ギターストラップの基礎知識とよくある質問|元ギター店員が回答

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ギターストラップの基礎知識とよくある質問|元ギター店員が回答ギターアクセサリー編

たかが肩紐、されど肩紐。「ギターストラップ」は数百円で売っている低価格帯から、それこそギター本体が買えてしまうほどの高額な製品まで様々な種類がありますよね。

本記事ではギターストラップの付け方・選び方の基礎知識を軸に、私自身が楽器店勤務中に尋ねられた「よくある質問」を解説していきたいと思います。

ギターストラップ選びの基礎知識

ギターストラップ選びの基礎知識ですが、「ストラップは楽器を立って演奏する際に必要」なだけではありません。ギターを座って弾くときにも楽器の角度や姿勢を安定させてくれるメリットがあります。

いざ本番が近づいて慌てることがないよう日頃の練習からストラップを使うことに慣れておこう
いざ本番が近づいて慌てることがないよう日頃の練習からストラップを使うことに慣れておこう

そして、ライブに限らず、SNSやYoutubeの写真・動画を投稿するときもストラップ選びのセンスがいいと印象に残りやすいですよね。

以下、まったく未経験者の方にも分かるように注意点などを解説していくので参考にしてみてください。

同じ種類のギターでもストラップが変わるだけで個性が出て楽しいよ。

エレキとアコギでギターストラップの種類や付け方は違う?

まずは、そもそも「エレキ用とアコギ用でストラップの選び方は違うのかどうか?」

ギターストラップのメーカーによりますが、特別明記されていない場合は「エレキギターとアコースティックギター兼用」になっているタイプが主流です。

ただし、アコースティックギターのストラップ選びは注意しておくべきことがあります。

ネックヒールにストラップピンがあるアコギ
ネックヒールにストラップピンがあるアコギ
ジョイント付近にストラップピンがないアコギ
ジョイント付近にストラップピンがないアコギ

上記がボディとネックの付け根部分ですが、2枚の写真を見比べて違いは分かるでしょうか?

チェックしておきたいのはアコギの場合、ショルダー側に「ストラップピン(ストラップボタン)が付いていない機種が珍しくない」こと。

その場合に無加工でストラップを使うためには、下写真のようにヘッド(ナット脇の弦下)に紐を結んで取り付けます。

ネックジョイントにストラップピンがないアコギではナットとペグの間(弦下)に紐でくくり付ける
ネックジョイントにストラップピンがないアコギではナットとペグの間(弦下)に紐でくくり付ける

ストラップの付属品に紐が入っていない際は、解けにくい丈夫な紐で代用するか、別売されているベルトやアタッチメントを揃えるようにしましょう。

また、アコギは「ストラップをヘッドに結ぶかヒールに付けるか」でギターの位置や重心、演奏性が変わることになります。

これは実際体感してもらうのが一番で「ストラップピンが付いているアコギであっても、ヘッドに取り付ける方法を試してみる」のもおすすめです。

エレアコユーザーはエンドピン側の口径が大きい場合があるのでチェックしておこう
エレアコユーザーはエンドピン側の口径が大きい場合があるのでチェックしておこう

なお、エレアコでボディエンドにケーブルをさす「エンドピンジャック仕様」だと、厚めのストラップと相性が良くないこともあるので合わせて見ておきましょう。

ケースバイケースでストラップ側を加工したり、ストラップリンクなどのアタッチメントも使われるよ。

ギターストラップを取り付ける手順と間違いやすいところ

続いてギターストラップを取り付ける手順について予習していきます。ここでは何よりはじめにギター本体のストラップピンに緩みがないか確認することが大切。

楽器は振動しているうちにネジが自然と緩みます。ネジ穴が一度広がってしまうと厄介なので時々増し締めすることを習慣にしましょう。

ストラップの切込みにボタンをかけるイメージでエンド側を取り付ける
ストラップの切込みにボタンをかけるイメージでエンド側を取り付ける

ストラップピンはストラップボタンと言われることもあり、取り付け方は洋服のボタンをひっかけるようなイメージが近いでしょうか。ボディエンドは写真(上)のように付けましょう。

新品時はタブが硬くて付けにくいかもしれませんが、金具頭部が特段大きなストラップピンでなけば自然と馴染みます。

高音弦側にストラップピンがあるアコギ
高音弦側にストラップピンがあるアコギ
ネックヒール裏側にストラップピンがあるアコギ
ネックヒール裏側にストラップピンがあるアコギ

