいエレキギター」というイメージがあるかもしれないけど、ギブソンカスタムでは「軽量でかつ良質な木材」が厳選されているよ。
楽器本体の作りに対するこだわりだけでなく、ブリッジやコントロールノブまでTrue Historic Partsという莫大な研究開発予算をかけてヴィンテージを復刻したレプリカパーツが採用されています。
相応に高価ではありますが、カスタムショップ製の五稜結人モデルは全世界わずか25本限定の生産。2023年9月現在ではほぼ完売で、アウトレットや中古も探すのには苦労する状況です。
ヘッド裏面のスタンプに「GY+数字」という形式で、「五稜結人のイニシャル+通し番号」のシリアルナンバーが割り振られています。
Gibson Goryo Yuto Les Paul Standardについて
続いて、レギュラーラインナップのギブソン版も本数こそ公表されていないですが数量限定モデル。
「ギブソンカスタム」とは少しだけ離れた別工場ですが、こちらもアメリカ・テネシー州のナッシュビルに生産拠点があります。
現行でラインナップされているGibsonの標準的なグレードで、生産体制は最新鋭のテクノロジーと職人のハンドメイドが両立されたもの。
上述の「ギブソンカスタム」と区別するために、ブランドは「ギブソンUSA」と呼ぶことが多いよ。
ハイエンドのカスタムショップ版とは、塗装やプラスチックパーツの質感などにも違いが出ていますが遠目で見る分にはかなり近いルックスです。
シリアルナンバーはヘッドの裏面に刻印があり、9桁の数字でギブソン社でスタンダードな採番となっています。こちらも直近では滅多に在庫を見かけなくなってしまいました。
設計面では「軽量化のためのウエイトリリーフ加工」を施さないことで、重厚で芯のあるサウンドが実現されているのが特徴。
ボディトップのキルトメイプル材は、上質なAAA(トリプルエー)グレードで杢目(もくめ)が美しくはっきり出た木材が工場での仕入れ/製作段階でチョイスされています。
Epiphone Goryo Yuto Les Paul Standardについて
最後にエピフォン版はギブソン直系ブランドでありながら、生産拠点を海外に移して量産体制を構築することでコストパフォーマンスを向上させたモデルです。
若干個体差はあるものの、上記の2機種と比較するとブルーバーストの色味はやや明るめですね。
カタログ写真だけでなく、実器もギブソンと比較して濃淡のコントラストが少なめ、柔らかな色合いの個体が多くなっています。
エピフォン製品の場合、ロゴだけでなくギターヘッドの形状も違うので写真を見比べてみてね。
ちなみに本製品はボリュームノブを引き上げることで出力を抑えたサウンドに切り替えることが可能。
これは「プッシュプル・コイルスプリット」という機能で、五稜結人ファンのみならずお手頃価格で青いレスポール(キルトトップ)を探している方にもおすすめしやすいモデルです。
「LockToneブリッジ」によって緩み・がたつきを防止して弦振動のロスを低減するなど、比較的モダンで汎用性の高い仕様が特徴。
エピフォン・レスポールの現行ラインナップについては別記事でも解説しているので合わせてチェックしてみてください。
アルゴナビスモデルの付属品の違いやギターストラップについて
本記事でご紹介した3モデルには、すべてに共通する付属品特典のCDがあるので、このタイミングでご紹介しておきます。
劇中で触れられなかったサイドストーリーとして、ブルーバーストのレスポールに焦点をあてたボイスドラマ「あの日のギター」が収録されているものです。
ギターを購入する際には付属品の状態についても念のため確認しておいた方がいいでしょう。
あとはサインプリント入りの認定証が付属するんだけど、ブランド別でイラストが違うんだよね。
なお、ギブソンカスタム版とギブソンUSA版ではハードケースのデザインも別で、エピフォン版では持ち運びやすさ重視のギグケース(ソフトケース)になっています。
ギター本体だけではなく、ギターストラップも五稜結人本人と同様のデザインでコーディネイトしたい方は、ギブソン純正アクセサリーの「スプリットダイヤモンドデザインのレザーストラップ」で探してみてください。
約5.7cm幅の本革ストラップでレスポール系との相性はばっちり。長さの調整も94cmから142cm前後まで対応しているので、ギターとベース兼用で使っている人も多いです。
劇中で描かれている五稜結人モデルの復習には、U-NEXTでアルゴナビスのアニメ本編1話~13話、ボイスドラマ12話、ラジオドラマ4回、2nd LIVE「VOICE 星空の下の約束」Special Digest、ゴールラインのパフォーマンスが見れますね。
U-NEXT無料トライアルはこちら五稜結人、日向大輔さんが演奏するアコギはハミングバード
ここまで五稜結人モデルのエレキギター(レスポール)をメインで紹介しました。
最後にアコースティックギター(ハミングバード)についても簡単にチェックしておきましょう。
アルゴナビスでアコギに持ち替える曲や、アコースティックツアーではGibson Hummingbirdという機種の印象が強いと思います。
ひゅーすけさんの弾き語りでは、フェンダーのアコギもよく見かけるけど、最も印象が強いのは「チェリーサンバーストのハミングバード」でしょう。
いよいよ #アコナビス ファイナル始まります! https://t.co/8fau1Xz118 pic.twitter.com/jUzWzmVpJu
— 日向大輔 (@hyu_hyu_hyuga) May 2, 2021
今となっては懐かしいところで、「流星雨 Acoustic Ver.」のアニメライブ映像や、2020年10月10日 に開催された「ARGONAVIS AAside ライブ・ロワイヤル・フェス2020」でセッティングされていたハミングバードは、ペグのつまみが金属のグローバータイプになっています。
最近だとプラスチックのキーストン型(クルーソンタイプ)のハミングバードをメインで演奏していることが多いイメージでしょうか。ボディの色味も少し違うのが分かります。
今のところ、アコギの方はシグネチャーモデルが発売されていませんが、ハミングバードの現行ラインナップには「グローバータイプ、クルーソンタイプ」の両方が生産されています。
「ボディカラーがチェリーかつ、ペグがグローバータイプ」のハミングバードは旧製品で探す必要がありますが、別記事でHummingbirdの解説をしてありますので、アコギ方面もしっかりチェックしておきたい方はお役に立てば幸いです。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。