左利きの方は最初のギターを探す際に、「左利き用のギターを買うか、右利き用のギターを買うか」を選択する必要があります。
「左利きならレフティ用を選べばいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、「左利きでも右用で始めた方がいい」とアドバイスをする人もたくさんいます。

どちらにもメリット・デメリットがあるということだね。
- 右利き用ギターで始めれば、選べるモデルが多く、教則本や動画も参考にしやすい
- 左利き用ギターで始めれば、ピッキングやストロークを利き手で行えて、自然に構えやすい
本記事では、元楽器店員視点でギター初心者向けの判断材料を整理してみたので参考にしてみてください。
左利きの人がギターを始めるときの選択肢
左利きの人がギターを始めるとき、大きく分けると以下の選択肢があります。
- 右利き用ギターから選ぶ
- レフティ用ギターから選ぶ
- 右利き用ギターを左利き用に改造する
- 右利き用ギターを逆さに構えて弾く
このうち、初心者向けなのは「右利き用ギターから選ぶ」もしくは「レフティ用ギターから選ぶ」の2択です。
どちらが自分にしっくりくるかイメージしながら続きを読み進めてください。
右利き用ギターと左利き用ギターの違い
まずは「右利き用のギターと左利き用のギターの違い」を画像で見比べておきましょう。
エレキギターが分かりやすいと思います。楽器形状・コントロールノブの配置は左右反対ですね。
座って弾こうとすると、太い弦(低音弦)が上側に、細い弦(高音弦)が下側にくることになります。
「レフティ」「左利き」といった語句だけでは検索にヒットしないこともあるので、製品名の欄に「Left Hand」「Left Handed」「Lefty」「L」「LH」と入力するのがおすすめです。
アコギのボディシェイプは右用/左用の違いが見分けにくいですが、画像のようにピックガードの向きを基準にするといいかもしれません。
レフティ用ギターを選ぶ前に知っておきたい注意点
「レフティ使いにとっての悩みのタネ」が、「左利きでもあえて右利き用を選ぶ理由」に直結するので、そこから予習しておきましょう。
- レフティは店頭在庫を探すのが大変
- 左利き用の教則コンテンツが少ない
の二点について具体的に説明していきます。

友人のギターを借りられない、スタジオなどのレンタル品を弾けないことにも苦労するみたい。

左利き用ギターは店頭で在庫を探すのが大変
「左利き仕様を探すのに苦労する」というのは、必ずしも楽器に限ったことではないですが、実際かなり少ないことを覚悟しておく必要があります。
楽器店の売場のスペースは限られています。カタログラインナップにあっても、店頭に並んでいるかどうかは別問題です。
下記のような初心者モデルには比較的レフティが充実していますが、在庫は通販利用が前提のこともあります。
これは特に2本目~3本目、ミドルクラス以上の製品を探すときに顕著になります。
温度感として、1,000本以上のギターを展示している大型楽器店であっても、全体の1%~2%程度しかレフティを扱っていない状況は珍しくないです。

あとはレフティのほうがメーカー希望小売価格も割高になりがちだね。

「店頭にないなら、取り寄せてもらえばいい」と思うかもしれませんが、メーカーも決して潤沢にストックしているわけではないのが実情。
そして基本的にお取り寄せは購入が前提になるので試奏して比較できる機会は減りがちです。
楽器店勤務しているとレフティ歴が長い方にも出会うのですが、自分で海外ショップから輸入したり、工房でカスタムオーダーしたりと、苦労している方は多かった印象があります。

レフティ向けのレッスン動画や教材が少ない
「レフティの在庫が見つからない」という悩みに比べると些細な部類かもしれませんが、ギター初心者にとっては練習のしやすさも重要です。
ためしにビギナー向けの教則本やレッスン動画などを軽く見てもらうのが早いでしょう。サウスポーだと写真・説明を都度左右反転して考えないといけないんですよね。
五線譜やTAB譜ならあまり不便はないと思いますが、コードやスケールを学ぶ際に頻出するダイアグラムを見るときにはローポジションとハイポジションの位置関係を逆さに読む必要があります。
左利き用のコードブックも売っていますし、慣れの問題で読み替えられるようになるものの、YouTubeなどで入門コンテンツを見るときにも最初は面倒に感じるでしょう。

対面レッスンであれば向かい合うシチュエーションだと逆に見やすく感じるかもね。
当サイトで公開しているギターコード表では、設定画面から左利き表示に切り替えられるモードがあるのでご活用ください。
レフティ用ギターを選ぶメリット
以上のように、左利きの人ならではの苦労があります。
それでも「左利きならレフティモデルにするべきだ」という意見もあるのでチェックしていきましょう。

ピッキングやストロークを担当する腕は重要
ギター初心者の方にとっては、弦を押さえる側の手が大変そうに見えるかもしれないですが、ピッキングやストロークする側の手は強弱のニュアンス、リズムに直結します。
重要な役割なので、日常的に使い慣れている利き腕のほうがコントロールしやすいという声があります。

