「エレキギターとアコースティックギターのどちらから始めるのがいいのか」はギター初心者・未経験者の誰しもが直面する悩み。
正解こそありませんが、全く予備知識なしに「好きな方に決めればいい」と言われても選択が難しいと思います。
本記事では楽器店員視点で、エレキとアコギで異なる特徴、定番の選び方・よくある質問をシンプルに解説していくのでヒントにしてみてください。
エレキギターとアコースティックギターの違い、主な特徴
選ぶのが難しいとはいっても、できれば「エレキにするか、アコギにするか」は最初に決めてしまいたいポイントです。それが決まっていないと楽器店選びやモデルの下調べが大変になります。
そこで予習として、「エレキギターとは何か」「アコースティックギターとは何か」について、最低限知っておくべき特徴を以下で解説していきましょう。
まず、エレキギターのほうは、ギターアンプにつないで音を増幅することが前提の設計となっています。
アンプにつないで音色の加工もしやすいですが、ギター単体で弾くと「シャカシャカ」と小音量で鳴るだけです。
しいてモデル名を挙げるのであれば「ストラトキャスターやテレキャスター、レスポールなど」の製品が代表的でしょう。
ボディトップに搭載されている「ピックアップ」によって弦振動を拾う仕組みで、エレクトリックギターを略して「エレキ」と呼ばれています。
「セミアコ」や「フルアコ」のようにボディ内に空洞がある「箱モノ」も、そのエレキギターの仲間です。
その一方で、アコースティックギターに関しては、楽器本体さえあれば生音(なまおと)で演奏することが可能になっています。
アコギは、ボディに厚みがあって、中心付近にサウンドホールが設けられていることがほとんど。
厳密にはナイロン弦のクラシックギターもこちらに含まれますが、通常「アコギ」と略して呼ばれているのは「スチール弦のギター」でしょう。
日本では「フォークギター」と同義で用いられることも多く、ライブや録音で扱いやすいようにマイクを搭載した「エレアコ」もアコギのバリエーションです。
エレキもアコギも普通は大部分が木材で作られていて、基本的なチューニングの方法(音程の合わせ方)も一緒だよ。
エレキとアコギどちらにするか決める方法
もしみなさんが既に「エレキのほうがかっこいい」「アコギのほうがかっこいい」といった第一印象があれば、何となくでもその直感を大切にするのがおすすめ。
最近は主要なメーカーがYoutubeチャンネルを開設しており、見比べているうちに自然と「エレキはこんな音が出るんだ」「アコギはこんな音が出るんだ」というのが掴めるようになるでしょう。
そして「エレキかアコギか決める」のに、どんな選び方が定番かというと「弾いてみたい曲の種類」や「誰々みたいな演奏をしてみたい」というポイントで絞る方法。
漠然と「趣味でギターをはじめたい」と考えている段階でも、動画などを見比べつつ「あんなフレーズが弾けたらいいな」を決めてしまうのが近道となります。
「エレキかアコギか悩んでいる」というと、たいていの楽器店スタッフも同様に尋ねてくるよ。
「誰々みたいな演奏をしてみたい」の部分は、有名なギタリストに限らず、推しのアイドルや声優さん、歌い手さん、Youtuber、アニメの登場人物でも大丈夫。
エレキギターもアコースティックギターも楽器の根幹は共通要素が多いですが、それぞれに特有の奏法や弾き方のコツがあります。
憧れのミュージシャンと同じ機種は難しくても「それと近いデザイン」で探してみる。そうすることが演奏性だけでなくモチベーション維持にもおすすめです。
「エレキを弾けたらアコギ」「アコギを弾けたらエレキ」のような順番にルールはないので、目標とするイメージを見つけるところからはじめてはいかがでしょう。
エレキとアコギで音量の違いには注意が必要
なお、楽器選びの注意点として「エレキとアコギで音量が違うこと」は予備知識として覚えておきましょう。
ピアノや管楽器、ドラムなどに比べると慎ましい悩みなのですが、アパートやマンションなどの集合住宅だと騒音トラブルが気になりますよね。
「エレキギター=うるさい」という印象があるかもしれませんが、「セミアコやフルアコ」でなければ生音はあまり心配しないで大丈夫なことがほとんど。
自宅練習用アンプであればテレビと大差がない音量に調整可能で、ヘッドフォン端子があることが多いのでリスクは少ないでしょう。
ただし、アコギのほうだと演奏する時間帯や練習部屋の配置次第で近所迷惑になる場合があります。
それが仮に「ミニギター」であっても、ソリッドボディ(ボディ内に空洞がないタイプ)のエレキギターより音量が大きいです。
アコースティックギター用には「弱音器・消音器、サイレントピックなどのアクセサリー」もあるものの、弾き心地・音色まで変わってしまうイレギュラーな練習方法となります。
住宅環境によっては、音量の都合でアコギの練習が難しいシチュエーションもあるので注意しておきましょう。
ボリュームの想像がつかない際には、自分の部屋で弾いて大丈夫か、短期間のレンタルやサブスクで試してみるのもありかもしれません。下記の投稿でいくつかご紹介しています。
エレキかアコギで迷ったときによくある質問
以下は、エレキかアコギかを選ぶのに「こういうところで迷いやすい」という代表的な質問、よくあるお問い合わせをピックアップして回答してみました。
弾き語りがしたいならアコギ一択?バンドがしたいならエレキ?