ネック側はストラップピンの配置に応じて、写真のように表裏が途中でねじれた付け方にならないようにしましょう。

ストラップが根元でねじれた状態になっていないか気を付けよう
ストラップが根元でねじれた状態になっていないか気を付けよう

太さが一定のストラップの場合、バックルや留め具の位置が邪魔にならなければ、左右の向きに明確な決まりはありません。

低音弦側カッタウェイのホーンにストラップピンがあるオーソドックスな例
低音弦側カッタウェイのホーンにストラップピンがあるエレキギター

どちらかといえば画像のようにロゴやエンブレムが正面から読めるのがスタンダード。前後で太さが違うストラップだと、たいていは太い方が前にくるはずです。

肩先ではなく首に近い位置にストラップをかけると楽器の重さを感じにくいよ。

なお、グレッチ製品のストラップピンは少し珍しいデザインになっていることが有名ですね。ネジ式のピンを一度抜いてから、ストラップを挟み込むような仕様になっています。

グレッチはスクリュータイプのストラップピンで一度ネジを外す仕様になっている
グレッチはスクリュータイプのストラップピンで一度ネジを外す仕様になっている

あとはマメ知識ですがブルース系などで利き手側の肩にかけるギタリストもいます。ただ、これはギター初心者にはおすすめしにくいイレギュラーなスタイルといえるでしょう。

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画像をタップするとAmazonで表示 BLUES GUITAR HERO FREDDY KING

つい間違えてしまいそうなところで、駅弁屋さん風の両肩掛けになっていないかも注意しましょう。

ギターストラップを両肩にかけてしまうのは意外とやってしまいがちだがバランスが取れない
ギターストラップを両肩にかけてしまうのは意外とやってしまいがちだがバランスが取れない

ギターストラップの長さを調整する方法は複数パターンがある

ギターストラップの長さ製品ごとに調整方法が異なるものの、「スライド式のアジャスターで変更する仕様」が多いです。

カバンのバックルなどでおなじみで微調整しやすいと思います。

スライド式のアジャスターは細かい長さ調整に適しているタイプ
スライド式のアジャスターは細かい長さ調整に適しているタイプ

他にレザー素材のストラップであれば、ベルトの穴や切れ込み(スリット)に通すループの位置で調整するパターンがポピュラー。

画像のように革に切れ込みが複数入っている場合は、どこでループを作るか選べるようになってるはずです。

どのスリットを通すかで長さを調整する仕様もレザーストラップに多い
どのスリットを通すかで長さを調整する仕様もレザーストラップに多い

ギターストラップは製品ごとに「最短時と最長時の調整幅」に結構大きな違いがあるので、購入前に必ず確認するようにしましょう。

インチ表記が多いから1インチ約2.54センチで計算してね。

ギターを構える高さを決めるときは肘の曲がり具合を参考にしよう

ギターを構える高さに関しては、座って弾いているときと「右肘の曲がり具合、ギターの角度」が極端に変わらない長さから試行錯誤してみましょう。

ギターごとに重心の位置が違うのと、腕の長さは人によってまちまち。そして意外と盲点なのが、ストラップの長さは「肩の入り具合」に連動します。

ギターストラップの長さ調整では肘の角度で弾き心地が全く変わる
ギターストラップの長さ調整では肘の角度で弾き心地が全く変わる

「身長何センチなら、ギターストラップは何センチ」という明確な基準はないですが、低い位置に構える場合、手首に過度の負担がかからないように十分気を付けてください。

鏡を見ながら弾きやすくて、かっこいいポジションを探っていこう。

プレイスタイルにもよるがギターを低く構えて手首を痛めないように気を付けよう
プレイスタイルにもよるがギターを低く構えて手首を痛めないように気を付けよう

ストラップピンの配置、ボディ厚も影響するので、最初のストラップ選びであれば「狙った長さに調整できそうかどうか」メジャーや巻き尺を使って大体の目安を確認しておくのがおすすめです。

ギターストラップを探すときによくある質問

ここまでで、おおよそ基礎知識はカバーできたのではないでしょうか。その他、ギターストラップの購入候補を比較する際によくある質問を以下で整理してみました。

何か分かりにくいことがあれば、当サイトの公式X(旧twitter)でも質問を受け付けているのでお気軽にご相談ください。

ヘッド落ち対策におすすめのギターストラップはあるの?

