たかが肩紐、されど肩紐。ギターストラップは数百円で買えるものから、ギター本体が買えてしまうほど高価な製品まで様々な種類があります。
本記事では、ギターストラップの付け方、前後の向き、長さ調整の基礎知識を元楽器店員視点で解説。
楽器店勤務中によく尋ねられたヘッド落ち対策やストラップ脱落防止についても整理していきたいと思います。
ギターストラップの付け方
同じギターでもストラップが変わるだけで印象が変わりますよね。
そして、ストラップはギターを立って弾くときだけでなく、座って練習するときにも重要なアクセサリーです。
ボディのホールド感を高め、ネックを構える角度や姿勢を安定させてくれるメリットがあります。
まだライブの予定がないギター初心者の方も、普段の練習からストラップを付けて練習するのがおすすめです。

エレキとアコギでギターストラップに違いはある?
エレキギターとアコースティックギターでストラップの選び方に違いがあるかどうか。
ギターストラップは、特に記載がなければエレキとアコギ両方で使える製品が主流で、エレキベース兼用で使えるパターンも少なくありません。
ただし、アコギの中でもストラップピンが片側にしか付いていない機種は注意が必要です。
「ボディエンドにしかストップピンが付いていないタイプのアコギ」にストラップを取り付ける方法について、続けて説明していきます。


ストラップピンがないアコギは紐でヘッド側へ取り付ける
エンドピンしか付いていない、つまりネックヒール付近にストラップピンがないアコギの場合、楽器店やリペアショップに依頼すれば増設してもらうことが可能です。
そのまま無加工でストラップを使うためには画像のようにヘッド(ナット脇の弦下)に紐を結んで取り付けることになります。

ショルダー側ストラップピンが付いている機種でも、あえてヘッド側にストラップを取り付けたほうが安定して弾きやすく感じる人もいるため両パターンを比較してみるのも良いですね。
ギターストラップを購入した際に紐が標準付属していない場合は、ほどけにくい丈夫な紐を使うか、紐の代用として専用のベルトやアタッチメントが売っているので活用しましょう。
ストラップを付ける前にはストラップピンの緩みを確認
エレキにもアコギにも共通する手順ですが、ストラップを付け外しする際には、ギター本体のストラップピンがぐらついていないか確認することが大切です。
楽器は振動しているうちに自然とネジが緩むため、定期的に増し締めをしないとネジ穴が広がってしまいます。落下事故につながりかねないの注意しておきましょう。

ストラップピンのことをストラップボタンと呼ぶこともありますが、ストラップの取り付け方はまさに洋服にボタンをかけるときのイメージに近いですね。
新品のストラップはタブや穴の切れ込みが硬く感じるかもしれませんが徐々に馴染みます。ピンの頭がストラップの穴を通り切っていることをしっかりとチェックしてください。
エンドピンジャックとグレッチ製品は付け方に注意
それから、アコギの中でもエレアコにストラップを付ける際の注意点を補足しておきましょう。
エレアコではボディエンドのストラップピンにシールドケーブルを挿す方式を採用している機種があります。
このエンドピンジャックでは、厚みのあるストラップを装着しにくいことが少なくないです。

対策としては、ギターストラップ側の穴を拡張する、もしくはストラップリンクなどのアタッチメントを使う選択肢になるでしょう。
その他、イレギュラーな仕様でいえば、Gretschの一部モデルではスクリュー式のストラップピンが存在します。
Knurled Strap Retainer Knobといってローレット加工されたキャップ部分を外し、ストラップを挟んだ後でスクリューを付け直す仕組みです。

いずれにせよ、自分のギターはストラップピンの形状・仕様が普通じゃないかも?と思った際には、無理やり装着せずに調べてみるといいですね。
以下では、ギターストラップの向きや長さについての解説を続けていきましょう。
ギターストラップのかけ方・向き・長さ調整
右利きのギタリストであれば、ギターストラップは左肩から腰の右側へ斜めにかかることになります。
ブルースギタリストには、利き手の肩だけにかけるプレーヤーもいますがギター初心者にはおすすめしにくいスタイルです。
In Concert Robert Cray with Albert Collins
また、ハーネスのように両肩を通すタイプや、ダブルショルダー型のストラップも存在はするのですが、一般的なストラップを使うのであれば両肩がけにならないように注意しましょう。
ストラップをかける位置は、なるべく肩先ではなく首側に寄せた安定すると思います。

ギターストラップはどちらが前?革製ストラップの付け方と向き
たとえばナイロン製やポリエステル製のギターストラップで、太さが一定の製品であれば、前後を気にせずに装着できます。
バックルや留め具・アジャスターなどが邪魔にならないようにするのと、ロゴや柄が正面から自然に見える向きにすると良いでしょう。

上下・前後の向きで迷いやすいのが、革製ギターストラップの付け方です。
革製ストラップは形状によって向きの見分け方が異なります。代表的なのは、肩当てと細いベルトを組み合わせたヴィンテージスタイルと、ストラップの前後で幅が異なるタイプです。
【画像A】のように、ヴィンテージスタイルで肩当て以外が細くなっているレザーストラップは、パッド部分を肩に当て、ベルト穴・バックルなどの金具が背中から腰側へ回る向きで装着する仕様が主流です。
【画像B】のように前後で幅が異なっているレザーストラップは、幅広の部分が肩の前側へ、スリットの入った長さ調整用の細身のループ部分が後ろ側に来る仕様が主流です。
ただし、長さ調整の仕組みは製品によって異なり、中にはスリット部分が肩側に来るデザインもあります。不安な場合はメーカー画像や説明書を確認してみるのが確実でしょう。
ストラップがねじれないように表裏を確認して装着する
ギターストラップを取り付けた際には、ネック側からボディエンド側までストラップをたどって、ねじれている部分がないかチェックする一手間が大切です。
途中で裏返った状態で弾いていると、簡単にストラップが外れてしまいます。

