楽器店に勤務していると初心者の方から「ギターの中古ってどうなの?」「ギターのアウトレットってどうなの?」と聞かれる機会が少なくないです。
予算を抑える目的で中古について情報収集しはじめるものの「中古って何となく不安かも…、ギターの中古はどこで買うのがいいんだろう」と漠然と悩んでいる人が多いようです。
本記事では楽器店員視点で、ギターの中古・アウトレットについての基礎知識と率直なアドバイスをまとめて解説しています。
「中古ギターはやめておけと言われたけどその理由は?」「中古ギター選びの注意点は?」といった疑問を解決できればと思いますので参考にしてみてください。
内容はエレキギターもアコースティックギターも共通の部分が多いよ。
「できるだけ低予算に抑えたい」理由での中古選びはおすすめしにくい
結論から言うと「新品でちょっと手が届かない価格帯のギターを探す」のに、割安な中古楽器を候補に入れるのはおすすめの選択肢です。
その一方で「とにかく出費を最低限に抑えたい、激安で買いたい」という目的の中古選びは正直おすすめしにくい考え方になってきます。
「ギターの中古をどこで買う?」というシチュエーションも関係してくるのですが、楽器専門店(もしくはそれに近い店舗)で買い取ったギターをそのまま店頭に並べられることはレアケースです。
具体的には、買取→販売するまでの間にコンディションをチェックをするだけでなく、自社スタッフもしくは提携しているギター工房などでオーバーホールが必要ということ。
いくら定価が安いギターであってもクリーニングやセットアップには相応の時間とコストがかかるよね。
仮に「激安の中古ギター」だとしても、最低限の状態確認や調整を行うためには相応の時間がかかります。
激安だと思って確認してみると、別途メンテナンスが必要になる「未調整・現状渡し品」であったり、時には「部品取り用のジャンク品しか選択肢に残らないパターンが往々にあります。
もちろん「元値が安いギターでかつ、新品に近い状態の中古」が存在しないわけではありません。ただ想像以上に中古市場に出ている本数は少ないと考えていた方がいいでしょう。
予算1~2万円台の入門モデルに関しては、新品でも意外と低予算から選択肢の幅があるので「とにかく予算を抑えたい」という発想であれば、先に下記のような製品から順番にチェックしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに楽器店には取り扱いがなくても、ヤフオクやメルカリなど、オークション/フリマアプリなら激安の中古ギターが出品されているのではないか?という場合。
「絶対にやめておけ!」とは言いませんが、「販売者が楽器の状態を的確に把握しているか、適正にクリーニングや調整を行えているか」という部分が懸念材料になります。
個人アカウントだと梱包・発送に不慣れだったり、そもそも説明文が不十分な出品が多いです。
そういったリスクを許容する覚悟があるかどうか次第。「手元に届いたギターの状態がいまいち判断できない段階」であれば、まだ一旦避けておいたほうが無難な選択肢だとは思います。
中古のギターを選ぶなら初心者に問題ないコンディションか聞いてみる
ここから中古のギターを選ぶときの注意点についても予習しておきましょう。
楽器は他ジャンルのUSED品以上に、保管環境や木部の個体差によってコンディションがまちまちです。
ギター歴が長くなってくると、徐々に「不具合・違和感」「弾きにくさ」が直感的に判別できるようになるのですが初心者のうちは、そう簡単に違いが分からないはず。
金属パーツや電装系など見えにくい場所に関しても、弾きこまれると摩耗・劣化があるよ。
それはアコースティックギターもエレキギターも共通で、「ギターの上手い先輩が一緒に付いてきてくれるから大丈夫」と過信してしまうのも危なかったりします。楽器の演奏技術と楽器選びの経験値は必ずしも一致しません。
面倒に感じるかもしれませんが、ショップ側の見解として「ギター初心者が選んで困らない仕様かどうか」「ギター初心者でも弾きやすいコンディションかどうか」をしっかり説明してもらうのがおすすめ。