ギターボーカルが楽器のネックから手を離すシーンなど。重心からヘッド側に傾いてくることがあります。

こういった現象を「ヘッド落ち」もしくは「ネック落ち」と呼び、特にストラップを長くするほど影響が顕著です。

SGモデルはボディが軽量でジョイント位置が浅いためヘッド落ちしやすいことがある
SGモデルはボディが軽量でジョイント位置が浅いためヘッド落ちしやすいことがある

設計上の特徴(ネックジョイントやストラップピンの位置など)に加えて、同型番のギターであってもヘッド落ちするかどうかは木材由来の個体差があるもの。

エレキギターだとSGの例が有名ですが、アコースティックギターもボディが軽量なためヘッド落ちに悩む方は多いです。

ストラップの長さに加えてプレイスタイルによってバランスは変わるよね。

起毛したスウェード地のストラップは滑りにくい傾向にある
起毛したスウェード地のストラップは滑りにくい傾向にある

ストラップ単体での抑止効果は一概に言えないですが、ヘッド落ちが気になる場合は本革素材や裏面がスエード地になっているモデルを探してみましょう。

できれば、肩あて部分で横5センチ以上あるような若干幅広なタイプを基準にしたほうが摩擦が強くなって滑りにくいでしょう。

長時間演奏しても疲れにくいギターストラップってどういう種類?

ギターストラップを選ぶ基準に「弾いていて疲れにくいこと」は重要です。たとえばクッション性を持たせたもの、メッシュ素材などの機能性を追求した種類があります。

写真のようにタフなデザインのストラップだと疲労がたまりにくいです。

長時間の演奏でも疲れにくいクッション性に優れたストラップ
長時間の演奏でも疲れにくいクッション性に優れたストラップ

これらは楽器が重いベーシスト向けのイメージが強いかもしれませんが、ギタリスト用でも快適性をアピールした製品は様々発売されています。

また、あえて特別な仕様に限定しなくても、ストラップ幅・肩当てが広いだけで肩への負担は分散しやすいです。

検索するときに「クッション」「コンフォート」などの言葉を使ってみよう。MONO製品も人気。

脱落防止のストラップロックやストラップラバーは必要なもの?

楽器演奏に夢中になっている最中にストラップが外れたら…など想像したくないですよね。

「ストラップロック・ストラップラバー」といったアクセサリーは、お手頃価格なうえにギター側の改造・加工が不要なので試してみることをおすすめします。

ストラップの簡易的な脱落防止対策
ストラップの簡易的な脱落防止対策

プラスチック製ではジムダンロップというメーカーの「ストラップロック」(円形もしくは三角形)が王道でしたが、近年はダダリオ製品も好評。

ゴム製では、ハリーズの「ストラップラバー」、フェンダーやアーニーボールの「ストラップブロック」を使っているギタリストを見ることが増えました。

ただし、例外として、ストラップの生地が厚いものだったり、ストラップピンが大きい仕様だと取り付けにくい(or取り付けられない)ことがあるので注意しましょう。

メーカーやモデルによってはストラップピンの頭部分が大きめのギターもある
メーカーやモデルによってはもともとストラップピンの頭部分が大きめのギターもある

ディマジオ製品などストラップ自体に脱落防止機構を持たせたものもあるよ。

また、落下防止対策としては純正のストラップピンからロック式に交換する方法も定番。

「シャーラ―の引っ張り上げるタイプ」「ジムダンロップの押し込むタイプ」「アーニーボールの左右でつまむタイプ」などが挙げられます。

ロックピンは取り付け箇所の埋め直し/穴開け、およびストラップ側の拡張が必要になるケースが多いので事前に「製品ごとの仕様・説明事項」を十分確認しておきましょう。

シャーラ―タイプのロックピンを取り付けたストラトキャスター
シャーラ―タイプのロックピンを取り付けたストラトキャスター

楽器店の店頭に行けばギターストラップの試着はできるの?

「ギターストラップを購入前に試せるかどうか」についてのご質問もありますね。楽器店の店頭には「未開封在庫」がなく「展示品の現品販売」を行っているパターンがほとんど。

そのため、実際に「自分の楽器に取り付けてみる試着」は残念ながら断られる可能性が高いです。

ストラップ側の取り付け穴が広がったり変形しちゃうもんね。

高価なギターストラップはショーケースの中に展示されていることが多く、廉価版は什器に吊り下げた状態での販売が一般的でしょう。

長さの調整幅や素材の質感、ギターにあてがったイメージをチェックしたいときは、ひとこと売場の店員さんに尋ねてみてください。

▽ブラック/ライトグレー/ダークグレーの組み合わせがおしゃれなフェンダーモノグラムストラップ

まとめ

以上、ひととおりギターストラップの選び方について解説してみました。

Amazonではギターストラップの売れ筋ランキングが定期的に更新されています。

憧れのアーティストとお揃いにしたり、好きなキャラクター、かわいい動物モチーフで選ぶのもおすすめ。見比べているだけでわくわくしてきます。

ギター本体との組み合わせだけでなく、普段着や衣装との相性も考えながら、じっくりシミュレーションをしてみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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