もちろん利き手の度合いは人それぞれ。既に両利きに近い人、クロスドミナンス、交差利き、分け利きの人もいると思うので一概に言えない部分はあります。
とはいえ、ギター入門したばかりの段階では利き腕関係なくぎこちなくなるものです。「そういう観点がある」くらいの認識でいいと思います。
レフティは少数派で憧れの対象になりやすい
左利きでも右利き用のギターに転向する人がいるので、レフティは少数派になって周囲から一目置かれます。
左利きから矯正したことを知っている人からは、かなりの確率で「せっかく左利きなのにもったいない…」と言われることになるんですよね。
ギター史に残る左利きギタリストの功績・カリスマ性・影響力は、ギター歴が長くなるにつれて強く実感すると思います。
意外かもしれませんが、「もともと右利きだけど、レフティを弾けるようになりたくて練習している」ギタリスト、ベーシストも少なくありません。
右利き用ギターを左利き用に改造することはできる?
ここまで「右利き用ギターで始めるか」「レフティ用ギターを選ぶか」という話をしてきましたが、右利き用ギターを左利き用に改造する選択肢もあります。ただし、注意が必要なのでここで解説を挟んでおきましょう。
「右利き用のギターを左利き用に改造できないの?」という質問に対しては、「たいていのギターはナットとブリッジサドルを交換・調整すれば弦を逆に張れるようになる」という回答になります。
「弦を逆に張れる」という表現をしましたが、そもそも「ギター本体の設計は左右対称ではない」のが重要です。

たとえば上画像のストラトキャスターでは、「ストラップピンの取り付け位置」を短いホーン側に変更していますね。
しかし、カッタウェイ形状・コントロール・ジャック・ピックガードの位置などは非対称のまま弾くことになるんです。

ストラトだとケーブルやコントロールノブが利き腕にあたって弾きにくいかも。
また、正面から見えない部分でも、ネックシェイプやアコギのブレーシングなどの木部設計、ピックアップやポットといった電装系パーツについても考える必要が出てきます。
リペアショップに依頼することはできますが、改造すれば純粋なレフトハンドモデルに生まれ変わるわけではないことは覚えておきましょう。

有名な左利きギタリストの事例4パターン
これは時代背景も影響するのですが、「右利き用を使うか、左利き用を使うか」というだけでなく、楽器の構え方・演奏方法には様々なパターンがあることをご紹介しておきます。
右利き用ギターをそのまま弾く人、右利き用ギターを左用に改造する人、レフティ用ギターを使う人、右利き用ギターを逆さに構える人など、著名なプロギタリストの実例を掘り下げていきましょう。
もともと左利きなのに右利き用を弾いているギタリスト
右利き用のギターを弾いているけれど、もともとは左利きだといわれている方々から見ていきます。
大御所だとマーク・ノップラー、ゲイリー・ムーア、キコ・ルーレイロ、ハーマン・リー、ビリー・コーガン、ノエル・ギャラガーが有名でしょうか。
まるで違和感を感じないですが、利き腕側でのヴィブラートやベンドが特徴的だと注目されることがありますね。
日本人ギタリストにも「じつはレフティ」という人はたくさんいて、竹田和夫さんや、INORANさん、小原莉子さんも左利きなんだそうです。
右利き用の楽器を左利き用に改造して弾いているギタリスト
続いて、右用のギターを左用へ改造するパターンですね。最初に名前が挙がるのがジミ・ヘンドリックスでしょう。
彼は父親から右手を使うように指導を受けたそうですが、最初のギターの時点で既にナットを交換して弾いていたそうです。
ピックアップ・レイアウトや弦テンションの違いが生じることも特徴でしょう。
下記のように一部のモデルでは「リバースヘッド仕様」として、この象徴的なデザインを標準仕様として採用していることもありますね。
レフティ用に製作された楽器をメインで弾いているギタリスト
レフティを使っているギタリストについては、「左利き仕様があればそちらの方を使う」「ヴィンテージなどレフティが手に入りにくい場合は改造して使う」というパターンが目立ちます。
ポール・マッカートニー、トニー・アイオミ、アル・マッケイ、カート・コバーン、エリオット・イーストン、ティム・アームストロングは日本でも知名度が高いでしょう。
ニルヴァーナのカート・コバーンは、食事やペンを持つのは右手でギターを弾くときは左手だったそうですね。
右利き用の楽器を無改造のまま逆さに構えているギタリスト
最後はフィンガリング(運指)を上下逆にしているギタリストです。イレギュラーなようですが、わりとよく見かけますよね。
「右利き用のギターをひっくり返して弾ける」方々であり、中には、左利き用のギターにあえて弦を反対に張っている人もいます。

アルバート・キングや、オーティス・ラッシュ、ディック・デイル、ドイル・ブラムホール2世、エリック・ゲイルズ、松崎しげるさんといった面々が筆頭格。
前項までに挙げたギタリストの中にも、やろうと思えばこのスタイルで演奏できてしまう人は少なくないです。
高音弦が上側になるので、下向きにチョーキングすることが増えたり、ダウンストロークとアップストロークの鳴り順が反対になるのも特徴でしょう。
たとえば右利きの楽器店員が接客でレフティのギターを弾くときも、そのままひっくり返して弾く機会が多いです。昨今では少数派だと思いますが参考までご紹介しました。

まとめ
以上、左利きの人がギターを始めるときの考え方について解説しました。
「最初は右用を買ってみたけど左用に変更した人」「最初は左用を買ってみたけど右用に変更した人」どちらも珍しくありません。
本記事で解説したメリット・デメリットを参考に、できることなら左利き用と右利き用を両方試しながら自分に合いそうなほうを見極めていきましょう。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。