楽器店の通販だとしても、商品説明で分かりにくいところなどは一手間かけて問い合わせしてみるのがベター。中古楽器の取り扱い実績に長けたショップで選ぶのが安心です。
その際のノウハウとして、下記のように保証書についてもあわせて確認してみましょう。
中古の保証期間や適用条件、アフターケアの有無は入念に確認しよう
ここ十年くらいのトレンドでしょうか。価格帯にもよりますが、中古品のギターに手厚く長い保証期間を付ける楽器店が増えている傾向があります。
実店舗であれば店頭のPOPやプライスカードに書いてあったり、ネット通販であればWEBサイトの商品説明文に記載されているはずです。
新品でも中古でも、使っているうちに状態が変化することは珍しくないよ。
傷の有無や使用感はギター初心者の方でも各々の判断で良いですが、保証内容・返品規定やアフターケアの情報については新品以上に冷静にチェックしておくことが大切。
新品中古問わず「初期不良がなければ大丈夫」とは限りません。季節、天候によって「ギターのコンディションが変わる」のはよくあることです。
保証修理・メンテナンス対応してもらえる期間が少しでも長いに越したことはありません。ここだけは「たぶん大丈夫だろう」とならず、慎重すぎるくらいにしっかり確認しておきましょう。
アウトレット特価扱いになっているギターは初心者にも狙いやすい
さて、中古品の説明は以上の通りです。あとは類似したご質問で、ギター初心者の方がアウトレット品を候補にする場合の注意点について軽く解説しておこうと思います。
アウトレットとは、もともと「在庫処分品」のことを指しています。アパレルメーカーなどではアウトレットモール専用に通常品とは別の生産流通ライン・型番があったりしますね。
アウトレット理由の例 | 詳細 |
展示期間が長くなった滞留品 | パーツが曇っていたり、変色が見られる等の場合もあり |
小傷がついたチョイキズ品 | 試奏傷、店頭展示中にぶつけてしまった等の理由によるもの |
過剰在庫 | 生産完了品、型落ち品。仕入れ過剰、取引上の事情によるもの |
決算特価、タイムセール品 | 本当にB級である場合と、便宜上アウトレット表記にしていることも |
楽器店では「新品特価、B級特価、セカンド品、新古品」などの名称もほぼ同義で、基本的に上表のいずれかに準じると考えておけばいいでしょう。
小売店側独自の検品基準でアウトレットにみなしている場合、初期不良のあった再生品などもありえるね。
ギターをたくさん展示している店舗ほどアウトレット品が出てくる確率も高く、中古品より購入のハードルが低いと思います。
インターネット通販で検索するときも、「アウトレット特価」「新品特価」といったワードを見かけることは多いのではないでしょうか。
安くなった理由はアウトレットごとに異なるのでチェックが必要
そこで、たいていの個体は「ほぼ新品に近いこと」が多いですが、ギターがアウトレットで安くなっている理由は確認を忘れないようにしたいところです。
とりわけ、演奏性(プレイアビリティ)について新品に準じるレベルの保証がついているか十分にチェックしておきましょう。
「ワケアリ特価」のような言い回しの場合は少し気を付けた方がいいかもね。
ギター初心者の方が「変形ギター、多弦ギター、ロック式トレモロ」など、「(どちらかと言えば)玄人向け仕様の製品」を選ぶと苦労したり後悔してしまうケースが出てきます。
別記事で「ちょっと厄介な仕様」について解説しているので、お時間のあるときに参考にしてみてください。
まとめ
今回の記事で解説した「中古品やアウトレット特価」というのは、基本的に一本物もしくは数量/期間限定品です。
「先に売れてしまったらどうしよう」と焦る気持ちはごもっともですが、転ばぬ先の杖で、本稿で触れた内容を頭の片隅に置きながら探してみましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。