じつはエレキギターでも「コード(和音)弾きでの伴奏」や「弾き語り」をすることは可能です。
ただ気軽に弾き語りしやすいのがどちらかと言われたらアコギが無難だと回答したくなります。動画配信やSNS投稿もスマホ1台あれば思い立ったときにすぐに始められます。
とはいえ「エレキギターは弾き語りができない仕様」ではありませんので、あわせてエレキギターの弾き語り動画を検索してみると一層イメージがつきやすいかもしれないですね。
一昔前だと「エレキギターならバンドを組むイメージ」が強かったと思いますが、一人でオケに合わせて弾くことも簡単にできます。パソコンを併用したDTMがメインでエレキを選ぶ人も増えました。
エレキの方が弦が細くて押さえやすい?アコギは弦が太い?
一般に新品出荷時はエレキの方が弦が細いですが、エレキギターでもアコースティックギターでも最初は指先が痛くなるはずです。
「アコギは弦が硬くてコードを押さえにくい」と言われることもありますが、弾きにくければ細い弦に張り替えることは可能。それにだんだん指先が硬くなり、指の力も強くなります。
じつはギター用の指サックもアクセサリーにあったりしますが便利グッズの実用性は賛否両論。まだまだ一般的ではありません。
ちなみに「弾きやすいのはどちら?」という部分に焦点をあてると、「機種ごとのスケール(弦長)やネックの太さ・幅、セットアップ(調整)の影響」も大きいところ。練習しているうちに徐々にそのあたりの感覚もつかめるようになると思います。
エレキとアコギはどっちが簡単、どっちが難しい?
演奏の難易度が気になる方は多いはずですが、エレキかアコギかではなく、プレイスタイル(奏法)やジャンル次第です。
エレキギターでもアコースティックギターでも、それぞれにシンプルな弾き方もあれば、テクニカルな弾き方もあります。
ただ、慣れるまでは「エレキからアコギに持ち替える」とボディの厚みが気になったり、「アコギからエレキに持ち替える」とボディの重量が気になったりすることでしょう。
エレキとアコギで必要な予算はどっちが安いの?
予算を捻出できるに越したことはく、いずれもメーカーや仕様によるので比較が難しいですが、初心者向けモデルで売れ筋となっている価格帯にはそれほど大差がないです。
為替や原材料・物流コスト高騰の影響はありながらも、どちらも新品1万円台から選べるような初心者セットが販売されています。
エレキでアコギの音は出せる?アコギでエレキの曲は弾ける?
エレキギターでアコギの音を再現したり、代わりにアコギのパートを弾くことはあります。
DAW用のプラグインエフェクト、もしくは下記のようなマルチエフェクターを使って「アコースティックギターに近い雰囲気」にする機能はポピュラーです。
その逆はどうなの?というと、アコギでエレキギターのパートを弾くこともあります。
ただ、その場合、音色の再現までは難しいですね。弦の太さや演奏性との兼ね合いでフレーズによってアレンジの工夫が必要でしょう。
通常はエレキとアコギで「よく使うコードポジションや音使い、ダイナミクス(強弱)の付け方」等が違ってきます。
エレキギターは必要な小物が多くて大変?
エレキギターは本体以外に必要な小物類が多い印象があるのではないでしょうか。
たしかに長期的にはエレキギターのほうが機材が増えがちですが、最初に必要なアクセサリーの種類はアコースティックギターとそれほど変わりません。
特に序盤に限れば「ギターアンプとケーブルを揃える必要があるかどうか」の違いくらいでしょうか。
それぞれ必要な小物の種類・役割は別記事で解説してあるので参考にしてみてください。
まとめ
最初の一本をエレキにするかアコギにするかは、先に触れたとおり「こんな曲が弾けたらいいな」というのを重視するのがおすすめ。
いざ本格的に楽器の練習を始めると「演奏したい音楽のジャンル・趣味」はどんどん変わっていくと思います。
特にギター歴が長くなるにつれて、エレキもアコギも両方弾き始めるパターンが多いのであまり悩み過ぎない程度に吟味してみてくださいね。
色々なメーカー・モデルがありますが、具体的な機種の選び方は上記でご紹介しているので参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。