なお、ギターの機種によって、ネックヒール側のストラップピンがボディの下側に付いているものと、背面に付いているものがあります。
その配置によって、ストラップの表面が自然に外側を向く取り付け方が変わることは押さえておきましょう。


ギターの高さは座って弾く位置を基準にして調整する
ストラップの長さに迷ったら、まずは「座って弾くとき」も「立って弾くとき」も、ギターの高さやネックの角度が大きく変わらない位置をひとつの基準にしてみましょう。
猫背にならないように気を付けながら、座った状態でもストラップがギターを支持している状態、かつ立ち上がっても右肘の曲がり具合やフォームがほぼ変わらない長さに調整できると、余計な力が入らず演奏も安定しやすくなります。


ギターごとに重心の位置は異なり、腕の長さや肩の入り方にも個人差があります。そのため「身長何センチなら、ストラップは何センチ」といった一律の基準はありません。
見た目を重視してギターを低く構えるのも、ひとつのスタイルですが、手首に過度な負担がかからないように気を付けて調整するようにしてください。
ギターストラップの長さは製品ごとに調整方法が異なる
ギターストラップの長さ調整には、スライド式アジャスター、ベルト式、スリット式など、いくつかの方法があります。
カバンの肩紐と同じようなバックル仕様、スライド式アジャスターの付いているタイプだとフレキシブルに調整可能です。

同じ長さのストラップであっても、ストラップピンの位置やボディ厚、洋服の厚さ等によってギターを構える高さが変化します。
最短~最長の長さを確認し、メジャーや巻き尺などで好みの高さに調整できそうか調べておきましょう。


革製ストラップの長さ調整では、洋服のベルトのように穴を選ぶ方式もしくは、ストラップに切り込み(スリット)があって、どのスリットにループを通すか選ぶ方式が一般的です。
革製だと細かな調整はしにくいことが多いですが、下記のようにオリジナル機構で工夫を凝らしたメーカー製品もあります。
ギターストラップのよくある悩みと対策
ここまででギターストラップの基礎知識はひととおり説明できたと思います。
後半は、ギターストラップの仕様が関係するハウツー、店頭で実際に尋ねられることが多かったよくある質問を整理しておきます。
ヘッド落ちには幅広で滑りにくいストラップを試してみる
ギターボーカルが楽器のネックから手を離すシーンなど、ネック側が床へ向かって下がる現象を「ヘッド落ち」または「ネック落ち」と呼びます。
エレキギターだとSGの例が有名ですが、アコースティックギターもボディが軽量なためストラップピンの位置によってヘッド落ちが発生することはあり、特にストラップを長くすると顕著になりやすいでしょう。

同型番のギターであってもヘッド落ちするかどうかは、木材由来の個体差、演奏スタイルによるので一概にはいえない側面があります。
ギターストラップ単体での抑止効果は限定的ですが、本革の裏地がスウェードになっているモデル、肩にあたる部分が6センチ以上(2.5インチ以上)の比較的幅広なストラップを中心に探してみましょう。
長時間の演奏で疲れやすいときはクッションなどの機能性を重視
ギターストラップを選ぶ基準として「長時間弾いていて疲れにくいこと」は重要です。
安定した幅広のストラップにするだけでも体感が変わりますし、あとはパッド部分にクッション性を持たせたもの、メッシュ素材を採用したものなど機能性を追求したストラップも人気です。

エレキベース兼用のストラップであったり、「タフ」「クッション」「フォーム」「コンフォート」などの言葉で検索してみましょう。
ストラップロック/ラバーとロックピン換装による脱落防止
最後に、ギターストラップの脱落防止対策について紹介しておきましょう。
たとえばDiMarzioのクリップロックのように、ストラップ自体にロック機構を備えた製品もありますね。
ギター側を改造せず、手軽に対策したい場合は、ストラップロックやストラップラバーが便利です。


以前はJIM DUNLOPのストラップロックが王道でしたが、現在はD’Addario、ERNIE BALL、Fender、HARRY’Sなどからも定番製品が販売されています。ストラップの上からピンにカバーを付けるイメージです。
プラスティック製のものとゴム製のものが有名ですが、ストラップの生地が厚い場合や、ストラップピンが大きいギターでは取り付けられないことがあるので気を付けてください。
あとはやはり、純正のストラップピンからロック式のストラップピンに交換する方法でしょう。
具体的には、(シャーラ―で有名な)引っ張り上げるタイプ、(ジムダンロップで有名な)押し込むタイプ、(アーニーボールで有名な)左右でつまむタイプなどが挙げられます。

ロックピンに換装するためには製品によってネジの埋め直し/穴開けが伴うことがあります。
ストラップ穴の拡張が必要になる場合もあり、取り付け・加工に不安がある方はプロに依頼するのが安全です。
まとめ
以上、ギターストラップの選び方について元楽器店員視点で解説してみました。
Amazonではギターストラップの売れ筋ランキングが見れるのでトレンドを把握する参考になると思います。
ギター本体との組み合わせだけでなく、普段着や衣装との相性も考えながらじっくりシミュレーションしてみてください。
手っ取り早く、ストラップの長さ、実際の色味や素材感を確認するのであれば楽器店の店頭に行ってみるのがおすすめです。とはいえ実際ギターに取り付けることはNGだと思いますのでご注意ください。
最後までご覧いただきありがとうございました、








